ウズラ農場を作って「どんな人でも前向きに暮らせる社会」へ 株式会社ごきっちょー 田島しおんさん、門田凜太郎さん、村尾絢汰さん

 

渋谷モディ1階にあるPOP UPスペース、SHIBUYA BASEでは8月に「Z世代社長Week」を開催。現役大学生3名が代表を務める株式会社ごきっちょーの東京御吉兆が「しあわせたっぷりん」を販売していました!

株式会社ごきっちょーは、東京都板橋区で「ウズラ農場を設立し、その農場で作ったウズラの卵を使った板橋区の特産品を作る」ことを目標に設立された会社です。

今回は代表取締役社長の、田島しおんさん、門田凜太郎さん、村尾絢汰さん(写真左から)にお話を伺いました。

 

座学ではわからない、経営の難しさ

「ごきっちょーは大東文化大学経営学部の3年生が、1年任期で代表取締役を受け継いで運営をしていくというルールのもとで運営しています。
先代(現4年生)がインターン先の会社で、どんな仕事をしたいのかと聞かれて、新規事業に関わりたいと伝えると、インターン先の社長に『じゃあもう自分たちで運営しちゃったほうがいいよ』と言われ会社を設立することになったそうです」(田島さん)

 

ごきっちょーの特徴のひとつは、現役大学生が社長を務められていることです。社長になったきっかけをお聞きしました。

 

「元々、経営者になることに憧れがありました。大学に入ってからなにかやりたいとずっと思っていたけれど、会社を起こすことや事業を立ち上げることにはリスクが伴うので、厳しいかなと思って諦めていたんです。
そんな時、ゼミの先生から『社長募集』というチラシが配られて、その言葉が胸に刺さって、金銭的なリスクがないというメリットもあって、あ、じゃあ挑戦しちゃおう! と思って参加しました。
実際は思い描いていたようなバンバン即決して売上を出してといったキラキラよりも、全部最初から自分達で準備していくので、大変な部分も多い。雇う側と雇われる側はぜんぜん違うんだな、と思いました」(門田さん)

 

田島さんと村尾さんにもごきっちょーに入ったきっかけについて伺いました。

 

「簡単に言うと、大学生のうちにしんどい経験をしてみたかったからです。ゼミの教授が教えてくださったチラシの、『社長募集中』という文言が引っかかって、どうなるか予想はできなかったけれど参加しました。実際、しんどいこともあるけれど、乗り越えたときの楽しさとか達成感が最高だなと感じています」(村尾さん)

「経営学部で勉強していると、知識として、情報は入ってくるし学べます。でも、結局実際はどうなっているのかは全くわからなくて。これは座学だけでは全然足りないなと思っていたところに、ごきっちょーのお話をゼミ経由で頂いたので、自分が会社経営に携わったら、運営の全体像を上から見渡せるし、勉強したことを実践できたら面白いなと思ったので参加しました」(田島さん)

 

実際にやってみてどう感じているのかを伺ってみるとーー。

 

「教科書で学ぶよりはるかに会社は難しいです。“こういう仕事で問題が起きたとき、どう解決しますか”といったレポートを書くことがあるのですが、実際の会社運営では1つの問題に色々な問題が重なっているので、1つを解決するだけでは全体がうまく進んでいきません。
すべての問題を同時進行で解決しながら運営しないと会社は成り立たなくて。私達は3人で仕事の担当を決めてはいますが、各自が自分の担当を進めるだけではうまくいかないので、相談したり協力したりして進んでいくことが大事で、会社は人で成り立っているんだなということがよくわかりました」(田島さん)

「ここが課題だと思ってもそれが外れていることもあったり、根本的な問題があるかもしれないと仮説を立ててやれるようになったと感じます」(村尾さん)

 

