「shibuya-san」は、成田空港・羽田空港からのバスが多く停車する渋谷フクラスの1階にある観光案内所です。“tourist information & art center” をうたうshibuya-sanでは企画展示をはじめ、バーの運営、交流イベントの開催など、活動は多岐に渡り観光施設の枠組みに捉われない地元と世界の人が交流できる新感覚の観光施設です。
shibuya-sanに外国人スタッフとして3年間在籍されているミリアムさんに、渋谷への思いやshibuya-sanの魅力、そしてミリアムさんの夢を高校生ライターの金光七緒がインタビューしました。
渋谷は、3年間いても毎日発見がある場所
ーー日本に来たきっかけと、渋谷の魅力を教えてください
ミリアムさん(以下敬称略):
私が初めて日本に来たのは、ワーキングホリデーを利用してです。ドイツの高校卒業後、遠いところに行ってみたいと思っていたので、言語や文化が違い、19歳の女性でも安心で安全な日本に1年間滞在することにしました。
ワーキングホリデーが終わってドイツに帰ってからも、卒業後は海外に就職したいと思っていました。日本のフェリス女学院で交換留学生として1年間学んだこと、街が明るくて安心感があることから、海外の中でも日本での就職を選びました。
渋谷区の魅力は、多様性です。
渋谷にはハチ公やスクランブル交差点があるだけでなく、興味深い人、ユニークなお店、緑の多い公園や神社、素敵なギャラリー、美味しいレストラン、朝まで遊べる居酒屋など、なんでもあります。そして、街やお店が日々変わり続けているからこそ、毎日発見がある魅力的な街なんだと思います。
ーーどのような経緯でshibuya-sanで働くことになったのでしょうか?
ミリアム:
株式会社ワン・ステップの代表取締役で、shibuya-sanの運営・管理を担っている石川さんに「shibuy-sanで働かない?」と声をかけていただいたことがきっかけです。石川さんとは、モニターツアーという、外国人観光客の目線から見た観光地についてのレビューをしながら、安全性などを調査するバイトを通して交流を持つようになりました。
ツアーから2年ほど経ってshibuya-sanのお話をいただいて、今にいたります。
shibuya-sanは、新感覚の交流を重んじる観光施設
ーー場所の紹介をする時や、接客をするときに、心がけていることはなんですか?
ミリアム:
どの国からいらっしゃるかで旅行の型も違っていて、バケーションの時期や期間はもちろん、好みも違うので、個々に合わせた案内を提案できるようにしています。
アジアからお越しの方はすでにプランが決まっていることが多くて、場所や道を聞かれることが多いです。ヨーロッパからいらっしゃる方は「どこがおすすめ?」と旅行プランの提案を頼まれることが多い印象があります。
shibuya-sanには、さまざまなバックグラウンドを持っているスタッフがいるので、文化やそれぞれのこだわりといったニーズを分かり合える人が対応するなどの工夫もしています。
もちろん全員がその型にハマっているわけではないので、今後も、お客様との対話を通して、おすすめを提案したり、ツアーや体験を考案したいと考えています。
現在はヘルシーなライフスタイルとしてのヴィーガンを体験できる最高のウォーキングツアー、shibuya-sanヴィーガンツアーがあります。この最高なウォーキングツアーは、健康的な生活を求めている人、ヴィーガンに馴染みがない人、そして、ヴィーガンの美味しいお店を知りたい人を対象にしています。今後は、ヴィーガンの方だけでなく、さまざまなニーズに合わせたツアーを展開し、旅行の中での選択肢を増やせるようにツアーも増やしていきたいです。
ーーInstagramでお菓子だらけのラブホテルを紹介しているのを拝見しました。観光客の目線で見ると紹介する場所も変わってきますか?
ミリアム:
お菓子のラブホテルとか、地元の方があまり触れていなかったり紹介していなくても、観光に来ている方々がすごく興味を持っていることはたくさんあります。他の国では中々見ないものや、ヴィーガンの方向けのお店、日本らしさを感じられるスポットなど、観光のさまざまなニーズに沿ったものを紹介できるようにしています。
ーーshibuya-sanの活動の中で、一番の困難はなんでしたか?
