「やついフェス」開催直前インタビュー コロナ禍でも死守したいこだわりとは お笑い芸人・やついいちろうさん

お笑いコンビ・エレキコミックのやついいちろうさんが主催する、音楽とお笑いのエンタテインメントフェス「YATSUI FESTIVAL! 2022」の開催が、6月18日(土)、19日(日)に迫っています。

渋谷のクラブやライブハウスを、お笑い芸人やバンド、DJなど多種多様な出演者がジャックする同イベント。今年は231組以上の出演者がラインアップしています。

インタビューを通して見えてきたのは、コロナという苦境の中でも燃える執念のような「サーキットフェス」へのこだわりでした。

 

サーキットフェスは自由に動けるのが一番大事

ーーまず最初に、やついフェスをスタートした経緯について教えてください。

 

やついいちろうさん(以下 やつい):サニーデイ・サービスというバンドの曽我部恵一さんから「フェスやったらどう?」と誘われたのが最初。
同じタイミングで、会場としても使用させていただいている「Spotify O-EAST」などを手がけている株式会社シブヤテレビジョンから「何かうちでやりませんか」という話もきて「やろうかな」って思ったのが11年前ですね。

自分がコントを始めた最初の舞台や、DJを初めてやった舞台も渋谷で、自分が何か始めたのは全部渋谷だなっていうのもあって、渋谷を選びました。

 

やついいちろうさんがインタビューを受けている様子

 

ーー当時はフェス人気も高まっていった時代だと思うのですが、そのなかでやついフェスのコンセプトはどのように考えられたんでしょうか?

 

やつい:専門的なフェスが増えるなかで、俺がやりたかったのは総合誌的なもの。多ジャンルを取り扱う、ごった煮のようなフェスがやりたいなと思っています。

 

ーージャンルを縛らなくても、やついさんの名前があることで良い入口となっていそうです。

 

やつい:イベント名に個人的な名前がついてくることは、リスキーでもあるんだけど、良いこともあって。それは、これだけごった煮になっているイベントでも「なにこれ、意味わかんないイベントじゃん」とはならずに、背骨が1本通る。

俺が好きなものっていうコンセプトがあることで、全部が繋がっているっていうのは良かったなあと思いますね。

 

ーーサーキットフェスという形態ならではのこだわりや、意識されてきた点はありますか?

 

やつい:サーキットフェスは自由に動けるのが一番大事だと思っていて、コロナ禍でも自由に行き来できる体験を死守しています。それはやついフェスのコンセプトでもあるし、そのままサーキットフェスの魅力でもありますね。

会場間の移動距離もすごい考えていて、やついフェスって本当に雨に濡れないぐらい会場がぎゅっと集中している。あまり会場同士が離れていると、みんなが集まっている感覚が薄れちゃうんじゃないかなと思っていて、移動距離の短さはこだわりました。

 

ーー遊びに行く側としては、街が自分達のものだと思える感覚が楽しいなと思います。

 

やつい:飲食店でパスを見せると安くなったり、やついフェス専用の食を出してもらったりもしていて、街自体がお祭りっぽくなる。その時の渋谷の感じっていうのは、結構おもしろいんじゃないかなと思いますね。

 

選ぶっていうことを楽しんでほしい

やついいちろうさんがインタビューを受けている様子

 

ーー昨年に引き続き今年はお客さんを入れての開催です。複雑な時勢の中で考えることも多く、なかなか判断が難しかったと思うのですが、どのように準備してきたのでしょうか?

 

やつい:一寸先もわからない状況ですよね。だからリスクはありつつも「多分こうなってるんじゃないかな」っていう予測をしながら進めていきましたね。
今回はなるべく前の形に戻そうっていうのがテーマなので、会場も10会場あるし出演者も231組いるし、この2年間とはちょっと違う。潰れちゃったお店を除けば、コロナ前の規模とほぼ変わらないぐらい。

今年は11年目なので改めてもう一回始める感覚。今回の結果次第で次の10年をどうしていくか、いろんなことがわかるタイミングかなと思います。

 

ーー今年も無料でのオンライン配信と合わせて、クラウドファンディングを実施されていますね。

 

