子どもたちにSTEAM教育を通じて社会で生き抜く力を育む株式会社アントレキッズの事業責任者、そして中・高校生が自ら課題を見つけてチャレンジしていく機会を提供する株式会社まなぶやのCo-Founderでもある太田可奈さん。渋谷新聞ではライター向けにファシリテーションの講座もしていただきました。子どもや若者の教育に携わる太田可奈さんのこれまで、いま、これからについて深くお伺いしました。
主婦から経営者へ。太田さんのオモシロ人生
ーー太田さんのこれまでについて教えてください
若い時から周囲の大人が楽しそうに仕事をしていて、働くことに対してポジティブなイメージを持っていたので、学生時代から働くことが大好きでした。新卒で株式会社マツモトキヨシに就職しました。その後、当時マザーズに上場していた不動産会社でBtoB向けの冊子編集部の立ち上げを経て、北海道や地方の食品を扱う企画プロモーションをする会社を起業しました。
実は、専業主婦をやってみたくて、起業する前に6ヶ月ほど専業主婦をしていた時期もありました。でも、すぐに飽きてしまって(笑)。結局、時間を持て余してゴルフコンペの企画をしたり、気づけば知り合いの会社など数社で社内のプロジェクトチームのコンサルや人材教育、広報などをしていました。
30歳を過ぎて妊活に入るタイミングで仕事を整理しようと思っていたのですが、アントレキッズの親会社でもある株式会社スピードリンクジャパンで人事と営業の担当役員を任されたことで、また仕事に没頭することに(笑)。採用の目標数字と営業の売上数字を追いかけて、ひたすら突っ走った30代前半だったように思います。その後、新規事業の立ち上げを複数担当することになり、スポーツチームや行政機関、公教育などに関わる機会が増え、若者の教育、社会課題について考えるようになりました。そこで初めてビジネスではなく、ソーシャルという観点を強く持つようになったんです。そのおかげで、視野が広がり、こんな世界もあるんだっていう、新しい気づきをもらうことができました。
現在は、教育事業に自分のキャリアを振り切るために、スピードリンクジャパンの役員は退任しました。そして、株式会社アントレキッズで小中学生に、株式会社まなぶやで中高生に、東京理科大学で大学生に、未来の選択肢を増やすお手伝いをしています。
ーー人とコミュニケーションをとるときに大切にしている価値観はありますか?
まず、素直になることを大切にしています。自分の感情を素直に伝えるって意外と難しいんですよね。例えば、仕事でも、プライベートでも不安になったときには誰かに話すようにしていています。壁打ちさせてもらうことで、見つかる答えがたくさんあります。課題と向き合うときに、自分が頼れるコミュニティをいくつも持っておくことが大切だと思います。
また、意見のぶつかり合いもチームとして必要なことだとだと考えています。プロジェクトをやりきるためには、1人で抱え込まず、メンバーの協力が必要です。多様な考えをぶつけ合うことが、ゴールを達成するための近道だと思っています。本気だからこそ、ぶつかり合うことが当たり前だという価値観が大切なんだと考えています。
やりたいことを自分らしく
ーー2020年、37歳のまさに働き盛りに、がんの告知を受けたと伺いました。その当時のことについてお聞かせください
37歳のときに乳がんの告知を受けました。一番辛かった抗がん剤治療の時にも髪が抜けることや身体の変化に塞ぎ込まず、ありのままでいられました。周りも普通に接してくれたし、必要に応じて助けてくれることも。家族や周りのみんなが支えてくれて、すごくありがたかったです。
私は夫とすごく仲が良くて、毎年一緒に人間ドックに行っています。それが私の乳がんの早期発見・早期治療に繋がったこともあり、セミナーやSNSで自分の経験を発信することで検査の大切さを少しでも啓蒙できたらと思っています。
自分の過去を振り返ると、若い時にがん健診を呼びかけてくれるような人がいなかった。だからこそ、私は、積極的に健診へ行くことを呼びかけています。世の中の人全ては助けられないけど、私の周囲に私の経験を伝えることが、幸せに生活するきっかけになったらと思っています。
ーー病気をしたことで考え方に変化などはありましたか
