オーダーメイド型ライブハウス『TOKIO TOKYO』オーナー 橋本登希男さん

渋谷公園通りはセレクトショップや渋谷モディ、Apple Storeが立ち並び、多くの人で賑わっているエリアです。
そして、渋谷PARCOの向かい側に3月でオープン1周年を迎えたオーダーメイド型ライブハウス「TOKIO TOKYO」があります。
今回はオーナーである橋本登希男さんにお話を伺いました。

 

様々な人が行き交う街で、誰もが笑顔になれる空間を作りたかった

「父が横浜でライブハウスを経営しており、小さい頃からよくライブハウスに遊びに行っていました。
大学生のときには渋谷のWOMBというクラブを借りてハロウィンイベントなどを主催していたんです。
本来、演者以外はステージに上がらないのですが、僕らはガンガン上がって盛り上がっていました(笑)
そのときにステージ上からお客さんが自由に楽しんでいる姿を見て、とても胸を打たれて。人が笑顔になれる空間や場所を作りたいと思った瞬間でした」

大学卒業後はIT業界に進むものの、ステージ上から見た景色が忘れられず現在のHYPE株式会社を設立した橋本さん。
音楽業界との繋がりが全くない0からのスタートだったそうです。

「コネクションがない状態から音楽業界に参入する難しさは前職のリクルートにいた頃から感じていました。
参加していたプロジェクトに、ファンが自分の好きなロックバンドをブッキングしてライブを企画・主催するのを手伝うというものがありました。​​ただ、僕らも音楽を専門にした仕事をしていたわけではないのでとにかくアーティストのブッキングが難航し、コネクションがなければやはり厳しいなと思っていた部分もありました。

その後、退職し起業を考えたときに、一度は飲食店を始めようかとも思いました。美味しいご飯を食べているとき、とても幸せな気分になるじゃないですか。
そういった意味では〝人が笑顔になれる空間や場所を作りたい〟という自分の夢とも合致していたので、事業計画書も書いてみました。が、そんなに簡単にいくわけもなく……。
どちらも厳しい道になるなら、やっぱり音楽業界に進みたいと思って決意を固めました」

 

普通のライブハウスとは一味違う体験を提供したい

▲自動ドアを開けるとまず目に入ってくる看板がスタイリッシュに光る。営業中や店舗に人がいるときにのみ点灯するため、その瞬間を写真に収めて「#トキトキチャレンジ」と投稿するというムーブメントも

 

▲扉を開けると高級感のあるエントランス

 

▲ TOKIO TOKYOのステージ。最大収容人数は250人ほど

 

「昔ながらのライブハウスもすごく好きなんですが、内装が綺麗でかつ小さいライブハウスってなかなか無くて。自分がはじめる箱は、デザインもこだわれば他の箱との差別化もできると思いました。1周年を迎えて『出ている出演者のことは知らないけど、TOKIO TOKYOなら間違いないから』と言って来てくださる常連さんや『TOKIO TOKYO、めっちゃ話聞くよ!』と声をかけてくださる方がいるのはすごく嬉しいですね」

 

「この物件を不動産屋から紹介してもらったのが2020年5月、コロナ禍真っ只中でした。
なかなか借り手が見つからないということで僕達のような小さな企業に話が回ってきたのですが、立地的にも公園通りに面したhotel koé tokyo(現在は閉館)の地下で、俺が学生の頃から愛した渋谷なんて最高じゃん! と即決しました」

 

実際にその立地を生かし、昨年4月にはhotel koé tokyoとTOKIO TOKYO、2会場往来自由のサーキットイベントが開催されました。
当日はまん延防止条例発令中の開催につき、入場制限を行いつつも200人を超える人が足を運び、イベントは大盛況に終わったそうです。
それ以来、hotel koé tokyoとTOKIO TOKYOは度々タッグを組んでイベントを開催し、コロナ禍でも生の音楽を感じられる場所を守り続けていました。
しかし、新型コロナウイルスの影響により2022年1月をもって閉館してしまったhotel koé tokyo。

 

TOKIO TOKYOで今販売しているハンドメイドのロイヤルミルクティー、通称”ロイミ”は、その友好関係からインスパイアされて販売しているようです。

 

TOKIO TOKYOをなぜ渋谷で立ち上げたのか

「渋谷には他の街にはないパワーがあると思っています。
混沌としているところもあるけど、それらを全て包み込み許容する空気が流れているような気がしていて、そこから更に新しいカルチャーや交流の場が生まれ出てくることもある。
それに、多様な人種、価値観を持つ人が集まっていて、どんな人に対しても寛容な街ですよね。
音楽に関しても近いことを感じています。日本中に格好いいアーティストやミュージシャンは沢山いるけど、みんな渋谷に集まってくるような気がしていて。
新宿や下北沢、秋葉原とそれぞれカラーを持っている街はあるけれど、渋谷はその中でも最先端であり続けてると思います。
そして、その中で新しい音楽シーンを発信したいと思ったので、TOKIO TOKYOを渋谷で立ち上げました」

 

今後はライブハウスとしてだけではなく、TOKIO TOKYOオリジナルのアパレルラインの展開やオリジナルのお酒の販売など、さまざまな分野で人々が楽しめることを企画していくそうです。
カルチャーを守る場でもあり、次の世代に繋げていく発信地でもあるTOKIO TOKYOから今後も目が離せません。

 

■橋本登希男 略歴
HYPE株式会社 代表取締
メルカリやリクルートを経て、2019年にHYPE株式会社を創業。
アーティストマネジメント事業を運営しながら、2021年3月に渋谷TOKIO TOKYOを立ち上げ。「超存在感」や「FIRST FINDER」などのフラッグシップイベントから、カッティングエッジな音楽シーンを発信し続けている。

■TOKIO TOKYO
住所:東京都渋谷区宇田川町3-7-B1
HP:https://tokio.world/
Twitter:@TOKIOTOKYO_

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