2023年3月26日に行われたNOVUS FUTURE DESIGN AWARD 2022(*)。吉浦璃子さんは当時高校3年生ながら、最優秀賞とU19賞をダブル受賞。そんな吉浦さんが提案したのは、イノベーション・起業に興味のある全国の高校生がオンライン交流し、発想力と行動力、同志間のネットワークを育て、社会に出た際に自分の発想を形にすることの訓練をする全国規模の「部活型」プラットフォーム『未来創造部』です。
また「日本にいながら、海外に目を向けるきっかけを提供したい」という思いから、「NPO法人クラリコ」を設立し、代表を務めています。
中学3年時からアメリカペンシルバニアに留学しておりコロナで一時帰国。
2021年夏より再度渡米し、The King’s Academy(フロリダ州)に進学しています。
今回は吉浦さんのクリエイティブな考え方や、社会実装に向けて実際に動き始めた「未来創造部」について取材しました。
*NOVUS FUTURE DESIGN AWARDは、SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA(以下、SIW)にて募集・発表した新しい発想や視点で社会を良い方向に導く企画、クリエイティブアクションを表彰するプロジェクト。
「つくり手」として動いた8ヶ月
ーー未来創造部の現在の進捗について教えてください
私が去年NOVUS FUTURE DESIGN AWARDに出した時はまだアイデア段階だったので、その後具体的にどんなサービスを提供するかを決めました。また運営の仕方を決め、構想を完成させました。今回、SIWに登壇させていただくときに、「これから、実際に動き始めます。」といった紹介をします。そして今年の冬にはスタートしようと思っています。
ーー社会実装に向けて、実際に動き始めてから気づいたことや成長したことを教えてください。
私が、気づいたのは「チームワークの大切さ」です。これまでは1人でガツガツ突き進んでいくタイプだったので、今回初めて大きな物を誰かと一緒に作り上げるという経験をしています。これまでは自分のペースで作り上げた方がいいと思っていましたが、別の角度からの意見や自分の持っていないスキルを持っている人がいるという、チームでものを作り上げる良さに気づけたし、1人で作るより何倍も価値があるものを作り出せるんだなと思いました。
ーー今年のSIWのテーマが「YOU MAKE」をタグラインに掲げているのですが、吉浦さんにとって「つくり手」として何かを作る上で重要だと思うことを教えてください。
1つ目は自分の得意なことはこれだからこれを作るという考え方で物事を作るのではなく、自分が情熱を持っている分野で必要とされていることは何かっていう考え方の方が最終的に有意義なものを作れると思います。ただ単に自分が好きなものや作りたいものを作っているのは、エゴで終わっちゃったりすることが多い気がして、自分の思いだけで先走るのは良くないかなと思います。
何を求められているのかを考えて物事を作っていければいいと思います。
次に2つ目は、唯一無二の貢献をすることです。これは私じゃなきゃいけないって思えるようなものを作りたいと常に思っています。もし他の誰かに出来ることだったら、なんなら違う形で既に存在しているかもしれないし、誰かがやるのにのっかるんじゃなくて、自分が動きださなきゃいけないっていう理由がちゃんとあった上で作った方がいいと思っています。
すごい人になるためにアメリカへ
ーー「小学4年生の時にアメリカに行きたいと思った」とクラリコのホームページに書かれていたのですが、その理由やきっかけがあれば教えてください。
私は小さい頃からなんとなく「すごい人になりたい」という夢があったので、アメリカに行けばその夢に一歩近づけるんじゃないか。なんかすごい人に近づけそうだな。というなんとなくの考えがアメリカに行きたいと思ったきっかけですね。
そしてなんとなく言ったつもりが、すごい大きなきっかけになって、人生の大きなターニングポイントになっちゃいました。(笑)
ーー小さい頃の夢だった「すごい人」には、現段階ではなれそうですか。
今は教育に興味があるということに気づけたので、「私にしかできないような貢献をいかに作り出せるか。」というのを目標にしていますね。ただ盲目的にすごい人になりたいと思っているというよりかは、唯一無二の貢献をしたいなって思っています。
ーー「唯一無二の貢献」とおっしゃっていましたが、吉浦さんにしかできない貢献とは何だと思いますか。
アメリカと日本の学校を経験して、どちらのいいところも知っているのでそのいいとこ取りをした教育を生み出したいと思っています。もっと良い形の教育を広められるようなインパクトをもたらせたら良いなと思っています。
自己肯定感の下がった留学初期
・留学中に一番苦労したことは何ですか。
自分は学校の中では英語がまあまあできる方だったんですけど、アメリカに行くときに同じタイミングで行く子達がみんなすごくて、自己肯定感が下がりかけました(笑)。
