反対された方に賭けてみる  ピーティックス藤田祐司さん

人々が自分の情熱を発見し、尊重し合える仲間に出会える場所を提供する」というミッションを掲げ、有志の集まりから大型フェスまで様々なイベントで活用できる、日本最大級のイベント・コミュニティプラットフォームを提供するPeatix Japan株式会社(以下ピーティックス)。
今回はピーティックスの共同創業者であり、現在CMO(Chief Marketing Officer)を務める藤田 祐司(ふじた ゆうじ)さんにインタビューをしました!

「起業ごっこ」をした大学生時代。

ーー藤田さんはどんな学生時代を過ごされましたか。
僕が学生だった頃は、社会全体で「起業ブーム」が起こっていたんです。日本では当時オンザエッジを経営していた堀江 貴文さんやサイバーエージェントの藤田 晋さんなどがいつもメディアに出ていました。世界を見ると、当時はAmazonがすごい勢いで成長していました。普段からそういった人や企業の話を聞いたり、見たりしていたからなのか、自然と起業に興味を持ち始めていたんですよね。そこで、大学2年生くらいの時から起業ではないですけど、「起業ごっこ」みたいなことをするようになったんです。例えば中古バイクの検索サイトを作ってみたり、高級Tシャツの販売をしたりしました。うまくいかないことも多くあったんですけど、なんとかやりきりました。

ーー大学生活で、学業と「起業ごっこ」の両方に打ち込むのは大変ではありませんでしたか。
当時はサークルでスポーツもやっていたので確かに忙しかったとは思いますが、友人の家に泊まり込んで何かに打ち込むことができる時期だったので、特別忙しいと思った記憶はないですね。お金がなくて大変だった時期はありました。(笑)

ピーティックス起業の裏側

ーーピーティックスの創業エピソードを教えてください。
実はピーティックスを創業する前に3つの事業で失敗しているんです。けれど一つ一つの失敗から学ぶことが多くあって、より良くなっていけたと思っています。私たちの会社は「個のエンパワメント」という軸をもって、Orinoco株式会社(現Peatix Japan株式会社)を2007年に創業しました。創業当初はAmazon Japanで出会った仲間4人でしたが、現在は9カ国で100人ほどの社員が一緒に働いてくれています。

ピーティックスのサービスは2011年5月にスタートしたんですけど、東日本大震災の影響で世の中が自粛モードになっており、元々想定していたエンターテインメントのイベントなどが開催されない状況になってしまったんですね。その時は「どうしようかな。。」という雰囲気になったのですが、復興支援など「自分たちにできることをとにかくやろう」とコミュニティを応援することを始めたんです。
コミュニティを支援し続けていた結果、震災の時に一緒に世の中のために動いてくれた人たちが、ピーティックスを今もずっと使い続けてくれているんです。ピンチとか大変なことは起こるけど何か人のために動いていると、いい方向へつながっていくんだなと体感できました。

ーーピーティックスにはオンラインイベントが多くあると思うのですが、それには理由があるのですか?
新型コロナウイルスが大流行したことが大きなきっかけです。元々ピーティックスは99%ぐらいがオフラインのイベントやコミュニティをサポートするサービスでした。新型コロナウイルスが爆発的に流行した時、ほとんどのオフラインのイベントがキャンセルや延期になってしまい、目の前からイベントが消えていき「こんな急にサービスが終わる危機を迎えることがあるんだ」と正直思いましたね。

そんな時、色々なイベント主催者・コミュニティ運営者の皆さまとお話をして、未開拓だったオンラインイベントに可能性を見出し、方向転換をする決意をしました。多い時は1日4本オンラインイベントのファシリテーションをやったり、24時間のオンラインチャリティイベントを開催したり、オンラインイベントを突き詰める時期を半年ほど過ごしました。その時にできることを精一杯やった結果、現在のような形になりましたね。

住んで遊んで働く場所・渋谷

ーー渋谷とはどのように関わってきましたか。
僕は渋谷に住んでいますし、ずっと仕事場も渋谷ですし、遊ぶのも渋谷が多いので、様々な角度から渋谷を見て、関わっていると思います。
また渋谷で遊んだり、働いたり、住んでいたりする人たちが集まれるコミュニティを3年ほど前に立ち上げています。

