SHIBUYA109の幅を広げる先駆者 SHIBUYA109 lab. 所長 長田麻衣さん

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トレンドやファッションの発信地である渋谷。その渋谷のなかでもSHIBUYA109渋谷店(以下、109)は常に若者の最先端のトレンドをキャッチし発信しているスポットです。そんな109が始めた「SHIBUYA109 lab.」の所長を務める長田麻衣さんにインタビューをしました。トレンドに敏感なaround20(15歳~24歳)としっかり向き合っているからこその価値観を今回の取材でたくさん感じ取ることができました。

最近のSHIBUYA109はどんな進化を遂げているのか!?

ーーまず始めにSHIBUYA109 lab.の所長を担当することになった経緯を教えてください

 

2017年に設立した株式会社SHIBUYA109エンタテイメントに中途採用で入社しました。ちょうど「109として若者を知ったうえで事業をしていこう」という取り組みが始まり、マーケティングチームを立ち上げさせてもらいました。マーケティングをやってるうちに会社の偉い方から「集めたデータを外部の色々な人たちに提供していくことを事業にしていきたい」と言われて、「想定して入社してないな(笑)」と思いながらも「じゃあ名前をつけて、マーケティング機関として出していきましょう!」と色々あった候補の中から名称をSHIBUYA109 lab. に決めました。「じゃあ私、所長やってもいいですか?」という感じで設立したのが2018年です。

 

ーー109の事業自体もそのタイミングで変わりだしたそうですね

 

109が持つ施設を運営するだけではなく、109というブランドの価値を使って新しいビジネスもしていこうとなっていました。商業施設は入ってくださるテナントからの家賃が収益になるけど、それだけだとビジネスとして天井が見えてしまう。商業施設以外にもビジネスを持っておかないと、SNSやネット通販も台頭する今はとても大変。じゃあせっかく109としてのブランドがあるから、それを活用していろんな事業に挑戦してみよう! となりました。

 

毎年発表されるランキングの裏側とは!?

▲SHIBUYA109 lab.トレンド大賞2022

ーー毎年SHIBUYA109 lab.で流行ランキングを発表してますが、そこに参加しているのは109が好きな子たちなので、ある種の傾向があると感じました。偏りが生じてるなと思ったりすることはありますか?

 

109に来てくれる子だけに聞いてるから、多少は偏りはあると思ってます。でも、そこが良さになっているので大事にしています。また109にとらわれずに、若者1000人くらいと繋がってるLINEや、外部の調査パネルを使用して調査を行うこともありますが。目的やテーマによって聞く相手を変えてます。でも、トレンドのことを聞くのは、なるべくSHIBUYA109 lab.で行っていますね。

 

ーーやっぱり109に来店される方には特徴があったりするんでしょうか?

 

109に来てくれる子の特徴は、消費意欲が旺盛でトレンドに敏感。平均的な生活水準だけれど、色々トレンドを試したり、どんどん情報を共有したいといったポジティブなマインドの子が多いです。「トレンドについて」を出す時はそんな子たちが選んだものがちゃんと反映される、データとして偏りがあった方が良いと思っています。

ーー個人的に流行ランキングに違和感を覚えることがあります。もっと流行ったものがあるのに! と思ったり、これ聞いたことないけど? と思ったりします。109の特色とは違ったものが流行った場合「なんであれがランキングに入ってるの!?」ということになりませんか?

 

難しい問題ですね(笑)最近の流行りって、それぞれの界隈によって全然違いますよね。今の若者の大半が好きなものって、1つに絞れないし細分化してるんです。仕方がないことだし、そういう多種多様な趣味が共存しあっているのがリアルだと思います。私たちじゃなくて、違う媒体がランキングを作ったら、また別のものになりますし。ちょっと企業目線になってしまいますが、109に来る子たちの特色がはっきりしている方が「こういう子たちが集まってる場所だから、こんなことしませんか?」という提案を企業にできたりする。109を好きでいてくれるからこその意見をくれる、そんな子たちに対するリスペクトというものがあるかもしれません(笑)。みんなが選んでくれたから、それが正解だよね、っていうのを109が受け入れる姿勢を109のブランディングとしても大事にしています。

 

長田さんと若者の関わり方

ーー若い子たちと関わることが難しいなと思うことはありますか?