やりたいことを自分らしくやりたい、やろう、と思うようになりました。それと同時に、自分に何ができるのかということも考えるようになり、若い世代の教育に携わっていきたいと思いました。幸いなことに、これからの未来に欠かせないITにも携わらせてもらってます。子どもたちが自由に自分の未来を描く、その力を育てたいと思ったんです。私は、不妊治療を経験し早発閉経であったことがわかり、乳がんにもなりました。これまでの人生で色々なことを経験してきたことで、子どもたちに伝えられることがたくさんあると思うんです。それを伝えていくことが私のミッションだと感じています。
教育が未来を創る
ーーなぜ、 子どもたちの教育に携わろうと志したのでしょうか
子どもたちが自分に自信を持ち、未来に進むことができるような社会を創りたいと思いました。私は、幼いときに出会った大人たちが挑戦する環境を作ってくれたことに感謝しています。その人たちが今の私を作ってくれたと言っても過言ではないくらい。例えば、小学校時代のバレーボールのコーチはゴールに向かって全力で練習し、実践してそれを評価してくれた。ときには、悔しい経験もしましたが、その繰り返しが私の自信に繋がりました。積み重ねてきた経験があったからこそ、今もプロジェクトを動かすときに自信を持ってアクションができるようになりました。
私も、子どもたちが自信を持てるような環境を作りたいと思っています。大人と繋がったり、挑戦をするきっかけがたくさんあったらいいですよね。そんな環境を創ることで世の中がいい方向に変わるかもしれないと信じています。それに携わる大人たちも、子どもたちと一緒に学び成長していけたら、もっといいですね!
ーー太田さんの取り組む教育を通して、どのようなインパクトを社会に作っていきますか
日本の隅々まで、子どもたちに学びやきっかけを作っていきたいです。自分に自信を持って、社会にイノベーションを起こせる子たちが増えてほしいと思っています。
若いときの出会いや経験で、人生は大きく変わると思います。子どものときの経験が、自信に繋がり、他の人たちに広がっていく。そして、その輪が社会へと広がっていきます。その変化を生み出すためには、教育に携わり続けていく必要があると思ってます。
ーーこれからの太田可奈さんについてお聞かせください
私には、教育という一本の軸があります。アントレキッズではITを使ったキャリア教育をメインに、そして他の部分では正しいがん検査の啓発活動や性教育、身体についての知識を伝えていきたい。少子化というのも大きな課題なので、東京都が健康な女性の卵子凍結費用助成案を決めたことなどを受けて、少子化対策にも力を入れていきたいなと考えてます。
太田可奈さんと渋谷
ーー最後に、太田さんと渋谷のつながりについて教えてください
渋谷には多くの事業やプロジェクトで関わらせていただいています。「渋谷をつなげる30人」という企業・NPO・行政のセクターを越えたメンバーで取り組む渋谷のまちづくりプロジェクトでは「就活ワールドカフェ」という、大学生向けに働くことについて考えるイベントを開催し、多くの大学生や渋谷のステークホルダーと交流しました。また、取締役兼Co-Founderでもある中・高校生を対象にした起業体験型人材育成プログラム「まなぶや」も東京青年会議所渋谷区委員会の地区事業としてスタートしたものでした。渋谷を通して、いろんなバックグラウンドを持った人と繋がり、そういった人との繋がりから、私は教育を通して人と向き合っていきたいと思います!
今回のインタビューを通して、太田可奈さんの芯の強さや人に対する愛を感じました。太田さんは行動を起こす前には、必ず情報を集めて調べるそうです。深い分析力に基づいた圧倒的な行動量があることに圧倒されました。お邪魔させていただいたオフィスではプログラミングを勉強しているお子さんもいて、10年後の未来では、その子たちがイノベーションを起こしているかもしれないと思うとワクワクしました。未来が楽しみ! 私も太田可奈さんのように愛を持って人と繋がり、社会を創る人を目指したいです。
◾️太田可奈 略歴
東京理科大学卒業、IDMアドバイザリーボード、子ども向けプログラミングスクールのアントレキッズ経営、中高生向け起業家育成まなぶやCo-Founder 、株式会社ninpath顧問、不妊治療アプリ F checkアンバサダー、渋谷をつなげる30人スポンサーシップ・コミュニティ発起人
Twitter :https://twitter.com/canaota
FaceBook:https://l.pg1x.com/sa67VqpQARrv2ZpJ9
◾️株式会社まなぶや