お笑いコンビ・エレキコミックのやついいちろうさんが主催する音楽とお笑いのエンタテインメントフェス「YATSUI FESTIVAL! 2022(以下やついフェス)」が、6月18日(土)、19日(日)に開催されました。
2012年から始まった同フェスはコロナ禍でもオンライン配信し、そのバトンを繋ぎ続けて今年で11回目。
渋谷にある10箇所のクラブやライブハウスに加え、オンラインでも配信された今回のやついフェスにはお笑い芸人、ミュージシャン、DJ、俳優などあらゆるジャンルから231組以上が出演しました。
やついいちろうさんへの事前インタビューは こちら から読んでいただけます。
いざ、やついフェスへ
どのステージから観にいこうかなと思いを巡らせながら会場の一つであるLOFT 9でリストバンドを引き換えれば、そこからはもうやついフェスの世界。
あらゆる場所に掲げられた〝YATSUI FESTIVAL! 2022〝のフラッグと、Tシャツやタオルなどのオリジナルグッズを身に纏った人たちが、思い思いの会場へと吸い込まれていく様子を横目に、今か今かとリストバンド交換のために並ぶ。そんな待機時間もリアル開催ならではの醍醐味です。
梅雨真っ只中での開催、天気が崩れて雨が降り出してしまう瞬間もありましたが、会場が密集しているというやついフェスの大きな特徴のおかげでほとんど雨に濡れることなく、ストレスフリーで会場間を移動できるところもこのフェスのいいところ。
ジャンルに縛られないやついフェスだからこその偶然性
また、会場が密集していることで、今まで自分が知らなかった世界と気軽に出会えるという魅力も。
例えば、ぷにぷに電機さんのライブ演奏を観終えた後、何の考えもなしに向かったO-EASTでお笑い芸人のゆってぃさんが会場を爆笑の渦に巻き込んでいるところに居合わせることができたり、
そのあとに観たやついフェススペシャル歌合戦では、虹の黄昏+チャンス大城さんの織りなすカオスな世界観のインパクトの強さにただただ圧倒されたり、
街裏ぴんくさんの漫談が絶対に観たくて、タイムテーブルよりも早めに到着したduo MUSIC EXCHANGEで観た清竜人さんの演奏に心打たれて、帰り道は清さんの曲をひたすら調べたり……
挙げればキリがないほどに、自分が好きで追いかけていた世界よりももっと広い未知の世界の扉をたくさん開いた二日間でした。
私が初めてやついフェスに来たのは今から3年前の2019年。
当時はまだ未成年だったので、ソフトドリンクを啜っていたのですが、大人になった今、お昼からビールを飲んで聞く・観る・感じるエンターテイメント、最高…… の気持ちになりました。
日頃から音楽イベントに足繁く通う私としては、家でタイムテーブルを見ながら会場を回る順番を考える時間は、もちろん最高の準備の時間ですが、やついフェスはどの時間にどの会場に入っても予想外の素敵な出会いが得られるというのが最高でした。
Spotify O-EAST、duo MUSIC EXCHANGEではメインステージの他にサブステージが展開されました。メインステージの転換中にサブでお笑い芸人の方々がネタを披露。他の会場でもミュージシャンのライブだけでなく、占いやサウナ、ラーメンといった趣味のトーク、怪談、似顔絵コーナー、お弁当即売会など、さまざまなジャンルのエンターテイメントが一堂に会するのがやついフェスの魅力です。
直前インタビューでやついさんご自身が語られていた「専門的なフェスが増えるなかで、俺がやりたかったのは総合誌的なもの。多ジャンルを取り扱う、ごった煮のようなフェスがやりたいなと思っています」の言葉の意味がよくわかったような気がします。
観て、聞いて、味わうことも出来るフェス
そして、やついフェスでは限定フードも大きな魅力の一つ。
わたしも7th Floorにて販売されていたナナカイカレーをMomさんの弾き語りライブを観ながらいただきました。
ライスの上に乗ったレーズンの甘酸っぱさがカレーのスパイスとよくマッチしていて非常に美味しかったです。
会場によってはリストバンドを提示するとやついフェス限定のフードを購入できたり、割引、トッピング、ソフトドリンク無料といったサービスが展開されていました。
ライブやトークを観ながらゆったりとご飯を食べるもよし、次のお目当てまでの空き時間に渋谷の街に繰り出して戻ってくるもよし、フェス終了後にお酒を傾けながら同行者と感想を語り合うもよし、どれも大正解の楽しみ方が用意されているのは渋谷という街の中で行われるやついフェスならではかもしれません。
沢山の人に愛され続ける“やついフェス”
今年のやついフェスではクラウドファンディングによる支援募集も行われ、開催日2日目の早朝に目標額である1000万円を達成したことが公式SNSでアナウンスされました。
ニコニコ生放送でライブ中継されていたO-EASTの会場では、本番中にも「今さっきクラファン(クラウドファンディングの略)してきました」などのコメントがスクリーンにリアルタイムで流れていく様子が見受けられ、最終的には支援総額10,690,100円、サポーター数1,572人が集まりました。
そして、メインステージではトリ前、最後のステージにおよそ5年ぶりに活動を再開したRIP SLYMEが登場しました。今年の4月に活動再開を電撃発表したRIP SLYMEですが、やついさんがその発表がなされた当日にラブコールを送ったことで、今回の出演が決まったという話をRYO-Zさんが披露していました。
サポートにはWISEさんとフレンズのおかもとえみさんが登場。
5年ぶりのステージとは思えないほど、一曲目の「楽園ベイベー」から始まってラストの「熱帯夜」まで、全10曲を披露し会場のボルテージを上げ続けました。
2日間のイベントを締めくくるフィナーレでは出演者の皆さんがやついフェスのテーマソングでもある「月が今夜笑ってるから、ぼくらそっと東京の空を見上げる」を歌い上げ、会場は大きな拍手に包まれて大団円を迎えました。
多くの人で賑わいを見せ、人々が心からエンターテイメントを楽しみ尽くす様子はコロナ禍以前の渋谷の街の様子を思い出させてくれました。
渋谷という街の変化と共に進化を続けるに違いないやついフェスからこれからも目が離せません。
◾️YATSUI FESTIVAL! 2022 概要
開催日時 2022年6月17日(土)・18日(日)
お笑いコンビ・エレキコミックのやついいちろうさんが主催する、音楽とお笑いのエンタテインメントフェス。渋谷のクラブやライブハウスを、お笑い芸人やバンド、DJなど多種多様な出演者がジャックする同イベントに今年は231組以上が出演。毎年6月第3週の土日に開催され、今年で11回目を迎えた。