CCBT×NEWで創る、新しい街と人との繋がり【CCBT×渋谷新聞/原宿表参道新聞 第1弾】

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アートとデジタルテクノロジーを通じて人々の創造性を社会に発揮するための活動拠点、シビック・クリエイティブ・ベース東京 [CCBT](以下、CCBT)が、2025年12月13日(土)に原宿へ移転リニューアルオープンします!「都市は、想像力を要求する。」をキャッチコピーに、多彩な展示やワークショップが開催されるそうです。今回、CCBTのリニューアルオープンに向けた広告コミュニケーションを手がけ、新たな都市と創造の関係を提案した分野横断的なクリエイティブ集団「NEW Creators Club(NEW)」のみなさんにお話を聞かせていただきました!

クリエイティブディレクター・アートディレクター 坂本俊太(NEW Creators Club)
プロデューサー 山田十維(NEW Creators Club)
グラフィックデザイナー 河島倫子(NEW Creators Club)
コピーライター 川又音(TBWA \ HAKUHODO)

NEW Creators Club

▲NEW Creators Clubの皆様(左から、坂本俊太さん、山田十維さん、川又音さん、河島倫子さん)

ーーまず、NEWって一体どんな会社なんですか?

坂本「NEW Creators Clubというのは、もともと武蔵野美術大学の在学生からスタートして今はNEWとして法人化しています。グラフィックデザインを中心に、プロダクト、印刷加工、プログラミング、化学、ストラテジックデザインなどを多岐にわたってデザイン制作を行っています。学生時代から大学の近くのアパートにアトリエを借りてみんなで制作する場所がありました。もともと成り立ちはかなりゆるいチームですけど、どんどん人も増えてきて活動が大きくなって、今に至っています。僕らのプロフィールにも書かせてもらってるんですけど、デザインだけじゃなくてテクノロジーの実装や、今回でいうとコピーライティングの部分とか。様々な原料を混ぜて素材からパッケージ開発した作品なども過去にあったり、とにかくいいモノを作るためだったら、クリエイティブに関わる全てのことを何でもやります、という集団です。」

ーーアトリエ時代はどんな感じでしたか?

坂本「学生時代のアトリエには本当にいろんなところから人が集まっていました。僕らが4年生のときにこの団体を作ったんですけど、1年生から4年生までばらばらでそこに入っていましたね。その中から同じ専門分野を志す4人でNEWを立ち上げました。今でも結局、昔の後輩がオフィスに遊びに来て、一緒に仕事をしたりすることもあります。」

街と、創っていくもの 

▲実際にアプリケーションを使っている様子

ーーCCBTが渋谷から原宿に移転するにあたって「都市は想像力を要求する」というメッセージを提案されています。NEWさんが展開する「動的なデザイン」は、CCBTの移転に向けたコミュニケーションを通じて、渋谷という「まち」や、行き交う人々とどのように関わり、どのような変化を生み出そうとしていますか?

川又「今回「都市は想像力を要求する」というちょっとあえて強い言い回しにしているのには理由があります。テクノロジーが発達するとどんどん便利になって、それで解決される問題もたくさんあります。テクノロジーは進歩していくべきだと思いつつ、そうなると逆に意識しなくていいことが増えて何も考えなくなる。そうなっていく中で、もう一回自分たちが無意識に生きているこの街の、些細なものを能動的な視点を持って捉え直してほしいという思いがあります。CCBTさんから、今回の移転のための広告を通して街に生きる人たちの都市の見え方、物の見方が変容するのを促したいというお題がある中でこういったコピーが生まれました。」

ーーCCBTは「アートとデジタルテクノロジーを通じて人々の創造性を社会に発揮するための活動拠点」ですが、NEWさんのクリエイティブの力で、この活動拠点と渋谷の「まち」の関係性をどのように深めたいと考えていますか?

坂本「まず一つ言いたいのが、僕たちはここでいうテクノロジーというのはいわゆるスマートフォンとかそういうものはもちろん、例えば今話している言葉とか、人間が発明したすべてのものくらいの感覚で捉えています。今回僕らは、デザインとして一方的にビジュアルを発信するのではなく、アーバンインクというアプリケーションを作りました。このアプリは街のものを写真で撮って、そこからインクを作ってお絵かきができるものです。CCBTと街の人との関係性の変容を誘発できるように、ただ受動的に鑑賞するクリエイティブではなくて、参加性のあるものにしました。」