 

最初はすごく難しかったです。一番初めにみんなを呼んでイベントみたいなのをした時は本当に緊張して、学校の先生みたいに固くなってしまって(笑)。でも、毎月200人の若者に会っていると気にならなくなってきました。みんなからはたぶんお姉さんみたいに思われているけど、私はみんなのことを子どもだとは思っていないし、同じ目線で物を見られるようになったな、っていうのが感覚としてあるので、もう大変とは思わないです。

 

ーー最近は、骨格やパーソナルカラーなど新しいファッションのくくりがありますよね。流行りに敏感すぎる、執着している子たちの怖さとかって感じますか?

 

トレンドに敏感なことはよいことだとは思っています。みんなの話を聞いていると、トレンドを楽しんだり、トレンドを楽しむことをきっかけにコミュニケーションを生んでいきたいという気持ちがすごい強いのだと感じます。最近はみんな当たり前に「パーソナルカラーはこれだからこのリップを使う」と言います。買い物に失敗したくないという意識からパーソナルカラーや骨格診断を参考にすることでチャレンジできなくなっていることもあると思います。

一歩踏み出してチャレンジするのも、失敗しそうだから足踏みしてしまうのもありますよね。

失敗を恐れすぎて慎重になりすぎていることのほうが、少し心配かな。

 

若者と関わっていく中での変化

ーー若者と一緒に仕事をしていて、長田さん自身の思考が若くなっているなと実感することはありますか?

 

実感してます! 若い子たちの見ているものを基本的に見るようにもしてます。例えばTikTokやインスタで31歳の好きなものを「いいね!」していくと、おすすめに31歳が興味のある、美容やアンチエイジングばかりが出てくるようになります。それじゃあみんなと同じ目線になれないので、大学生とか高校生とかのインスタをフォローしてます。同い年の友達とインスタのおすすめが全く違うので普通に引かれます‥(笑)

 

ーーえ!? そうなんですね! 逆に、友達に今の10代の流行りとかは聞かれたりしませんか?

 

ほとんど聞かれないです。友人たちは私の仕事に全然興味がないみたいです。でも、コスメなどは若い子たちが詳しいから、友達とお店とか行ったときに「これJKがいいって言ってたやつだ」って教えたりすると、食い付いてくれます!

 

ーー服装にも変化があったりしますか?

 

あー確かに、若くなるかもしれません。だって私、バラクラバも持ってますよ! アームウォーマーも買おうと思ってるし、目の下にラメとかも入れます。日によって違う感じですけど、今日は大人に会わないなって時は超ギャルな格好してます。

 

ーーそれは若者からのインスピレーションですか?

 

そうですね。みんなが着てるものっておしゃれだし、参考になるので取り入れさせてもらってます。

 

長田さんは、本当に優しく、丁寧にわかりやすく取材に答えてくださいました。渋谷で働いている私にとって109は毎日見るもの、広告が変わるたびに写真を撮ってしまうほど影響を受けています。そんな109のことを、長田さんを通して新しい視点で知ることができて、渋谷の知識がレベルアップしました!

 

◾️長田麻衣 略歴

総合マーケティング会社にて、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て、2017年にSHIBUYA109エンタテイメントに入社。SHIBUYA109 マーケティング担当としてマーケティング部の立ち上げを行い、18年5月に若者研究機関「SHIBUYA109 lab.」を設立。現在は毎月200人のaround 20(15歳~24歳の男女)と接する毎日を過ごしている。宣伝会議等でのセミナー登壇・TBS『ひるおび!』コメンテーター・著書『生の声から創る SHIBUYA109式 Z世代マーケティング(プレジデント社)』(2023年3月31日発売)、その他メディア寄稿・掲載多数

Twitter:@Shibuya109labO

SHIBUYA109 lab. WEB:https://shibuya109lab.jp/

 

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