2021年12月にたばこのポイ捨てをなくす社会の実現を目指す「ポイ捨て図鑑プロジェクト」を渋谷区などで開始し「シブテナスペース」でポップアップイベントを開催しました。仕掛人の株式会社コソド山下悟郎さんに話を伺いました。
きっかけは社会貢献
ーーコソドは都内6箇所に「THE TOBACCO」というブランドの公衆喫煙所を展開しています。山下さんはデジタル領域での動画制作・プロモーションに長年関わってこられました。タバコをテーマに大きく転換しました。なぜタバコをテーマに事業をされているのですか?
ずっと社会貢献の軸で仕事をしてみたいと思っていました。そんなとき渋谷の街を歩いていたら、街から喫煙所がなくなっていることに気づきました。2020年4月「改正健康増進法」の施行もあって多くの喫煙所が閉鎖されているのを知り、吸う場所がなくなっている喫煙者のためにも、非喫煙者を受動喫煙から守るためにも、どちらもが共存できるようにと喫煙所の運営をはじめました。他の人がやりたがらない領域でもありますし、市場規模としても縮小していて大手も参入しにくいからこそ、自分たちがやる意義があるのだと感じました。
公衆喫煙所「THE TOBACCO」は、機能的にもデザイン的にもこだわり、タバコを吸う人が肯定されるような空間を目指しました。まずはマネタイズよりは思いが先行して事業をスタートしました。事業をする中で、喫煙所のデータがほとんどないことがわかり、スタッフを配置した有人喫煙所を試験的につくりデータを蓄積することもしました。コロナの影響もあり、混雑を避けるためにも喫煙所の混雑具合をAIカメラで感知・発信する仕組みをつくりました。また、同時に喫煙所にモニター広告を流すことで、広告収入を得て、喫煙所を運営していく仕組みをつくっています。
ポイ捨て図鑑プロジェクト
ーー今は赤坂や神田など渋谷以外の場所で喫煙所を運営されていますが、今後はどのような場所での展開を考えていますか?
映像の会社もずっと渋谷区でやってきましたし、仕事の上でも渋谷とは繋がりがあったので、ぜひ渋谷に喫煙所を作っていきたいとという思いがあります。センター街にある「宇田川クランクストリート」などでも何かポイ捨て問題を解決する施策をやってみたいですね。今はたくさんの吸殻が捨てられていますが、明るい場所にして人の流れをつくることで喫煙する人やポイ捨ても減らしていける可能性があるのではないでしょうか。
実際の喫煙所運営や自治体の実証実験の結果から、公衆喫煙所を作ることでその周りにポイ捨てがなくなることがわかってきています。ただ、問題が起こっている場所全てに喫煙所を設置していくのはとても大変ですし、物理的にも難しい場所もあります。また、喫煙所が必要な場所をリサーチするのにも時間がかかってしまう。この2つを解決するために「ポイ捨て図鑑プロジェクト」を2021年12月にスタートしました。
ポイ捨てされた吸殻を“喫煙所に戻れず、迷子になった吸殻モンスター“といった助けるべき存在として描き、誰もが簡単にゲーム感覚で参加ができるポイ捨て問題の解決を目指すプロジェクトです。街中のポイ捨てされた吸殻を撮影し、名前をつけて投稿することで、すぐに参加が可能です。図鑑にしてゲーム感覚で投稿してもらうことで、ポイ捨てへの意識をもってもらうきっかけ作りになればと考えています。シブテナスペースではポップアップイベントも行いまして、喫煙者も非喫煙者もたくさんの方がプロジェクトに参加してくれています。中でも、タバコを吸わない20代などの若い人もたくさん参加しただいたのはとても驚きましたし、とても感謝しています。
渋谷の街とのつながり
ーー最後に山下さんにとっての渋谷はどういう街ですか?またどのような街になっていってほしいとおもいますか?
私は地方出身者ですが、東京に来て、音楽やファッションなど渋谷の文化と触れ合ってきました。流行り物が出てまた消えていく、その混沌とした発信地としての魅力は、世界中どこをさがしても渋谷みたいに面白い場所はないと思います。この良さはなくなってほしくない。いつまでも若い人が元気でいられるような街であってほしいです。