出会いを豊かにするデジタル名刺“プレーリーカード” 共同代表 坂木茜音さん

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今、従来からある紙の名刺の役割をアップデートした新しいデジタル名刺、“プレーリーカード”が注目を集めているのをご存知ですか? このカードには、交通系ICカードやクレジットカードのタッチ決済にも使用されているNFC*チップが内蔵されており、スマホをかざすだけで情報交換ができ、SNSや名刺管理ツールとの連携も可能です。情報交換履歴も自動で記録されるため、いつ出会った人なのかを辿ることも簡単にできます。さらに、好みの写真やイラストでオリジナルデザインにすることも可能です。
紙の資源を使わず、1枚のカードで何度でもクラウド上にある自身のプロフィールを交換したりアップデートできる、これからの時代にぴったりな「出会いを通したイノベーション」が可能にした“新”名刺として、企業や若者を中心に流行の兆しを見せています。

そんな注目を集めるデジタル名刺 “プレーリーカード”の活動拠点は渋谷スクランブルスクエア15階、多様な新規事業が集まる共創施設 SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)。今回、創業者の1人である坂木茜音さん(トップ写真右、共同代表片山大地さん)が渋谷新聞のインタビューに応えてカード制作の秘話や渋谷での活動について語ってくれました。

*Near Field Communicationの略で近距離無線通信を意味する。非接触ICチップを使い、かざすだけで通信できる通信規格

 

共同代表との出会いとプレーリーカードの誕生

プレーリーカードの共同代表である片山大地さんと私は、コロナ禍の東京で仕事を通じて出会いました。その後意気投合し、私が東京都足立区にあるシェアハウス“アサヒ荘”を始める際に初期メンバーとして大地さんを誘ったんです。お互いシェアメイトとして生活をしていたのですが、2022年5月にシェアメイトの1人で路上アーティストの男の子がヨーロッパに行くことになり、何かプレゼントをしたいと思ったんです。私がプリンティングの機械のノウハウがあることと、大地さんがエンジニアリングの技術を持っていることから、カード一枚で多くの情報を渡せるデジタル名刺の制作が始まりました。

紙の名刺を交換する習慣があまりないヨーロッパでの活動や、SNSで作品を紹介しているアーティストであるシェアメイトの活動を広めていけるよう、スマホでタッチして自分のプロフィールやSNSが表示される機能を持つデジタル名刺はぴったりだと思ったんです。同時にクリエイターやフリーランスが多いアサヒ荘のみんなの分のカードも作りました。すると、『すごくいいね!』と評判になったんです。

そこから、家に遊びに来る友人や知人からも、『これめっちゃいいね! 欲しい!』という声が集まり、多くの人が使ってくれるようになりました。そこから、大地さんと2人でプレーリーカードという名前やロゴを決め、ビジネスとして話が広がっていったんです。

今ではシェアハウスのメンバーがアンバサダーのように、いろんな場所でこのカードを広めてくれています。友人や家族といった身近な人が応援してくれているのはとても嬉しいですし、思った以上のスピードでプレーリーカードが広がっているのも、そんなコミュニティーの力が大きいと思っています」

そう語る坂木さん。

クリエイティブディレクターやデザイナーの経験がある坂木さんと、エンジニアや事業開発などを経験してきた片山さん。お互いの強みを活かしてNFCチップ内蔵カードのデザインといったハード面と、プロフィールや管理画面などの使いやすさを考慮したソフト面を併せ持つプレーリーカードが誕生したのも納得のコンビネーションと言えます。

プレーリーカードなら、初めましての会話に広がりが生まれる

プレーリーカードは、『人と人との出会いを豊かにする』ことを目的としています。変化していく情報を何度もアップデートすることができ、SNSやブログといった誰もが併せ持つ自身の多面性や多様性を表現することも1回の情報交換で可能になりました。一生分の名刺をこの一枚に納めることができることで、出会いに奥行きと広がりが生まれ、普段は堅苦しい名刺交換もプレーリーカードなら会話が広がり、一瞬でグッと距離が縮まりそうです。

「従来の紙の名刺では印刷できる情報は限定的です。今は個人がいくつも肩書きを持ち、SNSや複数のコミュニティーで自由に活動し、繋がり方が多様化している時代。限定的な情報だけではその人自身のことが伝わらなかったり、情報が変わったときに作り直さなければならないなどの課題がありました。
それが、このカードならスマホをかざすだけで、自分だけのプロフィールページを共有できます。プロフィールページは思いのままに作成したり編集もできるので、『初めまして』の場で話を膨らませることができます。
デジタル名刺自体はプレーリーカード以外でも普及していて、中にはスマホに貼れるようなシールタイプのものもあるんです。シールタイプは情報が埋め込まれているチップ(NFC)部分が小さく、読み取りにくいという難点があったり、他社のデジタル名刺はカードのデザインが変えられないなどの制限があるものも。
そこで、差別化という意味も含め、カード本体でユーザーのアイデンティティーを表現できるよう、オリジナルデザインで自分の好きな写真やイラスト、文字などをクオリティの高い印刷で入れられるようにして、その人らしさを表現できるようにしました」

