IT企業が手掛ける『食』のワクワクとSDGs 株式会社イングリウッド 金澤裕之さん、伊東大輔さん

 

『商品を売る最強の集団であり続けること』を企業理念に掲げる株式会社イングリウッド(以下イングリウッド)社内に2021年8月、SDGs委員会が立ちあがった。同年9月には活動を開始し、5か月間の研修の末、テーマと課題を策定、2022年3月にはSDGs宣言を正式に発表した。伊東大輔さん(写真右)はそんな推進メンバーの一人。

一方の金澤裕之さん(写真左)はイングリウッド内で設立された三ツ星ファームというおかず定期便サービス事業に立ち上げから携わってきた。

『食』というのは親の影響を受ける

伊東さんが入社したのは2020年4月。人材エージェントの紹介で“商品を売る最強の集団”というイングリウッドの企業理念に憧れて入社を決めたという。小さいころから好奇心旺盛な性格の伊東さんにとって現在担当する小売業DX支援の仕事は、オンラインでどのように買ってもらうか、使い続けてもらうか、を考えるのがとても面白いという。

 

2020年5月にイングリウッドに入社した金澤さんは、渋谷を拠点に様々な経験を積んできた。学生起業家として商売をしたり、中小企業の経営支援会社に入社して活躍、通販化粧品のBtoB会社を立ち上げたりと様々な経歴を持っている。その2人を引き合わせたのが三ツ星ファームというおかず定期便サービスの事業だ。

 

 

イングリウッドはこれまでモノを売ることをテーマに、小売りDX支援事業を拡大してきたが、金澤さんが入社したことを機に『食』という事業に取り組むこととなり、現在金澤さんは三ツ星ファーム事業責任者として活躍している。

金澤さんに『食』との関わりを伺うと、開口一番こんな言葉がでてきた。

「『食』というものは、親の影響を受ける。

一般的に、高校生までは親の嗜好に偏った食しか知らない場合が多い」

その意味を伺うと、中学生時代に作ったチャーハンの思い出まで遡る。両親が共働きだったため自炊することも多かったという金澤さん。チャーハンがパラパラだと美味しいという概念はなかったが、当時、テレビで観た広東料理人 周富徳の影響を受けてチャーハンをパラパラに作ってみたくなり、1か月間チャーハンを作り続けて習得したそうだ。

また、初めてレストランでレバーパテを食べたときには「世の中にはこんなにも美味しいものがあるのか!」と感動し、持ち前の凝り性を発揮してバケツ一杯のレバーパテを作ったこともあるという。

 

美味しいと感じる心の大切さを追求

 

伊東さんの実家は大分県で旅館経営をしており、自ら板前として腕を振るう父の影響を少なからず受けているという。お客さんたちが食事を美味しいと褒める言葉を、子供ながら誇りに感じていたそうだ。

食べた瞬間に「あっ、美味しい」と分かる感動はなんとも言えない幸福感を生み、それは周りにも伝播する。「三ツ星ファームのお弁当は副菜まで美味しいんです!」そう話す伊東さんの笑顔はとても嬉しそうだ。開発に携わる金澤さんも、食べた瞬間の“うまっ”という感覚をとても大切にしているという。

60〜70種類もあるお弁当の中で、それぞれのおすすめを聞くと「レモンバターのやみつきチキン」(金澤さん)、「ビストロ風トマトが入ったハッシュドビーフ」(伊東さん)と教えてくれた。

 

コロナ禍でスタートした三ツ星ファームだが、メインターゲットは30〜40代の社会で活躍している女性としている。そんな中、自粛生活における「おうちごはん」ニーズからの追い風を受け、老若男女問わず幅広い世代から利用されるという結果となった。

“衣食住”という言葉があるように、食は生きるために切り離せないもの。冷凍食品や冷凍弁当の既存事業はシニア向けが多く、栄養面への配慮から薄味だったり、油が極端に控えられていることが多いという。三ツ星ファームのお弁当も栄養価のバランスを考慮して作っているが、なるべく“美味しさ”を犠牲にしないために塩分や油を控えすぎないよう配慮している。何よりも食のワクワク感を大切にし「あっ、美味しい」という心温まるお弁当にすることを大事にしてきた。CMメイキング映像で佐藤栞里さんが「どんな生活スタイルの方にも寄り添ってくれるお食事」と話しているのがまさにぴったりの表現だ。

 

『食』を通して社会に、渋谷に関わる

 

実は、今年6月から始動した『渋谷センター街こども食堂』(主催:渋谷区SDGs協会、後援:渋谷新聞)に三ツ星ファームのお弁当を提供してもらっている。賞味期限が近づいて店頭に並べる事ができない、いわゆるフードロスにあたるお弁当だ。「フードロスは無くならないが、減らすことはできる」と伊東さんは自信をもって話す。

廃棄するのは簡単だが、捨てずに美味しく食べてもらえる方法はないかとSDGs委員会で考え、数々のSDGsに関わる団体に連絡をしたが、なかなか取り合ってもらえなかった。

「そんな中、鈴木さん(渋谷区SDGs協会及び渋谷新聞代表)と繋がることができ、イングリウッド本社がある渋谷で地域の子供たちに関わる事ができたのは、偶然のような必然のような出会いだと感じます」と本業ではないが、SDGs委員会としてなかなかすぐに結果がでないものを、頭をひねって結果につなげることにやりがいを感じていると伊東さん。こうした活動を通して、多くの社員がSDGsに興味関心を持つきっかけになっているという。

お弁当の食材に大きさが不ぞろいで市場に出回らない野菜を使ったり、惣菜のトレイにはサトウキビの搾りかすなどを原料とするパルプモールド容器を採用したりと、製造過程からサステナビリティを意識してきているそうだ。

 

20代からずっと渋谷で仕事をする金澤さんは「世の中の変化を渋谷で見て、感じ取ってきた」と渋谷の面白さを語る。

渋谷に根ざしたIT企業で立ち上がったSDGs委員会と三ツ星ファーム。それぞれの相乗効果によってこども食堂との繋がりが実現したが、これからどのように発展していくのか楽しみである。

 

 

◾️伊東大輔さん 略歴
2020年株式会社イングリウッド入社
2021年8月SDGs委員会推進メンバー

 

金澤裕之さん 略歴
2020年株式会社イングリウッド入社 三ツ星ファーム事業責任者
2021年6月三ツ星ファーム始動

 

◾️株式会社イングリウッド

〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-21-1 渋谷ソラスタ 13F

Web https://inglewood.co.jp/

 

◾️三ツ星ファーム
Web https://mitsuboshifarm.jp/
メイキング映像 https://youtu.be/C8neWQoF_gA

 

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