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2024年12月13日〜25日、渋谷PARCOにて『55th HOSONO HARUOMI POP-UP SHOP』が開催されました。パルコの開業55周年を祝う特別企画「HAPPY HOLIDAYS」に、同じくデビュー55周年を迎えた細野晴臣をキーパーソンとして迎え、コラボが実現したそう!渋谷の街全体に細野晴臣のコラージュが飾られていたのはこういうことだったんですね。細野晴臣ファンとしてPOP UP SHOPに遊びに行き、細野さんをよく知るスタッフの方にお話を伺ってきました!
映画と音楽 / HOSONO VIDEO HOUSE
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ーー映画好きとして知られる細野さんですが、今回のポップアップショップ内にはレンタルビデオ屋さんのブースがあり印象的でした。
細野さんが子どもの頃、つまり60年くらい前は、映画のサウンドトラックが発売されることもなく、DVDもない時代。そのため、音楽を聴くために何度も映画館へ足を運んだそうです。そうして何度も映画館へ行くうちに映画の内容を覚えてしまったのだとか。細野さんが幼稚園の時、お姉さんと家族と「ホワイト・クリスマス」を観に行ったことがあるようなんですが、ホワイト・クリスマスの歌を忘れないように、歌って帰ったんだそうです。現代では、音楽は音楽、映画は映画として、それぞれどこでも気軽に楽しめるものになっているけれど、当時の環境だったからこそ、より一層記憶に残るものになっているというか、今に繋がる感性に染み付くほどの体験になっていたのではないかなと思います。
ーーなるほど、、今ってなんでも当たり前に記録できるようになっていて、記録があるから後世に受け継がれたり、新たな発見が生まれたり。便利な反面、アナログならではの「その場限りの体験」を記憶として大切にする感覚、一瞬一瞬を大切に味わっている様子が伺えて、すごく素敵です。
そうですね、細野さん独特の音楽の楽しみ方は、とても魅力的で羨ましいなと思います。幼稚園、小学生の頃の記憶で音楽が作れるくらい、当時の感性が今にも繋がるほど大きな影響を与えている。子供の頃に出会ったものは大事にしなきゃいけないってことかもしれませんね。
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細野さんは本当に映画がお好きで、レンタルビデオ屋さんも大好きなんです。けれど最近はレンタルビデオ屋さんがどんどん減っていて、ご本人もすごく悲しまれていて。そこで今回、細野さんご自身に映画をセレクトしていただいて「HOSONO VIDEO HOUSE」として、試しにレンタルビデオ屋さんを創ってみたんです。これを機に、細野さんの好きな作品、そして名作に、他の世代が触れるきっかけとなったら嬉しいです。
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細野晴臣の音楽史
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ーーこうして細野さんの音楽を一望すると、本当にたくさんの音楽を生み出してきたことがわかるというか…ジャンルがすごく幅広いなと感じました。
そうなんです。細野さんの音楽は表層的じゃないので、掘っても掘ってもいろいろ出てくるんですよね。以前、小山田圭吾さんが「どのジャンルを切り取っても、結局細野さんに繋がる」とおっしゃっていたりするように、本当にいろんな音楽を創られてるんです。その背景には、細野さん自身かなり飽きっぽいということがあるように思いますが(笑)、でもだからこそ、ジャンルに縛られず、色々な音楽の形を創られてきたんだと思います。

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ーー最近、レコードの再ブームもあって、レコードをきっかけに細野さんの音楽を知ったり、改めて聴く機会が増えているように感じます。世代を超えて細野さんの音楽を享受する人が増えているというか、「やっぱり細野晴臣かっこいい!」とくらってる友人がまわりにかなりいます(笑)。
そうなんですね!実際の声として、若い世代も聴いているというのを知れてすごく嬉しいです。最近だと、同世代よりもお孫さん(細野悠太)やその仲間たちと関わっていることが多いんです。50歳以上の年齢差がある中で、一緒にバンドを組んだり、音楽を作ったり、世代を超え「音楽仲間」としてすごく楽しまれていて。今後は若い世代と演奏する機会がもっと増えていくかもしれませんね。
細野晴臣秘話 /pen
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ーーこの表紙の細野さんの自然体でクールな感じ。めちゃくちゃ好きなんです。
実は細野さんは写真撮影が苦手で、この写真はライブ本番合間のタバコ休憩中の様子を撮影したものなんです。本番中でまだ気持ちがオンになっているから、カメラを向けられてもそんなに気にならないのでは、、ということで、カメラマンの方にお願いしてコソッと撮っていただいたものなんです。今回のPOP UP期間中、渋谷のいたる場所に細野さんの写真が飾られていましたが、細野さんは恥ずかしくて、渋谷に訪れられなかったみたいです(笑)。
ーー本誌では細野さんについてかなり詳しく、ぎっしりと書かれていて、細野さんの雰囲気や人柄が伺えました。
スタッフとして細野さんと関わる中ですごく好きだなと思うのが、細野さんは誰とお会いしても同じ目線で楽しく話されるということ。年齢関係なくフラットな関わりをされるんです。本誌で対談されていた菅田将暉さんとも、お会いした際に「ギターウサギっていう曲はいいですよね」と伝えたり、「もう僕たち音楽仲間じゃない」と表現されていたり。そういった細野さんの空気感だったり、創る世界観がすごく素敵だなあと思うんです。
HOSONO HOUSEグッズもたくさん!
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
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感想
今回のPOP UP SHOPを通じて、より一層「細野晴臣」に魅了されました。やっぱりかっこいい!私は母の影響で幼少期からYMOを聴いていて、それをきっかけに細野さんを知りました。眠れない夜はRYDEENを聴き(なぜだか)安心して眠りにつき、晴れた日曜の昼間には必ず細野晴臣を聴いて散歩をし、ニコニコでコーヒーショップに行きます。悲しい気持ちの日には、何がなんでも2355を視聴し細野晴臣の声で1日を締め括るようにしています。細野晴臣はすごいです。普段あまり聴いたことのない方、ぜひ細野晴臣を聴いてみてください。なんだかとっても心がやすらいで、きっと、気づけば空を見上げたり微笑んだりしていることでしょう。
私は映画を観ることが好きなのですが、レンタルビデオ屋さんを利用したことがありません。観たい映画があったら映画館へ行くかサブスクで探すかで、DVDに触れること自体、年齢を重ねるにつれてかなり減りました。今回のPOP UPを通じて、細野晴臣が好きというレンタルビデオ屋さんはどんな場所なのか、はたまた細野さんがどんな映画に触れてきたのか非常に気になったので、春休み期間中、レンタルビデオ屋さんを訪れて、細野晴臣セレクト作品を観てみたいと思います。
それから、今回スタッフさんにお話を伺う中で、新たな夢を持ちました。いつか細野晴臣を撮りたいという夢です。人を撮ることが好きで、原宿表参道新聞ではストリートスナップの活動を初めて一年以上になりますが、もっと腕を磨いて、写真撮影が苦手という細野さんにも「イイネ」と言ってもらえるような、そんな写真を撮りたいです。