ーー藤田さんの思う渋谷の良さは何ですか。
「多様性を受け入れる素養があること」が渋谷の良さだと思っています。言うまでも無く渋谷はいろんな人が来て、多様性に富んだ場所になっています。それにより沢山の人が「一旦渋谷に行ってみよう」という流れができると思うんです。同じコミュニティに同じ人しかいなかったら変化って起きないですよね。それが渋谷の場合、いろんなチャレンジや今までなかったイベントが発生して、大量の人が溢れたりするじゃないですか。それが渋谷の良さだと思っています。

ーー逆に渋谷の課題は何だと思いますか。
「渋谷って住む場所だ」っていう印象を持たれていないことですかね。やっぱり住んで、働いて、遊ぶことで見えてくる渋谷があるし、そこからパワーをもらっているんですよね。顔を出せるコミュニティも多くなりますし、広がりが生まれてるなと思えるんです。渋谷駅の周りのイメージが強すぎて、渋谷には幡ヶ谷とか笹塚とか面白い場所がもっとあるのに知られてないのがもったいないな。と思っています。

ーー渋谷とは今後どのように関わっていきたいですか。
自分の中ではもう相当な時間を過ごしてるエリアっていうのもありますし、やっぱり面白いエリアだなと思うので、自分自身も継続して活動していきたいなと思ってます。
渋谷は本当に面白い人だらけなのに、それが可視化されていない、表に出ていないって言うのが惜しいですよね。
それがまさに渋谷新聞さんが行っている「渋谷の面白さを記事にして可視化する」活動だと思うので、私も全力でサポートしたいと思っています!

将来に悩む若者へ

ーー最後に将来に悩んでいる人へアドバイスをお願いします!
1番難しい質問ですね。(笑)アドバイスではないですけど、最近僕が気づいた原理原則みたいなものがあるので、それをお伝えしますね。
「反対意見が出ていることに賭けてやってみると、大体いいことが起こる」ということです。例えば僕の場合だと、当時はスタートアップでまだ有名でなかったインテリジェンス(現パーソルグループ)に入社するという時は、親が大反対。また世界最高峰のスタートアップを経験したいということでAmazonに転職しようした時も、当時ネットバブルが崩壊した時期だったこともあり周りから結構反対されました。起業するときも、周りから反対意見が出ました。けれど、反対意見が出た時に踏み込んでいくと突き抜ける感覚があるんですよね。みんなが合意するものって、基本的にはもう世の中にあったり特徴のない決断になってしまうんです。

結構怒られちゃいそうな話ですけど、反対があるくらいの行動や決断のほうが、結果的に良い動きにつながると思っています。なので、反対意見が出るくらいの動きを選択するっていうのは、一つ良いんじゃないかなと思います!

◾️インタビューを終えて

今回藤田さんとお話をして、自ら行動を起こす大切さに気付かされました。どうしても変化することを避けがちですが、自ら行動して変化していける人がイノベーションを起こすことができるんだと思います。大きな目標は決まっていないけど、色々なことに挑戦して、自分にできることを増やしていきたいな。

 

◾️藤田 祐司 略歴

Peatix Japan株式会社 共同創業者 取締役・CMO (最高マーケティング責任者)

慶應義塾大学卒業。株式会社インテリジェンス(現 パーソルキャリア株式会社)で営業を担当後、2003年アマゾンジャパン株式会社(現 アマゾンジャパン合同会社)に入社。最年少マネージャー(当時)として、マーケットプレイス事業の営業統括を経て、Peatixの前身となるOrinoco株式会社を創業。国内コミュニティマネージャーチームを統括したのち、営業、マーケティング統括を兼務。2019年6月 CMO(最高マーケティング責任者)に就任し、グローバルを含めたPeatix 全体のコミュニティマネジメント・マーケティングを統括。渋谷区在住・在勤。

日経COMEMO キーオピニオンリーダー。 LinkedIn認定インフルエンサー。著書に「ファンを育み事業を成長させる「コミュニティ」づくりの教科書」(河原あずと共著/ダイヤモンド社/2020年)

 

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