実装を目指す高校生からの提案! SIW2022 渋谷アイデア会議 Z世代からのSDGsアクションアイデア発表

「子どもから子どもへ」をテーマに活動する渋谷区SDGs協会。

毎年「ソーシャルデザイン」をテーマにした都市フェスティバル「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA(ソーシャルイノベーションウィーク渋谷)」(以下SIW)に参加し続けています。今年は高校生が提案するSDGsを実現するためのアクションアイデアを11月8日(火)に渋谷パルコ9階GAKUで発表しました。

渋谷新聞の高校生メンバーを中心としたチームが3つ結成されたのは9月中旬。そこから2ヶ月、高校生の視点でSDGsの課題と向き合い、どういうアクションを起こせばいいのか、そのためにはどんなアプローチが必要かを考えました。各チームには社会人のメンターが数名付き、アイデアを具体化していきました。
発表当日、わたしもメンターとして参加していたのでプレゼンを聞くためにGAKUへ行ってきました。

会場中央には立派なカメラが設置され、パソコンが何台も並び、カメラマンも数名。椅子が足りず、立ち見の来場者もいるほどの盛況ぶりに驚きました。
そんな中、高校生の緊張がこちらにも伝わってきてドキドキでしたが、蓋を開けてみれば堂々たるもの!
そして、ただ発表するだけで終わらせないために各プレゼン終了後には参加した参加者から本気の質問やフィードバック、さらにアドバイスもあり、内容の濃いプレゼンになりました。

 

team NORIMAKI 私たちにリアルな性教育を!

メンバー:白鳥実藍(ミラン 高2)、酒井逢琉(アイル 高2)、秋山愛美(アミンチュ 高2)

工業高校に通い、渋谷のラジオのアシスタントもするミランさんを中心にした、アイルさん、アミンチュさんは幼馴染女子3人組。この日はアミンチュが高校の修学旅行で不在でしたが、2人で役割を振り分けてテンポ良くプレゼンを開始しました。
SDGsの4番「質の高い教育をみんなに」、5番「ジェンダー平等を実現しよう」をテーマに掲げ、今の学校で行われる性教育に疑問を投げかけました。幼馴染の3人は一緒に遊ぶことも多いのに、自分の身体や性に関する疑問や悩みを共有してこなかったと言います。学校の性教育は上部だけでリアルな性への悩みは解決してくれない。情報を得るのはTikTok、インスタグラムといったSNSやYahoo知恵袋といったインターネットから。でも、そこにある情報は正しいのか? そして、知識がないがゆえに性被害の対象になってしまうリスクは上がります。
そこで、性の問題を扱うリアルなイベントを調べたところ、10代を対象にしたものはなく、それなら「わたしたちがやるしかない!」と、性に関する疑問や悩みを相談する場を作ることを提案しました。まずはLINEのオープンチャットを利用し、将来的にはアプリの開発や性に関わる発信をしている著名人を呼んだイベントの開催も視野に入れています。

参加者からのコメント:
「SNSを利用する著名人なら直接コンタクトを取ってしまうのがいい」「生理用品メーカーといった企業との共創を考えてみてはどうか」「どうターゲットとなる学生にリーチしていくかを突き詰めるといい」「親の目線でみると安全面に不安を感じる」

率直かつ具体的な企業名なども出てきて今後の展開が楽しみです。

 

team 斜め上 DAOを使ったSDGsの新しいコミュニティ

メンバー:金井友助(ユウスケ 高2)、鏡理吾(リゴ 高2)

私立高校に在学する男子コンビは一緒に旅行に行くほど仲が良いそう。ユウスケさんの早口言葉に対してリゴさんがツッコみ、場を和ませてからのスタートでした。
SDGsの17番「パートナーシップで目標を達成しよう」を叶えるために、SDGsを課題として認識はしているが、忙しい、面倒といった理由からアクションを起こせない人も参加できるオンラインプラットフォーム『TRoS』の提案をしました。
『TRoS』は、アクションを起こしたいけれど資金、技術、人材がなくて行動を起こせない人と、それらを提供できる人をつなげることができるというメリットがあります。
Discord(ゲームチャットアプリとして開発され、現在ではオンラインコミュニティ形成に世界中で使用されている。文字・音声・動画でコミュニケーションを楽しめるツール)に参加して、取り組みの提案や、興味のある取り組みを金銭だけでなく、情報や技術を活用して支援することができます。そして、将来的にはDAO(分散型自律組織のこと。独自のトークンを購入することで参加でき、トークンの所有数によってコミュニティ内での発言権が変わる、WEB版株式会社のような仕組み)を展開し、資金調達もコミュニティ内で賄おうという提案です。
SDGsの『No one will be left behind(誰1人取り残さない)』という理念を軸に、日本だけではなく海外にも目を向け、オンラインでコミュニティを作ることで世界中どこにいても参加ができるというのも大きなメリットの一つ。そしてDAOという新しい仕組みを活用することでSDGsに興味のない層にも興味を持ってもらえるきっかけを提供するといいます。

参加者からのコメント:
「誰に対して何をするのかをクリアにするといい」「DiscordやDAOといった技術以外も考慮して、まずはクラウドファンディングなどからスモールスタートをしてみるのもいいかもしれない」

昭和生まれにはチンプンカンプンで理解するのに一苦労しましたが、新しいことにチャレンジしたいという勢いが素晴らしかった!