印刷やデザインへのこだわりは坂木さんの情熱が感じられます。筆者もインタビュー後にプレーリーカードを購入し、実際にオリジナルデザインを考えて家に届いたカードに情報を書き込んでみました。カード本体のクオリティはもちろん、配送時の封筒にもセンスとこだわりを感じられ、とても愛のあるプロダクトだと感動しました。

コミュニティーから生まれ、コミュニティーから広がる

次に、共同代表である坂木さんと片山さんの役割について伺ってみました。もともとシェアハウスの仲間で現在もシェアメイト6人と一緒に暮らしているお二人。活動拠点から帰る電車も一緒で、今は常にプロダクトや事業の話をしながら渋谷から足立区の自宅までの電車に揺られているそうです。

「私は美術大学で伝統工芸を勉強しました。物理的なものとか総合的な体験のデザインをどうするかということに関心が高いので、このカードをどうやって読み込んで、読み込んだ後にどうやってアクションするのか、使うパターンをできるだけ想像してデザインや経営戦略に落とし込んだりもしています。
誰が本当のターゲットなのかだったり、どういうPRをすればより広がるかといったところまで想像するのが私の役割で、それを現実的に落とし込むのが大地さんの役割なので、とても良いバランスが取れているのが私たちの強みだと思います。

また、プレーリーカードがこうして広がった理由は、私と大地さんがそれぞれ様々なコミュニティーに属しているというのもあると思います。お互いの属しているさまざまなコミュニティーとプレーリーカードとの相性がとても良くて、リリースした際には一人一人に個別連絡など行いました。そして、リリース後は、いろいろな方がSNSなどでプレーリーカードについて投稿・拡散してくださいました。そういった投稿は結構細かくチェックしています。ほとんどがポジティブな反響だったのも嬉しかったですし、SNSの声をいち早くプロダクトに反映しアップデートすることで、広がりを生み出せたことも大きなポイントだと思います。

一方で、このカードは可能性が無限大なのが、ある意味で大変なところでもあります。名刺としてだけではなく、QRコードの代わりに使えるので、例えば、展示会で説明用の資料を見せることができたり、ラーメン屋さんのメニューを紹介したり、医療関係の方が論文を紹介したりと、名刺交換以外の場面での可能性も広がってきています。

やれることが多いというのは未来志向の強い私にとって、とてもやりがいがあるビジネスだとも感じています。

今年の2月にジョインした3人目のメンバーの境は、ビジネスや数字周りにとても強みを持っています。情熱と熱意を持って、私たちが目指しているミッション・ビジョンに共感しながらビジネス周りの根拠を示してくれるので、今後のビジネス展開もとても心強く、楽しみに感じています」

今までは共同代表の2人とシェアメイトがアンバサダーとして強力にサポートしてくれていたスタジオプレーリー社。新たなコアメンバーが加わることで、ビジネスが加速し更なる成長が期待できます。

コアユーザー層がいる渋谷でのビジネス展開について

坂木さんと片山さんが渋谷でビジネス展開することを決めた理由は、渋谷は面白い人が多く、情報が集まっている場所であることと、プレーリーカードのコアなユーザー層であるクリエーターや個人事業主、学生が多く集まるエリアだったから。お二人とも、スタートアップや個人事業主として自由でイノベーティブな働き方を歩んできた経験があるからこそ、渋谷という土地の可能性を活かし、プレーリーカードがどんどん広がっているのだと感じました。

「私たちは、ここSHIBUYA QWSで活動し、そこのみなさんの紹介で渋谷の企業やコミュニティと協力関係を築くことができました。また、渋谷区議員の橋本ゆきさんにもお使いいただいたり、去年の秋頃、北渋フェスティバル2022に出店したときには近隣住民の方々にも興味をもっていただき、その後コラボレーションのきっかけになったこともあります。

渋谷という土地柄、住民の方々も企業で働く方々もとても考え方が新しく柔軟で、どんなものも面白がってくれるという特徴がある気がしています。そのおかげで、プレーリーカードをいち早く取り入れて社員証として利用してくださったり、展示会の説明資料がわりに導入してくれた企業さんがあったり、立場に関係なく面白がって興味を持ってくれるので承認を得やすいようです。新しいものを歓迎してくれる空気を感じています。
まだ模索中ではありますが、今後は渋谷の学生さんやスタートアップの方々に向け渋谷でイベントも企画していきたいです。
今は、デジタル名刺のプレーリーカードを“文化”として取り入れてもらえるようにするにはどうしたら良いかと考えている最中です!」

最後に楽しそうにそう伝えてくれた坂木さん。
筆者の周りでも、渋谷周辺で活動する知人やシェアハウスなどのコミュニティーに属する人たちの間で、どんどんとプレーリーカードユーザーが増えています。
渋谷のあらゆる場所で、さまざまなデザインが施されたプレーリーカードでタッチ交換をしているのを見かけるのが当たり前の光景になる日も近いのではないかと思います。

 

(編集:tannely イトウノリコ)

 

◾️坂木茜音 略歴
プレーリーカードのサービスを展開する株式会社スタジオプレーリー共同代表。クリエイティブディレクターやアーティスト、シェアハウスの管理人という肩書きを持ちながらプレーリーカードのサービスを開始。伝統工芸・アート・建築のバックグラウンドをもつ。
プレーリーカード個人ページ:https://my.prairie.cards/u/akane.sakaki

◾️Prairie Card WEB:https://prairie.cards

 

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