【開催レポート】若者の街渋谷から発信! 一緒に知ろう! 共に考えよう! AYA世代のがんのこと

みなさんはAYA世代という言葉を聞いたことがあるだろうか?

AYA世代とは、Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとったもので、主に、思春期(15歳〜)から30歳代までの世代を指す。特に「AYA世代がん」という文脈で使用されることが多い。

このAYA世代のがんに関するシンポジウムが、3月11日(土)渋谷ヒカリエのヒカリエホールで開催されたので参加してきた。

「若者の街 渋谷から発信!一緒に知ろう!共に考えよう!AYA世代のがんのこと」と題されたこのシンポジウムは8セッションに分かれ、医療従事者・当事者・支援者など様々な方が登壇し、がんというものをきっかけとして、人生をどのように捉え行動していくのかを問うものであった。

特に15歳~39歳というライフプランが大きく変わる世代、もし自分自身が死に直面するがんという病気になったら、どのような行動を取るだろうか。当事者だけではなく、周囲にとっても課題が山積みである事を実感した。

国際女性デー企画・婦人科がん

子宮頸がん予防のHPVワクチン(HPV:ヒトパピローマウイルス)接種率や検診受診率などについて宮城悦子医師から説明があり、登壇者の経験談が語られた。
特に子宮頸がんは公衆衛生の問題としてWHOが主となって撲滅を目指している。90%の女子が15歳までにHPVワクチンを受け、70%の女性が35歳と45歳の時点で高感度のHPV検査を受け、そして90%の疾患に罹患した女性が適切な治療を受けられるようにするという「90‐70‐90目標」を2030年までの介入目標として定めている。その一環として子宮頸がんワクチンは、世界中で接種するのが男子も女子も当たり前になりつつあるという。

一方で、日本の検診受診率はOECDの中でもだいたい40%程度にとどまる。先進各国は軒並み80〜90%という高い検診受診率を達成しているそうだ。これにはいろいろな背景があるだろうが、一番の要因は、20歳代の女性は自分が検診の対象者であることを知らないという問題だそうだ。
そこで2023年4月から9種類のHPVを対象とする「9価ワクチン」が全額公費※の定期接種ができるようになる。※対象は12歳~25歳、97年~05年産まれの女性。3回分のワクチン費用、約10万円が無料になる。これを3年間続けるという世界でも類を見ない政策だ。本当にどのぐらいワクチンに効果があるかを判断するには、接種率が上がらないと分からないところがあるため、世界が注目しているという。

 

▲シンポジウム開催にあたって長谷部区長も応援スピーチに来た。ふるさと納税で集めた資金が、このシンポジウム開催費に回っているということにも触れ、AYA世代のがんに対する知識が広がることを訴えた

知ることで始まる最初の一歩

また別セッションでは登壇者の1人が次のように話した。
「がんに限らず言えることですが、病気と向き合うために必要な3つのものがあります。それはコミュニティーとメンタルヘルス、そしてリテラシーです」
AYA世代のがんは多種多様な疾患であり、その当事者も様々な環境で病気と向き合うことになる。適切なタイミングで適切な情報に触れることも難しい中で、上記3つの要素はとても重要な役割を果たす。
すべては気づきから始まるというように、先ずは知るためにもこういったシンポジウムの情報がより多くのAYA世代に届くことを願う。

最後に一緒に参加した大学生ライターの中川さんのコメントで締める。
「AYA世代は私と近い年齢ということもあり、とても身近に感じました。今回、 AYA世代特有のさまざまな問題を知ることができました。特に印象的だった言葉は『患者さんが船のオールを持ち、お医者さんが岩があるかもしれない場所を一緒に見つける。そのハブとなる存在として、がん相談支援センターが病院の中にある』ということでした。病気と向き合ったときやその家族のためにもみんなで支え合えるような社会が必要だと思いました。まず、第一歩として、自分自身が検診にいくこと、そして周りにも検診を呼びかけていきたいです。」

 

◾️若者の街 渋谷から発信!一緒に知ろう!共に考えよう!AYA世代のがんのこと

WEB:https://ayashibuya.studio.site/
主催団体:特定非営利活動法人 希望の会 (npokibounokai.org)

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