楽しいが溢れる街づくりを目指す 渋谷公園通商店街振興組合副理事長  早川聡彦さん

渋谷マルイと渋谷MODI付近から代々木公園に通じる渋谷公園通り。 渋谷公園通りエリアは、渋谷スクランブル交差点から代々木公園、神南地域などが含まれ、アートやカルチャーの中心地として多種多様な人が集う街となっています。そんな渋谷公園通りや渋谷駅周辺の街づくりに従事している渋谷公園通商店街振興組合副理事長の早川聡彦さんにお話を聞きに、ご自身が入居されているワイズ神南ビルに伺いました。

渋谷・渋谷公園通りとの出会い

ーー早川さんと渋谷の出会いについて教えてください
「本業がハワード株式会社というアパレルメーカーなのですが、その本社の移転先が渋谷区神南でした。ハワード株式会社は1923年に祖父が創業して100年以上の歴史があります。2011年にこのビル(ワイズ神南ビル)が売り出されているところを購入し、神田から本社を移しました」

「引越してきたときに、ここの地域に根ざして行こうという思いがありました。区役所とパルコの建て替えや再開発の影響でこの辺の飲食店の多くがなくなっちゃったんですよね。街っていうのが周辺の環境だとか、人の流れとかで変化していくことを目の当たりにして、その中でどうやったら自分たちがいるところの価値が上がるだろうかと考えてしっかり街に関わっていこうと思いました」

ーー早川さんにとって公園通りはどんな街ですか?
「出身はこの近くなので、昔から渋谷には来ていました。特に学生時代には思い入れがあります。渋谷の中でも落ち着いた街だと思っていますが、代々木公園の入口というか、公園と渋谷駅を繋ぐ街だと感じています。名前も公園通りだし、PARCOというアイコンの商業施設も”公園”という意味ですし。代々木公園と街の連続性を感じられる街だと思っています」

「公園通商店街はずっとフラワーフェスティバルというものを毎年開催していて、緑も街の中で楽しめる街となっております。(渋谷公園通りの1本東側にある)プチ公園通りはたくさんお店があるので、ファッション・クリエイティブな場所だなと感じていて、そこをより次の文化にまで育てていける街にしていきたいと思っています」

ーー公園通りで抱えている課題はありますか?
「大きい再開発がまた始まる予定なんですよね。そうなると本当に目的のある人しか来てくれなくなっちゃうので、人の流れが変わってプチ公園通りとかに来てもらえなくなっちゃうのは寂しいですね。危機感はあります」「公園通りの未来の姿をいろんな人に考えていただいて、それを街づくりに活かしていきたいと思ってデザインコンペを開催しました。100件近く応募がありました。これは渋谷公園通商店街振興組合とは別の組織である渋谷公園通り協議会が主体となっていて、渋谷区や警察、などの行政機関や企業とかと一緒にエリアマネジメント団体として社会事業を行っています。私はこの渋谷公園通り協議会の事務局長を務めています」

これからの渋谷公園通りに向けて

ーー早川さんが見たい渋谷公園通りの姿ってありますか?
「自分の持っているもので街をより良くしていく、社会や地元に対して還元していきたいです。例えば、このビルの3Fはハワードの事務所になっているのですが、この場所(インタビューをしている場所)はCOWORKING SALON SLOTH JINNAN(スロス ジンナン)(以下:スロス)というコワーキングサロンになっています。主にフリーランスや独立間もない方々が、ここ渋谷から繋がりを持って新しいものを生み出したり旅立ってもらったりすることを期待して、2021年秋にオープンしました。クリエイティブ系の方やIT関係の方が多く入居されています」

「月1で交流会も開催していて、入居者同士のコミュニケーションを大事にしています。この近くの北谷公園も、公園から街全体に広がっていきたいという考え方を持っていてその思想は商店街の考え方ともリンクしているので、神南マーケットや芸術祭とか連携しています」

ーー繋がりを大事にしているのですね!早川さんも普段スロスにいらっしゃるんですか?
「スロスのバースペースをタイムシェアでコーヒー屋さんに貸していまして、毎日コーヒーを飲みに訪れます。そのときに入居者やコミュニケーションマネージャーの方と話しています」

「いろんな人がいろんな思いを持って集まっている場所なので、みなさんが活躍できる場を作っていきたいですね」

▲ロースターカフェWAVY COFFEE ROASTERS SHIBUYA
▲スロス コワーキングスペース
▲スロス BARスペース

歴史ある渋谷という街とともに

ーー商店街同士のコミュニケーションはありますか?
「特にセンター街や宮益坂や道玄坂はもう既に仲良くさせてもらっていて、これから一緒にいろんなことをやっていきたいなと思っています。昨年の渋谷芸術祭で行われた『渋谷アーカイブ写真展/SHIBUYA PHOTO ARCHIVE EXHIBITION』は道玄坂商店街振興組合と共同主催でした」

「大きな再開発があっても、その間を繋ぐ存在としてこれからの渋谷を盛り上げていきたいと思っています。自分たちだけでやる時代ではなく、持っているものを融合していくことが大事になってくると思います」

ーー最後に渋谷のみなさんにメッセージをお願いします
「コンテンツがあちこちにあるので、それらを繋げるだけでもとても面白くなります。公園通商店街振興組合は積極的な方だと思います。街にお客様が来てくれることがとても嬉しいです。今度新たに新しい劇場やスポーツパークもできるようなので、どういう風に連動して街のコンテンツとして定着していくかこれからの課題です」

「楽しい街にしていきたいですね。刺激に変わる街というか。神南エリアは住んでいる方も多いので、外から来ていただいた方との交流も深めていきたいです」

◾️早川聡彦
事務局長を務める渋⾕公園通り協議会では「多種多様な⼈が憩い・集う歩⾏者中⼼の街」を⽬指し、歩⾞共存・歩⾏者優先の道路空間再編、AI・デジタル技術も活⽤しながら幅広い事業者を巻き込んだ公共空間の利活⽤、芸術⽂化の産業振興と健康増進、市⺠参加による花と緑の育成保全等、持続的なまちづくりとエリア価値の向上に取り組んでいる。

◾️COWORKING SALON SLOTH JINNAN https://sloth.salon/

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