「大嘘博物館」プロデュース 映像作家 藤井亮さん

 

誰もが笑ってしまう、くだらないけど面白いアイデアを次々と生み出し、テレビCMやMV、テレビ番組の制作などを行う。遊び心と自身のセンスを武器に、これまで数々の賞を受賞している。それが映像作家そしてクリエイティブディレクターの藤井亮さん。

「コップのフチ子」などのカプセルトイでお馴染みキタンクラブの、15周年記念に作った動画がきっかけで、ほぼ日曜日協力のもと実現したご自身初の企画展。「大嘘博物館 カプセルトイ2億年の歴史」を渋谷PARCO 8階、ほぼ日曜日にて開催中ということでお話を伺いました。

 

ふざけなきゃいけない病

 

ーーくだらないけど面白い、を強みにされていると思いますが、どういうところに魅力を感じて作り続けているんですか?

 

美大生の頃、面白い映像を作ってみんなにウケたことがありました。その後も会社でテレビCMなどを作る中で、「面白さ」というのはコミュニケーションとして伝わるのが早いんですよね。

例えばテレビCMだと、15〜30秒で人を泣かせたり感動させるのは難しくて、笑いでインパクトを伝える方がコストパフォーマンスがいいんです。「面白さ」のそこに魅力を感じて、気づいたら続けてました。

 

ーーもともと「面白さ」をテーマにされていたわけではないんですね。

 

そうですね。今まで、真面目な表現、おしゃれなデザインもしてきましたが、一番作りやすかったし楽しかったんです。結果的に得意だったみたいです。

そこから大阪で10年、広告代理店の面白CMに特化したグループにいたので、染み付いているというか。ふざけないといけない病にかかってますね。

 

▲NHKが5組の製作者を招いた、ネット動画対決番組「#(笑)動画作ってみた」

のために制作した『ストップ恋愛! ゼッタイダメ!』

圧倒的な再生回数を稼ぎ、第一回戦をトップで通過した作品。視聴者からは「NHKやばい」「カオス」などの反響があり、ニュースサイトなどでも大きな話題に。

 

嘘を本当みたいに作る楽しさ

 

ーー「大嘘博物館」についてお聞きかせください。とても大胆な題名ですが、この題名になるまでどんな案がありましたか?

 

「嘘」を入れるか入れないかで迷いました。中身は全部嘘だけど、嘘と入れないまま展示する方が面白いのか。それとも、入り口で嘘だと明記したほうがいいのかというので悩んだんです。あえて嘘と言わないのも面白いとは思ったんですけど、どこまでが嘘で何が本当かの区別が難しいと思ったので最初に嘘であることを明言する「大嘘博物館」になりました。

題名が決まってからは迷いがなくなり、すごく作りやすくなりました。題名に「嘘」が入っているので、展示してあるものには一切、嘘であることを明記することはやめようと割り切って制作できたんです。

 

ーー今回のネタはどういう風に作ったのでしょうか?

 

基本、1人で考えました。でも、周りにも手伝ってもらっていて、ほぼ日曜日のスタッフさんに「昔の恥ずかしい写真あったら送ってくれませんか」と頼んで、それを元にネタを考えたり、展示物は実家が工場のスタッフにいろんなゴミを集めてきてもらいました。

 

ーーゴミも展示されていたんですか?!

 

「日本特別展示」というコーナーに展示されているのは実は工場のゴミなんです。

置いているものは本物じゃないけれど、解説文でいかに本物っぽく見せるかっていう、大喜利みたいな感じで作ってました。

 

ーー渋谷で開催することについて、どのようなイメージをお持ちでしたか?

 

僕にとって渋谷PARCOはおしゃれな場所というイメージがとても強いんです。そこで開催するのは少し不安だったんですけど、おしゃれな場所と今回のネタのギャップがより目立って面白いかなと思いました。あとは、渋谷のお客さん層に合うのかなという心配はしていました。でも想定以上にたくさんの人にきてもらえ、開催期間も延長になり、本当によかったです。

 

 

小さなことでも面白がる力が大事

 

ーーアイデアやインスピレーションのために展覧会へ行かれたりしますか?

 

人並みにはします。でも、そんなにインプットしようとはしてないです。どちらかというと普通に生活してます。

それこそ今、3歳児の育児真っ最中なので頭の中に入ってくるものが幼児向けのキャラクターのしまじろうとかで、それ以外のものを摂取しないといけないなとは思っています。

情報が偏りがちになってしまいますが、それはそれで意外に発見があったりするんですよ。どんなことからでも何かしら吸収できるし、何かを見なければいけないというよりは、どんなことでも面白がる、面白く捉える、ということを意識してます。

 

ーー今後作ってみたい作品はありますか?

今回の展示を作るのが楽しかったので、機会があったら遊園地のプロデュースをやってみたいです。エントランスで流れる映像を作ったら面白いんじゃないかなって思います。あとは、架空の遊園地をリアルに作ってしまうとかも面白そうですよね。

 

◾️藤井亮 略歴

1979年生まれ。愛知県出身。武蔵野美術大学・視覚伝達デザイン科卒。電通関西、フリーランスを経てGOSAY studios設立。考え抜かれた『くだらないアイデア』でつくられた遊び心あふれたコンテンツで数々の話題を生み出している。アニメーションなどの多くの工程を自ら行うことでイメージのブレのない強い表現を実現している。

 

Twitter @ryofujii2000

GOSAY studios https://gosay.studio/

 

◾️「大嘘博物館 カプセルトイ2億年の歴史」

2022年3月27日(日)まで開催中!

https://www.1101.com/hobonichiyobi/exhibition/4976.html

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