やつい:ライブ配信が定着して有料配信が増えていくなか、無料でやってることの心意気を感じていただいて、ぜひみなさんに参加してほしいですね。無料で配信を続けられるのも、支援してくれている皆さんのおかげなので。

 

白いTシャツ

▲やついフェス2022のイラストレーションを手がけるアーティスト、我喜屋位瑳務 (がきやいざむ)さんがデザインしたTシャツ。さまざまなグッズとTシャツがセットになったリターンも用意されています。

 

個人的には、飼い犬のこぶしの木彫りがおすすめ。わきたけいこさんというアーティストの人につくってもらっていて、限定6個しかないんです。すべて手作りの一点ものっていうところが良いと思いますね。

 

木彫りの犬

▲彫刻家・わきたけいこさんによるプロジェクト「わきたけいこの木彫の世界」による、ハンドメイド作品。「立ちver.」と「座りver.」の2種がラインアップされています。

 

ーー231組以上の出演者がラインアップされています。今年新たに取り入れたジャンルなどございますか?

 

やつい:実はいまヒューマンビートボックスにハマっていて。今回はSO-SOくんと、SO-SOくんも所属するSARUKANIの2組をSpotify O-EASTのメインステージに呼びました。

 

ーー最初にヒューマンビートボックスに惹かれたのはどういう経緯で?

 

やつい:2019年にヒューマンビートボックスの世界大会のYouTubeを見たのがきっかけです。そこでSO-SOくんとかSHOW-GOくんとか、世界をあっと言わせてるようなヒューマンビートボクサーたちを知った。

彼らの最近のフリースタイルやバトルを見てたら、めちゃくちゃかっこよくて。いままで持っていたイメージが覆された。だからいま自分の中ではヒューマンビートボックスが結構ホットですね。

 

 

ーー最後に、配信含め、こういう楽しみ方をしてほしいみたいなものはありますか?

 

やつい:やついフェスはこっちがデザインしてどうこうっていうことでは実はなくて、それこそ自分がオーガナイザーになったみたいな気持ちで見れるんじゃないかなと思います。自分でデザインしてもらえればいいなって。

アイドル、バンド、お笑い、なんでもあるので、来た人の数だけやついフェスの形がある。好きなものだけを楽しむのはもちろん、全く興味がなかったジャンルをちょっと見てみようかなっていう機会にもなると思います。

そういう意味ではだいぶ面白いんじゃないかなあと。選ぶっていうことを楽しんでほしいですね。

 

◾️やついいちろう 略歴

1997年エレキコミック結成。やついいちろうが音楽好き、相方の今立進が漫画好きだったことがコンビ名の由来。音楽好きで友人も多く、お笑い界一音楽業界に顔の広い(?)芸人とも言われている。
友人でもある曽我部恵一氏の勧めでDJを始め、2005年「COUNTDOWN JAPAN 05/06」DJブースにてフェスデビュー。以後、夏の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」、冬の「COUNTDOWN JAPAN」にはゲストDJとして欠かさず出演。SNSやコミュニティ等でも「DJやついを見るために毎年フェスに行ってます!」「ベストアクト」との声も多い。エレキコミックとしての活動と平行し、音楽イベントのDJとしても全国を駆け回っている。
2005年には曽我部恵一氏のプロデュース・作曲でエレキコミックとして、オリジナルアルバム「エレベスト」発売。2009年にDJとしてCDデビュー、「DJやついいちろう①」をリリース。その後「ATARASHII YATSU!」、「ゴールデン・ヒッツ」、「PLATINUM DISC」、「YATSUI FESTIVAL!」、「PARTY」、「Tropical Hour!!」、今までのオリジナル曲をまとめたベスト盤「YATSUI MATOME」を含め、計8枚のMIXCDをリリースしている。

 

◾️YATSUI FESTIVAL! 2022

やついフェスのイラスト

日時:2022年6月18日(土)19日(日)
会場:Spotify O-EAST / Spotify O-WEST / Spotify O-nest / Spotify O-Crest / 渋谷duo MUSIC EXCHANGE / clubasia / 渋谷7th FLOOR / LOFT9 Shibuya / HARLEM PLUS / 東間屋

やついフェスの出演者発表のチラシ
オフィシャルサイト:https://yatsui-fes.com/

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