ウズラの卵を使って、板橋区の名産品を作ることが目標

私、高校生ライターの酒井逢琉が、SHIBUYA BASEで販売されている東京御吉兆のプリンの話を聞いたとき、まず気になったのはウズラの卵を使用しているという部分でした。
そこで、どうして畜産事業を始めようと思ったのか、そしてどうしてウズラなのかをお伺いしました。

 

「会社を立ち上げるにあたって、障がいを持っている方の雇用の場を作りたい、ということが根底にありました。障がいを持っている方々が、どんな職業についているのかを調べたときに、農業と畜産業でよい事例を見つけました。そこで、大東文化大学のある板橋区内で調べると、障がいを持つ人を雇用する農園はあったけれど、畜産業をやっている事例はなかったんです。私達が挑戦することで、パイオニアとなり、一種のモデルケースになれるんじゃないかと思い、畜産ベンチャーを選びました。
じゃあどんな畜産業をしようかと考えたときに、区内は人が多く住宅街も多いため牛や豚、鶏を飼育するのは厳しいねとなりました。ウズラなら大きくなっても拳サイズだし、狭い敷地でもできるのではと思い、ウズラ農場を作ることになりました」(田島さん)

「先代の時(去年)は、まずウズラ農場を作って、それからカフェをオープンしようとしていたのですが、それが難しくなってしまったんです。だったらまずカフェをオープンしようと決めたのが、今年の5月頃でした」(門田さん)

 

10月にカフェをオープンされているので、方針転換から5ヶ月ほどで形にしているスピードにとても驚きました。

 

「やっぱり実績を作っていかないと、事業拡大も難しいですし、実績を積めば何かあった時に手を貸してくださる人が出てきたりします。あとは、環境が整っていないと、僕たちも、手を貸してくださる方もどうしようもないと思うので、早めに実績を作ることが大事だと思っています。
社長の任期は1年なので、スピードは重視していますね」(村尾さん)

 

ウズラのサイズだけでなく、ウズラの卵の栄養価の高さにも注目をされています。同じ重さのウズラの卵と鶏卵を比べると、赤血球を作る成分の手伝いをするビタミンB12やDNAを形成するときに必要な葉酸などの栄養分が2倍以上あるそうです!
鉄分も豊富なので悪性貧血によく効くと言われており、お客様の中には貧血予防のために買っていく方も。自分たちがカフェを運営することで、ウズラの卵の素晴らしさや、魅力をどんどん広めていきたいと話してくださいました。

 

「そして、板橋区の新たな特産物を作ることを目標に掲げています」(田島さん)

 

なんと、インタビューから2ヶ月後の11月には、人気NO.1商品の「しあわせたっぷりん【バニラ味】」が、区民からの公募で選ばれる“板橋のいっぴん”に認定されました!!

 


渋谷は“ウズラの卵”というワードに反応してくれた

冒頭でも触れたSHIBUYA BASE出店の経緯を伺いました。

 

「オンライン販売サービスとしてBASEを利用していたつながりで、『Z世代社長Week』への出店オファーをいただきました。普段は、販売拠点が板橋区大山の商店街にあるレンタルキッチンなので、日中商店街にいらっしゃれるようなお客様が多くて。じゃあ、若者が多い渋谷で販売をした時にどういう反応があるんだろう、という市場調査の意味合いも含めて、出店させていただきました」(田島さん)


実際の反応はーー。


「商店街では、店の外でも店内のレジ前でもウズラで作ったプリンだと宣伝しているのに『ウズラって知らなかった、なんでもっと主張しないの!』と言われたりして、これ以上どう宣伝したらいいんだろうと思っていました。渋谷ではまず、ウズラの卵だということに反応をいただいたので、そこに驚きました。ウズラに注目している感じが、渋谷の方がありました」(田島さん)

「商店街では、食べ終わってから『え、ウズラだったんだ』と驚く方もいます」(門田さん)

「反応が違う理由は、情報を仕入れる量と力の違いなのかなと思っています。商店街の場合、特に店舗に注目していない人も多いのかなと。渋谷の、それも商業施設の中では、無意識にどんなお店があるのかは見ていて、チラッとみた時に珍しいものがあるなと思ってもらえたのかなと思いました」(田島さん)

 

確かに、渋谷モディの入口を入ってすぐのスペースはよくお店が変わるので、知っている人は今何をやっているんだろうと自然とアンテナを張っているのかもしれません!

