2023年7月13日に、遠く⻑崎県佐世保市から多くの高校生が渋谷区を訪れ、区役所でトークセッションが開催されました。
訪れたのは長崎県立佐世保南⾼等学校 文理探求科の1年生76人。
実は、長崎県佐世保市と渋谷区は2018年に「災害時相互応援に関する協定」(以下防災協定)を締結しています。
そのご縁もあって研修授業の一環として、渋谷区への訪問が実現しました。訪れたのは、SHIBUYA QWS、渋谷センター街、そして最後に渋谷区役所に集まりました。
トークセッションをしたお相手は、渋谷センター商店街振興組合・理事相談役の小野寿幸さん、佐世保映像社の志岐誠さん、東京都議会議員の龍円あいりさん、渋谷区危機管理対策部防災課長の菊地裕也さん、そして渋谷区長の長谷部健さんです。
今回はトークセッションの様子を対談形式でお伝えします。
渋谷と佐世保の防災協定について
まずは、渋谷区危機管理対策部防災課長の菊地裕也さん、渋谷センター商店街振興組合・理事相談役の小野寿幸さんに渋谷と佐世保の防災協定について質問しました。
ーー高校生
渋谷と佐世保の協定が期待していることや目指していることについて教えてください。
ーー菊地さん
大きな災害が発生し、被災した自治体だけでは十分な応急措置ができない場合に、被災した自治体の要請により、他方の自治体が応急物資や資器材の提供、復旧に必要な職員の派遣などを行い、お互いに協力し合うことを目的としたものです。渋谷区と佐世保市は遠隔地にあり、同時期に同じ大災害に見舞われる確率が低いことから相互応援協定を結ぶ意義があるとの考えが一致し、協定締結をしています。
ーー高校生
協定を締結された当時に込めた思いについて、さらに佐世保市と渋谷区の商店街の連携について教えてください。
ーー小野さん
私の出身である佐世保。18歳の時に上京してきましたが、ふるさとに対しては特別な思いがあります。防災はいつ起こるかわかりません。災害時だけでなく普段から人や文化の交流をしていくことが大切です。
そんなことから、渋谷センター街とさせぼ四ヶ町商店街は、兄弟商店街の協定を結んでいます。
佐世保は綺麗な街です。日本で一番長い商店街と言われています。時代と共に産業も移り変わってきていますが、これからの時代は若い世代の人たちが佐世保の良さを見直してどうしたらいいのか考えていってほしいと思います。
長谷部区長へこれからの渋⾕と佐世保の姿について質問
ここで公務の間を縫って会場に現れた渋谷区長谷部区長に対して、まちづくりについての質問がありました。
ーー高校生
長谷部区長は民間企業を経験して区長をされていますが、渋谷の街をよりよく変えるために意識していることや、変えていく中で楽しいことや達成感を感じることを教えてください。佐世保をよりよくするヒントにしたいです。
ーー長谷部区長
広い東京の中で渋谷区は約15平方キロメートルくらいしかない場所。91年前に渋谷区になったので、佐世保市より歴史が浅い街です。
戦後の影響で、海外の文化が入ってきて、多様な文化が混じり合うようになりました。日本中からいろんな人がきて、ファッションだったり新しい価値文化が育まれてきました。
その中で、渋谷区として、常にオープンでいたいという思いで「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」をテーマに掲げています。
都心だからコミュニティがないと思われがちですが、古い人や面白い人がたくさんいます。自分の街に誇りを持ちながら活躍してもらいたいです。
民間企業では、消費者が何を考えているのかを考えながら仕事をしてきました。政治家としても区民のみなさんが何を考えているのかを常に考えています。
区に直接ものを言う人の意見だけではなくて、サイレントマジョリティといって声をあげない人が何を考えているのかということを考えています。
次の世代にどういった街をつくるのか、未来のことをイメージしながら、未来をつくる仕事だと思います。
渋谷TANPEN映画祭CLIMAXat佐世保について
次に、渋谷と佐世保市で毎年開催されている「渋谷TANPEN映画祭CLIMAXat佐世保」について、同映画祭代表を務める志岐誠さんに質問がありました。
ーー高校生
映画をつくることに興味があります。高校生でも映画をつくることはできますか?また映画をつくる時は何からしたらいいですか?
ーー志岐さん
渋谷TANPEN映画祭CLIMAXat佐世保は、25分以内の短編映画をつくって応募してもらうものですが、世界90ヵ国くらいから500作品くらいの作品が応募されます。5分以内の作品を出品する学生部門もありますので、ぜひみなさんからも応募してほしいです。
映画をつくるには、何を撮りたいかを決めることが大事です。いろんな人の作品をみてみて想像して、まずは1本つくってみてほしいです。佐世保の高校生がつくったものが渋谷の映画館で上映されるのを願っています。
渋谷TANPEN映画祭CLIMAXat佐世保の質問には、審査員を務める長船美和子さんからもコメントをいただきました。
ーー長船さん
会場に来てもらっていろんな作品を観てほしいです。25分以内の作品なので、1時間空いた時間があれば3〜4本観ることができます。
実際に観てみて、感動したり、思いをふけってみたり、課題を感じてもらえたりするきっかけになればと思っています。
インクルーシブ公園について
最後に、障がいがある人もない人も一緒に楽しめる「インクルーシブ公園」が都内で増えていることについて、東京都議会議員の龍円あいりさんに質問がありました。
ーー高校生
インクルーシブ公園を佐世保にもつくりたいと思っています。市役所にどのように頼んだらいいのですか?
ーー龍円さん
自分の子どもに障がいがあるのですが、障がいがある子どもたちもない人たちもが、共に学んで育っていく環境が広がっていくと、一人一人の違いが輝くような社会になっていくと思ったのが私の政治の原点で、2017年に都議会に提案しました。
ひとつインクルーシブ公園ができると、うちの街にも作ってほしいという声があがりました。
市役所の窓口に行って、こういう公園がほしいですっていってみるところから始まると思います。子どもの場所なので大人が考えるのではなくて、子どもたちが主導して考えると非常に素敵な公園になると思います。佐世保にも素敵なインクルーシブ公園ができるとよいと思います。
渋谷での研修についての感想
最後に佐世保南⾼校を代表して高校生から感想をいただきました。
ーー高校生
今日の渋谷の研修をとおして、佐世保では体験できないことや聞くことができないこと、私たちが暮らす佐世保がこのような素晴らしい渋谷と繋がっていると知り嬉しく思いました。
今後このセッションを通して体験したことを佐世保の課題解決や、佐世保や渋谷のつながりがより強くなるようなアクションをしていきたいと思いました。
◾️長崎県立佐世保南高等学校 https://sasebominami-h.education/
◾️渋谷TANPEN映画祭CLIMAXat佐世保 https://sasebominami-h.education/
◾️参考記事 【開催レポート】世界の“TANPEN” へ向けて、センター街初のレッドカーペット!? 渋谷TANPEN映画祭CLIMAXat佐世保