広報・PRで40年! ベンチャー広報の三上毅一さんに編集会議へ来ていただきました

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毎月第一・第三木曜日に行う渋谷新聞恒例の編集会議に特別ゲストが来てくださいました!
広報PR業界に40年勤めるPRのプロフェッショナルとして、コンサルタントや講師など、業界の多岐にわたって第一線で活躍しているベンチャー広報の三上毅一さん。今回、渋谷新聞の学生ライターに広報PRについての特別講義をしてくださいました。

 

広告と広報・PRの違いってなに?

そもそも、広告と広報って何でしょう? 聞いたことはあるけれど、違いは分からないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回、広報・PRのプロフェッショナルである三上さんが講義の最初に広告宣伝と広報・PRの違いについて説明してくれました。

▲三上毅一さん

広告とは企業がお金を払ってメディアに情報を掲載し、消費者・ユーザーに購入やサービスの利用を促すためのものになります。それに対し広報・PRとは、広報が自社の情報をメディアに届け、客観的に取り上げてもらうことです。

つまり広報・PRをひらたく言うと『マスコミを活用して、無料で製品やサービスなどを訴求する方法』になります。

広報・PRの仕事とは?

では、実際に広報・PRではどんなお仕事をされているのでしょうか? 三上さんが自身の体験を踏まえながらお話してくださいました。

一般に企業の広報担当が、企業内の情報をまとめて、メディアが興味を持つ情報を流し、取材してもらうという流れになりますが、広報担当がいない企業や広報に悩む企業のために広報・PR会社が機能します。

そこでの広報・PR会社の役割とは、企業の話を聞き出して得た情報を整理し、企画書やプレスリリースを用いて、興味を持ちそうなメディアや影響力を持つメディアに届けることです。企業を顧客として「企業の情報」を武器に適切なメディアに届けて、情報発信することが役割です。

他にも、広報の役割には、「守り」と「攻め」の2つの側面があります。「守りの広報」は、不祥事などが起きた時に記者会見を開いたり、緊急時の記者対応を行います。一方、「攻めの広報」は新製品や新サービスなど、企業が世の中に訴求したい情報をメディアに情報提供したり、記者を集めて記者発表を行います。

また、記者の取材対応だけでなく、社内向けに社内報などを通じて情報共有する、社内広報も広報担当の重要な仕事となります。

今回の編集会議は、普段は取材する側として活動している学生たちが、取材される側である広報・PRの視点について学ぶ貴重な機会となりました。取材する相手のことをより深く理解するヒントを得た学生たちは、企業からくるプレスリリースや取材依頼をより意識して見られるようになると思います!

普段なかなか接する機会のない企業の方から直接お話を聞けたのも、学生達にとって、とても良い経験となりました!
講義終了後には学生ライターから三上さんへたくさんの質問がありました。

学生ライターから三上さんへ質問!

ーーブランディングとPRの違いとは?

企業のイメージを作り、信頼や支持を得るための戦略がブランディングです。例えば、スターバックスは広告を打たずに非常に高い人気を誇っていますが、これはスターバックスのブランディング戦略によるものです。

PRは「パブリックリレーションズ(Public Relations)」の略であり、その情報は事実に基づいていなければなりません。PRは、企業の等身大の情報を正確にメディアへ伝えることを目的としています。これにより企業のイメージや価値を顧客に認知させるブランディングを押し進める一つの施策と考えてください。

ーーメディアが多様化し、マスメディアが弱体化しつつある現状を、企業とメディアを繋げる広報・PR会社はどう捉えますか?  

とにかく、メディアリサーチ(メディアの特性や影響力、利用状況を調査・分析すること)が非常に重要です。企業にとって本当に効果的に訴求できるメディアを見つけることや、世の中のトレンドといった社会の動きを把握する作業が欠かせません。

今もこれからも変わらずに、徹底的なリサーチを行うことで、変化し続けるメディアの環境にも柔軟に対応することが可能になります。

ーーSNSの普及により、個人でも情報を発信できるようになり、メディアもネットで話題になった情報を取り上げることが増えています。このような状況の中で、企業や個人があえてPR会社を利用する必要があるのかと疑問に感じることもありますが、PR会社ならではの強みとは何でしょうか?

PR会社の強みとは、その優れたメディアリサーチ力です。業界のトレンドや社会の風潮を、日々膨大に溢れる情報から精査し、正確に見極めることで、的確な話題とメディアを結びつけたり、企業に適切な企画を提案したりすることが可能になります。

つまり、膨大な情報が飛び交うメディア環境の中で、正確性の高い事実に基づいた情報を見抜く能力や、情報への感度の高さが、PR会社と一般の素人との差別化ポイントといえます。

メディアのトリセツ!

三上さんは今年5月に、メディアと広報について書かれた『広報のプロが教えるメディアのトリセツー取材獲得への5ステップ』を出版しています!

この本は、講義以上に実践的で具体的な内容が盛り込まれており、ジャーナリストの池上彰氏をはじめ、さまざまなメディアで活躍する記者たちへのインタビューも収録されています。私も興味を持って読んでみたのですが、広報・PRの仕事内容やその意義が非常に分かりやすく整理されていて、これまで漠然としていたイメージが明確になりました。

メディアに関わる人であれば、間違いなく面白いと思える一冊だと思います。

取材を終えてーー

大学でメディアを専攻する自分にとって、企業とメディアをつなげる広報・PR業界のプロフェッショナルである三上さんの講義を受けたことは、貴重な経験となりました。変わりゆくメディアに対し、リサーチを続けることで変化に対応していくというお話に情報産業の第一線で活躍し続ける大人の熱意と覚悟を感じました。

現代は情報が溢れ、個人が発信力を持つ時代です。その中で、マスメディアの在り方も日々変化しています。何が嘘で、何が事実なのか――情報の渦の中から的確に事実を見抜き、利用するためのメディアリテラシーが今後ますます重要になると痛感しています。

メディアを読み解いて利用する能力は、今後いかなる将来になっても変わらずに価値を持ち続けると考えます。

 

◾️三上 毅一 略歴
㈱ベンチャー広報 CKO (Chief Knowledge Officer)最高知識責任者
ゼロイチ広報 代表コンサル
学校法人事業構想大学院大学ゲスト講師(青山忠靖特任教授ゼミ)
「広報の現場を熟知した」ベテラン広報パーソン。
大学時代から広報・PR業界に入り、キャリアは40年。500社以上の広報コンサルティングの実績を持つ。自治体、大学、政党,宗教法人,博覧会事務局などの広報も幅広く経験。
キャリアの中で培った豊富なマスコミ人脈を活かし、広報・PRの指南役として後進の育成に携わる。また、「生涯現役」を掲げ、自身でもクライアントを持って現在も広報業務を続けている。
長野県松本市出身。


◾️三上毅一『広報のプロが教えるメディアのトリセツー取材獲得への5ステップ』中央経済社 2024年

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