けど、それをバネにして頑張れたのでよかったです。
・英語が話せるようになるまで、どのような勉強をしていましたか。
先ほども言ったように自分が他の子達のレベルに達していないのが結構悔しかったので、「3ヶ月で話せるようになるぞ」っていう風に決めました。そこから徹底的な英語生活に変えました。家族や友人への近況報告のLINEを除いて全て英語だけにしたんです。また、頭の中にあることも英語にするように徹底しました。例えば「お腹が減ったな」って思いそうになったら、脳をシャットアウトして「I’m hungry」って考えるようにしていました。日本語のYouTubeや音楽も無しにして、日本語は絶対に喋ってはいけないので、親や友達とも電話をしませんでした。
こんな感じで結構ストイックに英語を勉強していたら稀に見る速さで習得できました。
・(徹底した英語学習を続けられる精神力がすごいな…)
それだけ徹底するのは、大変だったと思うんですけど何かモチベーションなどはあったのですか。
もちろん留学に一緒に行った子達がモチベーションになっていたのはあるんですけど、それ以上に自分の成長がすっごい感じられたことが大きかったですね。英語を喋っていてこれまで自分が言いたいことの4割しか言えなかったのに、今はもう7割も言えてる、8割も言えてる!というような感じでスピード感がすごいあったので、伸びている感じがモチベーションに繋がっていました。
チャレンジが新たな視点を生む
ーー好奇心や興味があったとしても、一歩踏み出せない人は多いと思います。そんな人にアドバイスをするとしたら、どのようなアドバイスができますか。
ありがちになってしまうんですけど、やらないで後悔するよりやって後悔した方がいいということです。
挑戦したあとって得たものも失ったものも明確に見えているけど、やらなかったらそれに関しては何も残らないじゃないですか。
もし挑戦して、後悔したとしても、失敗や挫折しちゃったとしても。必ず次に活かすことができると思います。
「次に活かせて、次にもっと良い結果が出せれば、それはもうもはや損失じゃなくて利益になる。そしたら最終的には、その失敗や挫折も0になるじゃん。」という考え方にしたら、もうちょっと1歩踏み出せやすいのかなっていう風に思います。
ーー最後に、渋谷に関わる同世代に向けてメッセージをください!
自分には大きすぎるだろうなとか、自分と無縁だなって思うような大きなチャレンジや経験に是非チャレンジしてみてください。やってみると意外とできちゃったりとか、失敗したりすると思います。しかし、その成功や失敗の中の信じられないところから大きい学びがあったりするので、どんどんチャレンジして欲しいと思います。日々いろんなことに取り組めたら、面白いことが降ってくると思います。そのワクワク感を最優先にするようなマインドにすると色んな可能性が開拓されると思います!
編集後記
今回のインタビューを通して、吉浦さんの失敗しても良いからチャレンジする姿勢や徹底的に努力できる精神力に驚かされてばかりでした。同じ高校生とは思えない行動力や心の余裕など、僕自身ももっと頑張ろうと思えました。
僕は今年の夏に18歳になりました。これからは、自分の責任で様々なことを選択して生きていかなければならない。確かに失敗するリスクとかも考えなければいけないけど、「失敗しても良いから挑戦する」という考え方を常に持ち続けられる大人になりたいな。
◾️吉浦璃子 略歴
2004年生まれの千葉県出身。
小学4年生から抱いていた「アメリカの大学に行きたい!」という夢を叶えるため、海外大学進学率の高い渋谷教育学園幕張中学校へ進学。
中学3年生よりアメリカペンシルバニア州に単独留学し、初めての寮生活を経験。当校では乗馬クラブに所属。
コロナ禍となり、安全のため留学を中断し、帰国。
帰国後、高校1年生で渋谷教育学園幕張高等学校に復学し、英語ディベート部に所属。
翌年2021年夏より再度渡米し、高校1年生としてThe King’s Academy(フロリダ州)に進学。
アメリカの高校では当たり前になっているボランティア活動に興味を持ち、2022年1月にNPO法人クラリコを設立。
2022年夏、異文化や留学生活、英語を楽しく発信するためのYouTubeチャンネルを開設。
2023年1月、グアテマラに渡航し貧困地域で家を建てるボランティアを経験。
同年3月、NOVUS FUTURE DESIGN AWARD最優秀賞を受賞し、未来創造部のローンチに向けて準備開始。
Instagram: @riko_yoshiura
X: @riko_yoshiura
YouTube: Riko Yoshiura
NPO法人クラリコWebサイト: https://www.clarico-npo.or.jp
未来創造部Webサイト: https://miraisozobu.com
NOVUS FUTURE DESIGN AWARD: https://social-innovation-week-shibuya.jp/award/