ーーNEWさんはメンバーそれぞれが専門性を持つチームですが、CCBTとの仕事を通じて、チーム内での「共創」のあり方について、新たな発見や学びはありましたか

坂本「基本的には世の中のクリエイティブって基本協業なので、いつも新たな発見があります。今回でいうと、プロのコピーライターに書いてもらうんだったら大きな方向性は一緒に話し合いつつも最後のディティールの部分はなるべく任せたいと思っていました。協業する部分と責任を持って仕上げてもらう部分のフェーズ分けは、毎回意識しているところです。それがないと全体としてふわっとしてしまうのかなというのは感じているので。特に僕らは、ジャンルレスにやっちゃっているからこそ、関わる人数も増えてくるし、そういう意識付けっていうのが一番大事です。」

山田「今回のワークは普段の僕らの仕事に比べると、CCBTの方々との話し合いが多かったなと思います。こちらとしてはワンチームでやってている感じっていうのは、他の仕事と比べてあるなっていう感じはしてます。「想像力を要求する」というのも、コピーライターの川又が元々書いていたものをセッションのようなものを通じてブラッシュアップしていきました。川又自身、自分にない解がある面白さがあったそうです。」

坂本「普段の仕事では、出し戻しをくり返すに連れて、どんどんクリエイティブの純度が下がっていっちゃう感覚があるんですけど、今回はそれが上手く相乗効果になって前よりもちゃんとブラッシュアップされるという状態をキープできた珍しい事例だなと思っています。」

続いていくクリエイティブ

ーー広告コミュニケーションのアートディレクションにおいて、特に「次世代のクリエイティブシーンへの投資」という点で、NEWさんが最も注力したデザイン要素やアプローチは何ですか?

坂本「次世代への投資・・・僕らは自分たちのことで精一杯なんです(笑)でも、自分が学生の頃を思い出していつも思うのは、いいものを作ってこの業界に対して憧れを持ってもらい続けないといけないということですね。クリエイティブ系の仕事は、やっぱり大変ではあるから、普通は選ばない業界だと思っています。だけどその分喜びもあって、いいものができた時は嬉しいし、そういうところに憧れを持ってもらわないと、優秀な人とか熱意のある人たちがこの業界を志さなくなってクリエイティブが衰退していってしまう。勝手にそこに責任感を持ってみたいなことは意識しています。直接的には、武蔵野美術大学に呼んでもらって講義したりさせてもらったことはあります。
僕らの組織は、ワントップ体制みたいなものではなくて、ちゃんとスタッフそれぞれのクリエイティブが実現できる場所として、スタッフのみんなが長く居たいと思える会社にしたいというのがすごくあります。一方的なトップダウン式ではない組織として、このデザイン業界で新しいあり方みたいなのを作りたいなと思います。だから、まずはホワイトにする。そこと、クオリティーのバランスだったり、ビジネス的なことも考えたり、まだまだ課題は多いけど、頑張ればそういう組織というのは成り立つんだということを世の中に示したいと思っています。」

ーーCCBTの活動や空間が、学生をはじめとする若いクリエイターにとって「実験の場」として機能するために、デザイン面からどのような工夫を施しましたか?

坂本「ある種、クリエイティブを参加型にするということは、広告コミュニケーションのプロセスを開くということです。今回作ったアプリでワークショップをする予定があるので、そこから実際に、広告のコミュニケーションに使うビジュアルを作ったりしていく予定です。今、一旦ベースができたから、そこから実際のアクションにしていくということをやっていけたらいいと思っています。」

川又「広告のコピーやデザインは言いっぱなしになっちゃうことが多い印象があります。今回は掲げたものを本当に実行していくというのが一番大きいですね。」

ーー私(大橋)のように、これからクリエイティブな分野を目指す学生に向けて、NEWさんが考える「新しいデザイナー像」や「新しい働き方」についてアドバイスをお願いします

坂本「例えば手を動かせるようにする、動くものを作れるようにするというのは意識するといいかもしれないです。若い世代だとどんどん新しい技術が入ってくるので、それをすぐに使って試すっていうのは大事だと思います。フィードバックをもらいながらすごいスピードでトライアンドエラーを繰り返してる人がやっぱどんどん成長してるなというのは感じています。
今の時代、環境も整っている。それこそ、このCCBTという存在がそれの手助けをする場所として、活用できるんじゃないかなと思います。めちゃくちゃ機材揃ってるし。」

未来の街とその社会

ーーCCBTでの取り組みを通じて、テクノロジーとデザインが「社会課題の解決」や「都市の未来」にどのように貢献できると考えていますか?具体的なビジョンがあれば教えてください

坂本「具体的にはあんまり考えていないです。僕はどっちかというと、プロトタイプの数を回してそこから偶然生まれてしまったものが、結果的に何かを解決できるという方が早い気がしてます。一つの問題に入り込みすぎても、世の中の問題は基本的にはすごく絡み合っていることなので。CCBTは、課題解決の場所ではないと思っています。マイナスを0にすることではなく、0をプラスにするような試みだとも思います。これを東京都がやってるっていうことにすごく意味もあるし、課題というよりかは、もっと東京を面白くしようとか、クリエイティブの見方とか、その可能性みたいなことを街の人に感じてもらって、よりクリエイティブということの価値が上がっていったらいいなと思います。コピーの中で、「都市は静かな背景ではない」というものがあり、そことも繋がるなと思います。」