 

team KUMIN 食品ロスxアップサイクル

メンバー:奥永亜美(アミ 高3)、渡邉凛音(リノン 高2)、谷本歓(カン 高1)

最後の発表はN高等学校・S高等学校に通う3人組。アミさん、リノンさん、カンさんはSDGsの9番「産業と技術革新の基盤をつくろう」、12番「つくる責任、つかう責任」をベースにして食品ロスに着目。
調理時に発生する食材の皮などの過剰除去やコンビニで賞味期限が過ぎたために破棄される大量の惣菜など日常の中で麻痺をしている部分もある食品廃棄を調べました。日本の食品廃棄量は年間522万トン(東京ドーム5杯分)にものぼる一方で、世界では9人に1人が栄養不足で苦しんでいるというデータもあるそうです。3人は「一物全体(いちぶつぜんたい)」という 生命は、個体全体でバランスを保っており、野菜なら皮をむかず、葉や根の部分も食べる。 穀類なら精白していない物を食べる事により食物本来の生命力を頂くことができるという仏教用語に着目しました。
また、年間50万トンを超えると推計されている日本の衣料廃棄物にも目を向け、アップサイクルする方法を模索しました。
そして「規格外野菜を活用して廃棄を抑えよう やさい染 + アクセサリー作り 2Days ワークショップ」を企画しました。2023年の2月に2日間に分けて開催を予定し、来場していたオトナに野菜、衣料など材料の提供や関係者の紹介をお願いし実装に向けて動き出します。

参加者からのコメント:
「スライドのクオリティ、プレゼンのやり方がよかった。食事を一緒に作り、そこで出た廃棄野菜を利用してやさい染をしてみてはどうか」「子ども食堂との連携を考えてみるのもいいかもしれない」「5W1H、6W3Hを考えて誰に何を提供するのかをもっと突き詰めるといい。飲食事業もやっているので玉ねぎの皮ならきっと提供できる」
といった具体的かつ心強いアドバイスも。

 

プレゼンから実装に向けてーー

終了後、大勢の参加者から声をかけられ、名刺をもらったり今後の展開に向けたアドバイスをもらった各チームのメンバーに感想を聞いてみました。

ミランさん:
「大勢の大人の前での発表にすごく緊張したけれど、練習した通りにできてよかったです。話しているうちにどんどんやりやすくなってきました」

アイルさん:
「思っていたよりも皆さんの反応が良くて、協力的な意見をたくさんいただけてうれしかったです。実現できるんじゃないかと思えてきました」

ユウスケさん:
「色んなことが体験できてよかったです。大人の前で話せたこともよかったし、これからもっと積極的に色々な人とつながって行きたいと思っています。自分の世界が広がったし、ある意味自分の転機になる気がしています」

リゴさん:
「すごくいい経験ができました。中学の頃からユウスケとは起業したいねと話していたので、第一歩を踏み出したという感じです」

アミさん:
「みんなが興味を持ってくれたのがとにかく嬉しかったです。大人が協力してくれたからこそだと感じます。来年2月に向けて今日からがんばります。楽しかったです」

リノンさん:
「会場に入った時に、機材の量にビックリして緊張しました。いろんな効果を駆使したスライド作りを頑張ったので褒めてもらえたのは嬉しかったです。“野菜”は身近なテーマなのでみなさんに自分の事として捉えて欲しいし、今回提案した玉ねぎは身近にある食品廃棄なので実装をイメージできる気がしています」

カンさん:
「学んだことが多い期間でした。グループワークの経験があまりなくて、力不足だったなと思っています。自分から動けるようにしていきたいっていう意識に変わりました。食品ロスには前から興味があったので、もっと課題意識を拡めていきたいです」

今後、3チーム共に今回のプレゼンをどう実装するかが大きな目標になります。
11月10日放送の「渋谷のラジオ# 渋谷つながる部」にて、KUMINチームのアミさんとリノンさんが出演して経験談を話しています! アーカイブはこちらから。

プレゼンから1週間後、KUMINは農家を紹介してもらい、食品ロスについての話を伺い農業体験もしてきました。NORIMAKI、そして斜め上も大人との対話を進めています。

これをお読みの皆さま、興味がある、何か関われる! ということがありましたらぜひ、渋谷新聞メンバーか渋谷区SDGs協会までご連絡ください。

 


◾️SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2022
https://social-innovation-week-shibuya.jp

 

◾️渋谷区SDGs協会
https://sdgs-shibuyaku.com



シェア・送る