ミリアム:
一番大変だったのは、コロナ禍で街から人がいなくなってしまった時期の運営です。
2019年にオープンしたshibuya-sanでは、クリスマスとお正月に続いて、桜シーズンの観光に向けて準備を進めているタイミングでコロナの流行が始まりました。
外国人観光客を対象にした企画の多くが実現不可能となってしまい、オンラインでのイベントやSNSでの発信などに活動は制限されていきました。主な顧客ターゲットも海外からの観光客から、日本在住の外国人や日本人へと変化していったため、大きな変化がありました。
スタッフがみんな外国人というのもあり、故郷に帰れないという精神的なダメージも大きかったです。
また、交流の場が強みであるshibuya-sanとしては、人が集まれない環境はとても苦しいものでした。どんどんと規制が緩和されている現在、改めてリアルでの交流の良さを感じています。
コロナによって運営の方向を一瞬で変えることになってしまい、残念だと感じた部分ももちろんありますが、さまざまなことを学ぶ良い機会にもなりました。
▲英語か日本語を学びたい方が集まり、30分日本語、30分英語で会話を練習するLanguage Exchangeの様子
ーーshibuya-sanの魅力を教えてください
ミリアム:
shibuya-sanはtourist information & art centerですが、元のコンセプトはグローバルな方と渋谷の方が交流できる場所を作ることなんです。スタッフもみんな海外でのバックグラウンドがあり、国際交流ができる場所であることが最大の魅力です。
以前ドイツと日本との交流を深めるイベント関係の団体で仕事をしていたこともあって、人と交流することがとっても大切なことだと思っているので、観光という人がたくさん集まる業界だというのも相まって、とても惹かれるコンセプトだと思っています。
将来は、疲れている人が心から休まる場所を作りたい
ーー今後のshibuya-sanの活動に対する意気込みを教えてください!
ミリアム:
観光客が増えてきたら、shibuya-sanを今より一層人が集まる場所にしていきたいと思っています。
観光客が渋谷にきた時に「shibuya-sanはいつでも何かいいものを開催している」「shibuya-sanに行けば良いアドバイスがもらえる」と思ってもらいたいです。また、日本旅行が最高の経験になるように、渋谷の魅力を観光客に伝えたいです。
それだけではなく「観光客と渋谷の方との交流の場」という特徴をもっと強くしていきたいです。
観光案内所の多くは質問に答えて終わりのところが多いので、イベントの開催やバーの運営もしているshibuya-sanの強みを磨いていきます。
今後は、開催しているイベントにも、興味を持ってくれる人が気軽に足をは運べるようにして、さまざまな人と交流できる場所にできたら嬉しいです。
ーーミリアムさんの将来の夢はなんでしょうか?
ミリアム:
いつか自分の美容ホテルを作りたいな、と考えています。
日々を通して、やはり健康が一番大切だなと感じているからです。自分自身も旅行が大好きで、さまざまな施設に宿泊した経験があるのですが、旅行に行ってホテルに宿泊しているときに、しっかり休めることが少ないなと感じることがあります。
だからこそ、心も体も癒されるようなホテルをいつか作りたいなと思うようになりました。
自分のホテルに取り入れたいと考えている要素の一つがサステナビリティです。
環境に配慮した仕組みは今後必要不可欠だと思います。建物自体に持続可能な仕組みを取り入れたり、水や電気を節約したり、食事にオーガニックなものを使い、プラスチックを使わないようにしたりと、一つのサステナブル施設のようにできたらと思い描いています。また、自然に囲まれた環境にヨガやスポーツのできる環境を整え、疲れた人たちが訪れることで、心も体も癒されるという場所にしたいという願望があります。あと、一般的なホテルではカバーされていないベジタリアンやヴィーガンのオプションを増やし、さまざまなニーズに応えられるサービスを取り入れられたらとも思っています。ホテルなどに宿泊すると、ベジタリアンへのサービスが少ないように感じることがあるからです。
実現に向けて動けているわけではありませんが、いつか環境にも優しく、疲れている人がホテルに来ることで心から癒されるような、そんなホテルを自然豊かな場所に作りたいと考えています。
今回のインタビューを通して、shibuya-sanの交流施設としての強みを知り、観光を通して開かれる交流の道や、未来の観光の形を発見できました。
ミリアムさんのどんな人も癒されるホテルの実現をたのしみにしています!
◾️ミリアムさん略歴
2012年-2013年 日本にてワーキングホリデー
2017年 Heinrich-Heine大学教養学部メディアと文化学科 卒業
2015年-2016年 フェリス女学院国際交流学部国際交流学科 交換留学
2017年 公益財団法人日独協会
2019年 株式会社ワンステップ
◾️shibuya-san
Adress 〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1−2−3 渋谷フラスク1F
Open 10:00~20:00
Instagram shibuyasan_
Facebook shibuyasan.info