オーガニックの食を通じて伝えたいこと 「酒とご飯ビオサケダイニングリンリン」松田誠司さん

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道玄坂でオーガニック日本酒ダイニング「酒とご飯ビオサケダイニングリンリン」を経営する松田誠司さん。
渋谷区SDGs協会の「渋谷センター街こども食堂」でもご飯を提供しています。松田さんが飲食店の運営を通して伝えたいことをお聞きしました。

 

オーガニックで酒造りをしている蔵元さんに出会って気づいたこと

ーーこのお店を開業するにいたったきっかけを教えてください。

 

松田さん(以下敬称略):

私はこれまで、ずっと外食やサービス業の仕事をしてきました。
大阪の出身で学生時代も大阪のリーガロイヤルホテルでアルバイトをしたり。もうかれこれ30年くらい飲食業をやっていることになりますね。

その後、赤坂プリンスホテルに入って8年くらい、料理だけじゃなくて、サービスなどを担当してきました。その後、リゾートホテルの会社に転勤して、ゴルフ場の事業を担当したことが転機です。全国のゴルフ場のレストラン部門の立て直しをし、地産地消のものにアプローチしていくなかで、地元の蔵元さんを回ることになりました。


その中で、オーガニックで酒造りをしている蔵元さんに出会ったんです。はじめは、オーガニックのことがなんのことだかわからなかったんですが、色々調べていくうちに、美味しさと美しさだけでなく安全性も必要だということに気づきました。

がんや生活習慣病などの原因の一つが食べるものと食べ方です。
昔の作り方、昔の食材で作っているものが日本人の体に合っていると思います。
お酒でいうと日本酒が日本では古くから作られてきたのに、現代では右肩下がりに減少しています。

 

元々日本酒が大好きだったので、唎酒師、焼酎唎酒師などの資格も持っていますが、実は、健康管理士の資格を持っているんですよ。
その中でも健康管理指導員としての資格を持っています。つまり飲食を提供しながら、健康管理指導員として、食べることの大切さを伝えること。それがこのお店を始めたきっかけです。

 

ーー松田さん自身が食生活を変えて、体調面などの変化はありましたか?

 

どんどん体質が改善していくことがわかりました。
体重減ったし、水虫が治って、花粉症がなくなったりしました。あと、良い食事をすると、睡眠の質がよくなったような気がします。
これ、今から15年くらい前の写真(酒蔵さんが写真をラベルにしてくれました)ですが、この時は太っていて、今の方が若々しいって言われるくらいです笑。

 

 

全国を回って探した希少なビオサケ

ーーオーガニックの日本酒はどれくらい珍しいものなんですか?

 

松田:
ちょっと複雑な話になりますが、これまで日本には酒類の有機JAS認証というものがなかったんです。(有機JAS法が改正され、今年の10月1日から有機JAS規格の対象に「有機酒類」が追加されました)
なので、EUのオーガニック認証をとっている日本酒や、農薬を使わない自然の製法でつくっている、いわゆるオーガニックなお酒をビオサケとして総称しています。
当店では日本酒だけでなく、焼酎、梅酒、ワイン、ビール、ウィスキーなど全てビオサケを提供しています。これは日本全国探してもうちだけだと思います。

 

全国の酒蔵を巡って、オーガニックの日本酒は非常に少ないことに気づきました。
蔵元さんと接するようになって、これにはいろんな社会問題が重なっていることがわかってきました。米を供給する農家さんや、米を流通する農協など複雑な仕組みがあるんです。
例えば、鳥取県の糸白見は、杜氏が自らお米づくりしていることでオーガニックの日本酒づくりをしています。

 

国の方もオーガニックの普及に力を入れていますが、日本におけるオーガニックの普及度はまだまだ低いです。15年かけて、130種類のビオサケを見つけました。
その中から、お店では、25種類のビオサケを取り扱っています。

 

 

渋谷で伝えていきたいこと

ーー2018年11月にオープンしたとのことですが、なぜ、渋谷の街でお店を始めようと思ったのですか?

 

松田:
食の安全性を若い人たちに知ってもらいたいと思って、渋谷の場所を選びました。
若い方は来てくれますが、健康や食の安全性を理解して通ってくれている人はまだまだ少ないと思っています。
お客様に伝えることがまだできていないんです。そこは、いまだに試行錯誤しながらやっています。
渋谷は発信力が強い人が多いので、皆さんの力を借りて、この場所から発信していきたいと思っています。

 

 

先日、渋谷フクラスにある観光案内所兼アートセンターであるshibuya-sanでお店の紹介をしてもらいました。
それがきっかけでそこに携わっている大学生たちに実際にお店に来てもらいました。大学生たちのアドバイスでメニューのネーミングを考えてもらったりしたんです。
自分たちだけで伝えられないことが、違う世代の人たちが伝えることで伝わっていくことがあると思います。

 

「渋谷センター街こども食堂」では、うちのご飯を提供して、釜炊きご飯としてこどもたちに食べてもらっています。
そこでも子どもたちに食の安全性を伝えていますが、難しい言葉でわからないことがあっても、何かを感じてもらえると思います。
小難しいことを言うのじゃなくて、単純なことを伝えていきたいと思っています。

 

オープン当初は、ビオサケが安全でとても身体に良く、日本酒の本来の姿であること、また自然の一部である私たちの身体は自然な食物からできていることを伝えたいと思っていました。
ところが今は、これらのことを日本では正しく伝えることがとても困難なんです。早く伝えないと健全な日本人がいなくなってしまうという危機感を感じています。
この大きな社会問題に共感していただける方々と真剣に手を取り合って、この問題に立ち向かって行きたいと考えています。

 

今わたしは、54歳です。これまでの前半の人生は自分が楽しむことをやってきた、これからは誰かのためになることをやっていきたいと思っています。

 

 

◾️松田誠司(まつだ せいじ) 略歴

1968年生まれ
大阪出身

学生時代から飲食業界に。ホテル、レストランを経て、レストランMA事業に従事、日本各地の蔵元を巡りビオサケ(オーガニック日本酒)と出会う。15年をかけて130種類のビオサケ情報を収集。

2018年より、世界初のオーガニック日本酒専門店「酒とご飯ビオサケダイニングリンリン」(飲食店)を開業。
身体に優しい日本酒と、正しい食のあり方を若い世代と子供たちに伝えて行きたいと奔走中。

オーガニック日本酒プロフェッショナル
唎酒師、焼酎唎酒師、チーズコーディネーター、ビール検定上級者
健康管理指導員、衛生管理者

 

◾️酒とご飯ビオサケダイニングリンリン

〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-22-11 星野ビルB1

TEL 080-6542-1892

OPEN 月~土: 18:00~翌1:00

HP https://ringring.life/

Instagram @biosakedining

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