川又「カームテクノロジーの時代と呼ばれていて、技術が穏やかになっていると思います。街や人に溶け込んでいる技術が偉いとされるようになると、どんどん受動的になって、自分で創造したりしなくても暮らせていける時代だと思っています。そんな時に実は都市というのが自分の背景ではなくて、自分自身が描いていくものという風に思えるんじゃないかなと考えています。それが具体的な解決には繋がらないかもしれないですけど、自分が関与できると思えることから、まず始まるのかもしれないと考えています。」

今後の展望

ーーNEWさんのように、異なる専門性を持つクリエイターが集まり、一つのチームとして活動する魅力は何でしょうか?また、今後のキャリアを考える学生にとって、そのような働き方はどのような可能性を秘めていると思いますか?

坂本「いろんな専門性を持っている人たちがチームを作るというのはこれまでもこれからも大事になっていくと思います。それが組織としてあるというのは、単純にクオリティーを上げられることが多いんです。組織内に技術者など異なる専門性を持った人が多ければ多いほど、選択肢が広がっていっていいものができるんではないかと思っています」。

山田「あと単純に飽き性だからね。僕たちは一つのことをずっとやっていられないんです。今回のCCBTの件でも、事務所の右側が紙物をやっていて、左側はウェブのプログラミングをやってるみたいな。こんなちっちゃいチームの中でもフィジカルとデジタルどっちも同時並行に進んでて、こっちがこうだからこっちこうだよね、みたいなことをすごくスピード感を持って行えます。そういうジャンルを問わないみたいなところでいうと、良い働きをしているのかもしれないですね。」

ーーCCBTとの取り組みは、NEWさんの今後の活動にどのような影響を与えると予想されますか?このプロジェクトを経て、今後挑戦したい新たな分野があれば教えてください

坂本「今回のようなインタラクティブなデザインって、デジタルの中だけで完結するものだと思われがちなんです。でも全然そうじゃなくて、折り紙やあやとりだってすごくインタラクティブだと思います。そういうフィジカルなところにインタラクティブなクリエイティブっていうのはいっぱいあると思っています。今回作ったアプリも、描くだけじゃなくて、自分が歩いている街中のものを撮って使用するという、スクリーンの中のデジタルの空間とフィジカルの空間というのを接続して作れるようになっています。そういったクリエイティブをやりたいなと思っていたのが、今回テーマとしてあって、それを素直に実現できたのは嬉しかったです。」

山田「さっきも言った通り、多くの人の目に触れるような大きい仕事やパブリックなところをもっとやっていきたいという意味では、今回の仕事をやらせてもらえたということが、組織として進みたい方向と一致しているなと思います。だからやっぱり、色々なジャンルのことを一つの会社でワンパッケージでできるということが、効いてくるのかなと思いました。」

NEWさんが手がけた「Urban Ink」についての動画はこちら▼
https://www.instagram.com/reels/DRZDzYtkX_6/

◾️CCBT(シビック・クリエイティブ・ベース東京)
住所:東京都渋谷区神宮前1-14-4 1/1(ONE) HARAJUKU “K” B1・3F
(2025/12/13に東京都渋谷区宇田川町3-1 渋谷東武ホテル地下2階から移転)
営業時間:火〜日曜日:13:00〜19:00
定休日:月曜日(祝日の場合は開館し、翌平日が休館)
年末年始や保守期間など、その他の臨時休館がある場合もあります
web:シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]公式サイト
Instagram:ccb_tokyo
X:@ccb_tokyo
YouTube チャンネル:シビック・クリエイティブ・ベース東京 [CCBT]

◾️NEW Createors Club
NEW Creators Clubは、さまざまな専門性と飽くなき探究心をもった多彩なメンバーが集まっている。
グラフィックデザインを中心に、プロダクト、印刷加工、プログラミング、化学、ストラテジックデザインなど、それぞれに得意領域を持つが、そこに隔たりはない。さまざまな分野を掛け合わせることで、それぞれのオリジナリティを確立している。
モノやコトがあふれる時代を生きるクリエイターとして、 人の行動や感情に寄り添う「新しさ」と真摯に向き合い活動している。
web:NEW Createors Club ホームページ

CBBT×渋谷新聞/原宿表参道新聞 第2弾 の記事はこちら▼
ハラオモスナップ– 2025年12月号ハラオモスナップ– 2025年12月号 【CBBT×渋谷新聞/原宿表参道新聞 第2弾】

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