渋谷センター街と井の頭通りにある街路灯フラッグと街頭BGM。渋谷に来た人であれば必ず目にする光景です。
この広告メディアを担っている株式会社エムズネットワークの土屋仁さんにお話を伺いました。
商店街での地道な活動が仕事の源泉
ーーセンター街の広告を担っているってすごいですね。土屋さん自身の渋谷とのご縁をお教えください
土屋仁さん(以下敬称略):
私は渋谷区出身ではなくて、埼玉県さいたま市(当時浦和市)出身なんです。
埼玉にある私立高校を卒業して青山学院に進学したので、そこからが渋谷との繋がりですね。
キャンパスは厚木にあったのですが、週に一度の部活で渋谷にはよく来ていました。
ーーなんの部活だったのですか?
土屋:
音楽の部活です。DJをしていました。
渋谷は音楽の街なので、レコード屋を歩き回ったり、昼間も夜も渋谷によく遊びに来ていました。
ーーきっかけは仕事ではなくて、大学生時代に渋谷でよく遊んでいたということですね。就職することになって、慣れ親しんだ渋谷での仕事はすんなり入っていくことができましたか?
土屋:
そうですね。卒業後、エムズネットワークに就職をして、今度は仕事という立場で渋谷に関わるようになりました。
なんでもすぐにやらせてくれる会社でしたし、社長が渋谷センター街の活動をしていたので、私自身も清掃やパトロール隊などいろんな活動をしてきました。
そう言った意味では、商店街の立場に立って、どのようにしたら街のためになるかということを大切に広告媒体を扱っています。
入社したのが2005年。日本全国も渋谷も非常に盛り上がっている時代でした。その後、リーマンショックがあって、東北の震災があって、そしてコロナと、大きな打撃を受け、広告業界も大きく落ち込みました。
ーーセンター街のフラッグというとても特殊な媒体を扱っていますが、どのような特徴がありますか?
土屋:
センター街(井の頭通りを含む)にある街路灯などについているフラッグを扱っています。センター街では合計144枚(両面)のフラッグを取り扱っています。いわゆるテレビなどのマスメディアに比べるとニッチな媒体と言われますが、ある一定の層に対してダイレクトにリーチすることができるので、ここに広告を出すことで、SNSなどで世界中に拡散される可能性がある媒体とも言えます。
特に、音楽などのアーティストのフラッグはとても反響があります。センター街はTSUTAYAやHMVなどの音楽系のショップや、クラブやライブハウスも多く、若者が多い街なので、アーティストやエンタメ系の広告との親和性が高いと思います。
街路灯に掲出されているので、歩いていると広告面が連続して見えてきますし、フラッグに掲載しているアーティストの歌を口ずさんで歩く子達をみると影響力を感じます。広告面のカラフルな色合いも、街に賑やかな雰囲気を醸し出してくれます。
センター街にライブカメラを設置
ーーセンター街のホームページを改修して、その中でライブカメラを設置されていますが、これはどのような意図があるのですか?
土屋:
コロナになって緊急事態宣言の時など、外出自粛が要請されている際に、渋谷周辺の人流が報道されたりしました。自粛期間が終わった後に人の流れが戻った後も、渋谷の街にとってはネガティブな印象が残ってしまいました。
その中で、ライブカメラという発想が出てきました。カメラを通して街の現状を発信することで、見ている方も、人が歩いていて楽しそうと、本当の渋谷の街を知ってもらい、渋谷のイメージ向上につながっていくと思っています。
世界中の人が渋谷センター街と検索した時に、リアルで今の姿を見ることで、行ってみたいと思ってもらえるのではないかと思っています。
またカメラを付けて、24時間放映していることで、治安向上にもつながります。普段パトロール活動をしていますので、センター街が安全な街ということを皆さんにも知ってもらいたいと思っています。
先日、大学生にセンター街のイメージをヒアリングしたところ、危険なイメージを持っている人が少なかったのはとても嬉しかったです。
▲センター街の中央に設置しているライブカメラの映像
ーーこのライブカメラにはAIを活用して、人数をリアルでカウントしているんですね。
土屋:
人数だけでなく、男女比なども計測しています。また個人情報に配慮し、モザイク処理を行っています。
ライブカメラでリアルな映像を流すだけでなく、AIを活用して、人流を計測して発信しているというのは、他にはない取り組みだと思っています。
世界中でリアルカメラの映像が流れている中で、このデータは非常に大きな価値を持つと考えています。
このライブカメラを見た人がこのデータから何かインスピレーションを感じてくれて、新しいことが生まれるのではないかと考えています。
このような新しいことを始めるには、いろんな方面の人との調整が必要になってくるのですが、それをチャレンジできる商店街というのは非常にありがたいと感じています。
これからも、我々は、日本一の商店街である渋谷センター街という自負をもって、活動をしていきたいと思っています。
◾️土屋仁 略歴
初めて渋谷を訪れたのは1990年代初頭。
好奇心の赴くままに独りで来るも、道がわからず円山町あたりを歩き回る中学生。補導されずに済む。
高校時代、アパレル巡りは裏原宿から渋谷ルートか代官山だった。
東京2020オリンピック・パラリンピックでは都内全域でフラッグ掲揚事業に携わり、渋谷以外にも都内各地のフラッグを連日みて回る。
そう、歩くのが好き。趣味は街歩き
◾️株式会社エムズネットワーク
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1丁目12番12号 宮益坂東豊エステート8階
TEL 03-5464-1558