
渋谷駅の西側に位置し、坂の多い地形が特徴の桜丘。春には桜が咲き誇り、多くの人々が訪れます。そんな桜丘を支えている商店会が、渋谷駅前共栄会(以下共栄会)。
そこで理事を務めているのが、東京大学大学院 修士1年の長谷川雄飛さん。
今回は、若きながらも商店会で活躍する長谷川さんにインタビューを行いました!
一人暮らしで感じた、桜丘の温かさ
大学院生でありながら、商店会の理事を務めるという、不思議な経歴を持つ長谷川さん。ご自身についてと、桜丘のつながりをお聞きしました。
「現在、東京大学の大学院で情報系の分野を学んでいます。地元は杉並区なのですが、渋谷や桜丘とは長い間縁がありました。高校時代は放課後に渋谷へ遊びに行ったり、桜丘の予備校へ通ったりしていて、大学入学後は桜丘近くに2年間一人暮らしをしていました。その後は地元へ戻ったのですが、自分が代表を務める、教育支援を目的とした『特定非営利活動法人FOS』の事務所を桜丘近くに置くこととなり、再び縁ができました。
そして、FOSの事務所を通して共栄会との関わりが生まれました。
桜丘近くで一人暮らしをしていた時、地域の温かさをとても感じたんです。それまでは渋谷は遊ぶ場所であり、再開発も真っ只中。最先端の都会というイメージしかありませんでした。でも、実際に住んでみると、大家さんやお店の人など関わる人々全員が優しくて、都会である渋谷に対するイメージが変わりました。そんな桜丘に魅力を感じて、共栄会に入会してからは、地域の活動によく顔をだすようになりました」
※特定非営利活動法人FOSの記事 https://shibuya-shimbun.com/archives/2584

一人暮らし、NPO法人の事務所立ち上げを通して縁が生まれた、共栄会。ここでは、普段どのような活動を行っているのでしょうか。
「まず、渋谷駅前の中央ブロックと呼ばれるエリアには14の商店会があり、その中でもサクラステージなどがある桜丘の地域に所属してあるのが共栄会です。
普段は地域の清掃活動や広報活動などを行っています。特に共栄会の中で大きな活動が、3月に行われるさくらまつりのイベント活動です。さらに、昨年11月に渋谷サクラステージで開催した「渋谷阿波踊り」は今年から共栄会を中心に「渋谷阿波おどり実行委員会」が発足し、また渋谷区の後援を受け、街のお祭りとして2025年11月3日に開催され、これから共栄会の目玉イベントになっていきます」
桜丘のポテンシャルを、もっと活かしたい
共栄会の理事の中では圧倒的な最年少の長谷川さん、どうしてここまで深く関わるようになったのでしょうか。
「共栄会の活動に参加するにつれ、街や地域の人々により深く知れるようになり、とても面白いなと思ったんです。それと同時に、桜丘はとてもポテンシャルのある街なのに、活かしきれていないなとも思いました。桜丘は渋谷駅からすぐ近くで、ユニークな店が立ち並んでいたり、おしゃれな雰囲気のある地域です。そして、渋谷の再開発に伴いこれから人流の増える地域でもあります。その変化に、この地域は対応しきれていないと、共栄会に入ってから思うようになりました。
例えば毎年恒例のさくらまつりです。インバウンドの増加もあり、近年は多くの人が桜丘に来てくださるのですが、そこから桜丘の散策やお店を利用する所まで繋がっていないという課題があります。
そんな桜丘に対する自分の思いや行動力から、理事の仕事も務めさせていただくようになりました」

桜丘を盛り上げたいという想いから立ち上げた、『渋谷まちづくりゼミ』
「桜丘にはポテンシャルがある一方、共栄会を含む商店街は人手不足に悩んでいる問題もあります。さくらまつりも盛り上げていきたい一方、警備なども必要となり、人手が必要です。
そんな商店街の人手不足や課題を解決へ導くのが、学生や若者だと思っています。渋谷にはたくさんの学校があり、若者も多く行き交います。そんな若者が1人でも商店街に関わることで、よりよいまちづくりや、今まで見えていなかった商店会の課題がみえてくると思います。
ただ、現状は若者にとって『商店会って何?共栄会ってどこでつながれるの?』という、まちづくりに興味があっても関われない課題があります。その課題を解決し、若者と常に接触できる機会を生み出していくのも共栄会の役目だと感じています。
そんな想いから、僕は東大で『渋谷まちづくりゼミ』というものを立ち上げました。このゼミでは渋谷のまちづくりに関わる商店会や企業の方々をお呼びした講座の開催やフィールドワークを毎週行い、学生と地域が常に触れ合える機会を作り始めています」

桜丘、そして日本を盛り上げたい
共栄会の活動から、渋谷まちづくりゼミまで、様々な形を通して桜丘に関わる長谷川さん。精力的に活動をしている長谷川さんの目指す桜丘の姿は、どのようなものなのでしょうか。
「これから再開発が進み、人流の増える桜丘で僕が1つ目標としている事が『誰もが知る桜丘』を作ることです。地元の人以外にとって、桜丘と言われて渋谷を連想する人は多くないと思います。センター街といえば渋谷。道玄坂といえば渋谷。みたいに、桜丘といえば渋谷が連想されるくらい知名度が高くなって、桜丘がもっと盛り上がっていければ良いなと思います」
様々な分野で活動をしている長谷川さん。最後に、そんな長谷川さんの目標や将来についてお聞きしました。
「僕は興味が発散的で、大学院で情報系を学びつつ、FOSを通した教育支援の活動、そして共栄会を通した桜丘のまちづくりなど、様々な分野に手を出しています。その中で僕は『日本を盛り上げたい』と思っています。その方法は様々あると思うので、1つの型のはまらずにこれからも様々な活動をしていけたらと思います」
多岐にわたり様々な活動をしている長谷川さん。でも、その中にあるのは、「桜丘、そして日本を盛り上げたい」という軸。長谷川さんの考えからたくさんの学びを得たと同時に、商店会の可能性を感じた取材でした。

◾️長谷川雄飛 略歴
東京大学大学院 学際情報学府修士1年
大学2年次に立ち上げた特定非営利活動法人 FOSの代表として、中高生の教育支援に携わりながら、渋谷駅前共栄会の理事としても活動中。さらには、東大にて渋谷まちづくりゼミを立ち上げ、若者が渋谷のまちづくりを考える仕組みを生み出している。
渋谷駅前共栄会ホームページ:http://www.shibuyakyoueikai.com/
渋谷まちづくりゼミホームぺージ:https://shibuya-machizukuri.com/











