地域社会の活性化に尽力するリーダー JC渋谷区委員会委員長 伊是名千晶さん

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「明るい豊かな社会の実現」という理念を掲げ、様々な活動・運動を行っている団体、公益社団法人東京青年会議所。人種、国籍、性別、職業および宗教の別なく自由な個々の意志により入会した25~40歳のメンバーで構成されています。日本の青年会議所は活動の基本を「個人の修練」「社会への奉仕」「世界との友情」におき、会員相互の啓発と交流をはかり、公共心を養いながら、地域との協働により社会の発展に貢献するために活動し、社会的課題に積極的に取り組んでいます。

今回は東京青年会議所渋谷区委員会の第50代委員長である伊是名千晶さんにインタビューをしました。女性、シングルマザー、サラリーマンと今までの委員長とは少しバックグラウンドが異なるという視点から伊是名さんのこれまでの人生と8/31に行われる性教育に関するイベント(地区事業)「Shibuya Life Canvas」についてお話を伺いました。

昔から自分の意志を貫くタイプです

ーーまずは千晶さんご自身について教えてください

「沖縄出身で、大学で上京しました。新卒で投資用マンションの営業の会社に入ったのですが、その後父がやっている事業を継ぐために沖縄に戻りました。東京にも本社がある会社だったので、2012年に会社自体を東京に移し東京で働くことになりました」

「私は何事にも納得いかないとやらないタイプだったので、やることに対してどういう意味があるのかや、なぜこれをやらなくてはならないのかとずっと言っていたので、おそらく父親からするとあんまり扱いやすいタイプではなかったんだと思います。結果は残すし売り上げを上げてたのは私の方でしたが、ちょっと面倒くさいというか。父親と思想も意見は合わないけど会社を継ぐと決めてたので、売上を上げて会社を大きくするから私に社長を渡せと言ったら嫌だって言われたんです。9年間ほど役員をやっていたのですが、だったら会社やめようと思って辞めました」

「会社をやめた後は、スタートアップの会社に派遣社員として営業支援をやっていたのですがそこでも業績が良くて。外資系の大きめの案件を持っていたのですがその両方からヘッドハンティングが来て、そのうちの1つの会社に今は勤めています」

ーー営業が得意なんですね!

「新卒で入った会社が、今でいうゴリゴリのブラック企業でずっと電話営業をしていました。2ヶ月目くらいで1回心が折れて電話をかけるのが怖くなってしまって。上司に1回外に出てコーヒーフロートでも飲んでこいと言われその通りにした後には仕事に戻っていました。完全に吹っ切れたんですよね。そこからゲーム感覚で仕事をこなしていました。多分自分に合ってるんだと思います」

ーーどんな幼少期を過ごしていましたか?

「私の家は一般的に見るとおそらく裕福で、何一つ不自由なく育ちました。5人姉妹の末っ子なのですが1つ上の姉とも5つくらい離れているので結構可愛がられるタイプでした。年上に囲まれて育った影響もあるかもしれませんが母親からは昔から意志が強かったとよく聞かされます」

ーーどんな学生時代でしたか?

「標準語が分からなくてカルチャーショックが大きかったですね。東京が怖くて最初は怯えていました。今となっては嘘でしょ?と思われるかもしれませんが、とても人見知りで合コンとかも行ったことないし、アクティブではない学生時代でした」

「父の会社を継ぐと決めたのが高校生のときで、そのときに必要なのは経営学かなと思って経営に特化した学校に行きました。初めて勉強というカテゴリーの中で自分で選んだものだったので、すごく楽しくて学年で5位以内の成績を取ってたりとか、レポートは毎回出してSだったりとか、自分が好きなものを初めてやったときに自分は力を発揮できるんだなと感じた成功体験があったのは大学生でした」

青年会議所(JC)に所属するということ

ーーJCに関わる人はどんな人が多いのですか?

「経営者やお父様がJC出身で2世3世の人が多いですね、渋谷委員会に関しては私のようにサラリーマンの人も多くいます。社会貢献をしたいとか、そういう活動に関わりたいとか、新しいコミュニティを作りたいという方の集まりです」

「JCという組織自体は日本のものなのですが、男性の世界なんですよ。本当に昔の日本みたいに男性が強いみたいな感じなのですが、支部役員会に関しては女性が多いですね。社会的に活躍している女性、アクティブな女性が多いです。職業もさまざまですね。渋谷の街の性質上、ダイバーシティというか渋谷で活動したいという人が来てれくれるので非常にオープンです」

ーー渋谷区委員会の歴史について教えてください

「今渋谷区と秋田県の大館市って仲良くしていると思うのですが、この関係を作ったのは渋谷区委員会なんです。元々大館JCと渋谷区委員会が民間交流というのを図っている中から派生して行政同士の交流が生まれて平成13年1月24日に渋谷区および大館市の災害時における相互応援に関する協定を締結をしたそうなんです。この締結を機に渋谷区内の小・中学校の給食が大館産のあきたこまちが使用されるようになりました。そのきっかけとなったのが。支部役員会でした」

ーー千晶さんがJCに入ったきっかけは?

「2009年に沖縄にある那覇青年会議所に父に入らされたのがきっかけです。会社を継ぐのであれば同世代とつるむのではなく、諸先輩方と交流を深めて何かあったときに助けてくれる仲間を作りなさいっていうふうに父に言われたんですよね。当時23歳だったのですが、なんで私は時間とお金を使っておじさんたちと飲まなきゃいけないんだろうと思ったのが最初の印象です」

ーー渋谷JCとの出会いは?