 

ウズラの卵の商品を提供するカフェ、Secret base Quail

「障害のある方に雇用を生む、板橋区に新たな特産品を創る、子どもたちの食育の機会を提供する」を目指して2022年10月16日、ついに株式会社ごきっちょーは、板橋区にカフェをオープンしました。
カフェでは先述の「しあわせたっぷりん」に加え、コーヒーなどのドリンクはもちろん、ウズラの卵を使ったサンドイッチ、フレンチトーストなどの軽食や、ウズラの肉や卵を使った親子丼やピザなどを食べることができます。夜には“高島平ビール”をはじめとしたお酒も提供し、ウズラを使った料理を中心としたおつまみもあり、宴会などもできるそうです。
店舗名のSecret base Quailには、ウズラ(quail)を商品にしているカフェをお客様に楽しんでもらうこと、そしておもてなしをする従業員にとっても「秘密基地(Seclet base)」のようにワクワクする楽しい居場所になるようにという想いが込められているそうです。

 

「今の1番の目標は1年の任期の中で、オープンしたカフェを軌道に乗せて、次の代にいい形で引き継ぎをすることです。
今後障がい者の方やその身近でお世話をする方、あとは働きづらさを感じている方などを雇用していきたいと考えています。まずはその土台作りや、環境を整えていきたいと思っています。他には子供たちに食育の機会を提供していくことも考えています」(田島さん)

 

実は、私はこの取材をするまでプリンがあまり好きではなかったのですが、3人のお話を聞いているうちに食べたくなって、自宅用に注文しました。

 

▲「しあわせたっぷりん」は時期により複数のフレーバーが展開されている

 

私は卵が嫌いなのでプリンにも苦手意識を持っていたのですが、東京御吉兆の「しあわせたっぷりん」を食べたら、プリンが大好きになりました!(笑)
私のお気に入りは、焼きバニラ味と紅茶味です!

「しあわせたっぷりん」には、複数のフレーバーがあるので、普段プリンがあまり好きではない方も食べやすいのかもしれません。

さらに、渋谷区SDGs協会が月に一度行ない、渋谷新聞メンバーもボランティアとして参加している子ども食堂に、ごきっちょーのみなさんが見学に来てくださった際に差し入れてくださったプリンは、子供たちはもちろん私たち高校生ライターにも大人気であっという間になくなってしまいました。

 

“しあわせたっぷりん”はオンラインストア東京御吉兆でも販売されています!

 

大学の勉強と株式会社ごきっちょーの社長を両立されていることを聞いてとても驚きました。それに加えて1年の任期でできることをどんどん進めていかれている皆さんのお話を聞いて、同じZ世代として私も頑張ろうという気持ちになりました!

 

 

◾️取締役略歴

門田凜太郎
株式会社ごきっちょー代表取締役
大東文化大学経営学部3年生

村尾絢汰
株式会社ごきっちょー代表取締役
大東文化大学経営学部3年生

田島しおん
株式会社ごきっちょー代表取締役(2022年10月退任)
大東文化大学経営学部3年生

 

◾️会社概要 

株式会社ごきっちょー
WEB https://gokicho.tokyo/ 
Instagram @gokicho_itabashi
Twitter @gkicho_official

 

◾️Secret base Quail(カフェ)

〒175-0083 東京都板橋区徳丸1-7-12
電話 03-6823-7584
WEB https://quail.cafe/
Instagram @secretbasequail
Twitter @SBQ1016

 

 

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