「2012年に東京に来たタイミングで東京青年会議所に入るという選択肢の中で、たまたまJC会員全員で集まる機会があって、そこで初めて声をかけてきてくれた人が渋谷区委員会の人だったんです。改めて渋谷のメンバーを紹介されたときに沖縄のメンバーに似ていたんですよね。ウェルカム感が強くて、沖縄の方言の「いちゃりばちょーでー(一度会えば皆兄弟)」」みたいな雰囲気でした。温かい人が多く、でも個性が強い印象があります」

ーー渋谷区委員会で活動していく中で思い出に残っているエピソードはありますか?

「2015年頃はまだお店でタバコが普通に吸える時代でJCの懇親会でも喫煙が盛んだったのですが、私は妊娠初期でまだ周りには言えない時期でした。でもJC活動があったので、妊娠2ヶ月頃に委員長に伝えました。ヘビースモーカーの委員長は、懇親会で私のことは言わずに、「妊娠している女性に気づけないこともあるから、喫煙者は別の場所で吸おう」と飲みの席で提案してくれたんです。自分も喫煙者なのに配慮してくれて、他のみんなも自然と従ってくれました。とても嬉しいエピソードとして思い出に残っています」

ーー渋谷JCは渋谷にとってどんな存在ですか?

「知名度はまだまだですけど、商店会とかが何か困ったときにJCに相談してみようかなと思える立場になるのが理想です。渋谷は特にパワフルな企業が多いじゃないですか。今はその人たちの力を借りて市民の方と繋がったり企業とか行政に繋がったりという印象です」

「JCはビジネス団体ではないのでなので、JCが得意とするべきことは行政や企業や市民を繋げるパイプ役として、本来はあるべきなので公開討論会とかも中立の立場で市民の方にわかりやすく伝えて投票率を上げるみたいな動きをするような感じでハブとなるべきだと思っています」

千晶さんが考える性教育

ーー千晶さんが委員長になって初めての今回の地区事業(それぞれの地区ごとに行う事業)、どんな思いが込められていますか

「今回は性教育がテーマになっているのですが。実は私も予期せぬ妊娠で子どもを堕ろした経験があります。女性は身体も傷つくし心も傷つきます。そのときに私にもう少し知識があったりとか、彼にもう少し知識があったら防げたかもしれないと思いました。望まない妊娠をして出産をして幸せな方ももちろんいるだろうけど。おそらく一握りだったりするとは思うんです。なので女の子は自分の身を守らないといけないし守る術を知るべきだし、男の子は自分の欲を満たすだけじゃなくて相手を思いやるべきだし。私みたいにつらい思いをすることを減らしたいっていう思いから、その性教育をちゃんとやるべきだっていうふうに思ったのがまずきっかけです」

「渋谷に限らずですが、日本での性教育のやり方はきちんとできていない気がしています。私が小さいときに受けていた性教育ってHIV感染とかAIDSとかそういう知識を得てるんですけど、多分今の子たちってあんまり細かい話までは聞けてないかなと思っています。なんで命に関わる大事なことを教育者はしっかり教えてくれないんだろうとモヤモヤがあって。親も行政も教えてくれないならJCが率先してやるべきだと思い開催に至りました。実体験を持っているからこその思いもありますし、私の経験も無駄にしたくないなと思っています」

ーー渋谷でやる意義はありますか

「性教育ってあまり大きい声では言えないようなコンテンツですが渋谷は区自体がダイバーシティをうたっていますし色んな人はいていいよというオープンな感じがありますよね。なので渋谷でやることでなんとなくオシャレにというかファンキーに明るくできる感じがしてます」

「今回の事業では体験型とか少し笑えるとかのコンテンツを提供します。コンドームとか別に隠す必要ないじゃないですか、これからみんな使うものだし。そんな雰囲気を出せるのが渋谷ならでななのかなと思います」

「産婦人科の方が言ってたんですけど、学生の子が望まない妊娠で堕ろしたいですと相談に来る子たちの多くは県外の子たちらしいんです。県外の地元の病院だと誰に見られるか分からないけど、渋谷だと正直みんな他人に興味ないじゃないですか。そういう意味でいい隠れ蓑になるんですっていう話を聞いて確かにそうだなと感じました。誰が何を言ってもいいんだよとうスタンスは渋谷にはありますね」

 

今回は23歳から青年会議所に所属し、現在渋谷区委員会で委員長を務めている伊是名千晶さんにお話を伺いました。仕事に子育てにJCに何事にもパワフルな千晶さん、とても憧れの存在です。8/31に行われる渋谷区委員会の地区事業も、正しい知識の提供と性教育が持つ重要性について深く考えることができます。千晶さんの想いが込められた地区事業にぜひ足を運んでください!

 

【Shibuya Life Canvas ~性教育とフェムテックで考えるライフデザイン~】
日時: 2024年8月31日(土)10:00~18:00
場所: WITH HARAJUKU HALL
参加費: 無料
詳細・申込:https://tokyojc-shibuya.jimdosite.com
主催: 公益社団法人東京青年会議所 渋谷区委員会
共催:相模ゴム工業株式会社

 

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