創業時の渋谷センター街
渋谷センター街の一角、1階〜3階にもんじゃ焼き屋さんが入っている鉄筋コンクリート造のビルにある階段を降りていくと、地下1階にある「銀亭Cafe&Bar」
カウンターとテーブルが数席あるお店ですが、たくさんのお客様で賑わっています。
お店へと続く階段の入り口に「銀亭ビル」の表示があります。
そう、ビルの名前になっている通り、この場所にはかつて木造の「料亭・銀亭」がありました。
1944年(昭和19年)創業、今年で創業77年の「銀亭」。変わりゆく渋谷の街をずっと見てきた老舗です。
今は若い人たちが行き交うセンター街も、当時は料亭や、お寿司屋さん、キャバレーなどが立ち並び、渋谷周辺の旦那衆が集う大人の街だったそうです。
銀亭は木造3階建てで個室や大広間がある料亭で、隣で焼き鳥屋も経営していたようです。
2代目「日本料理・銀亭」
そして、今から37年前、昭和61年(1986年)に現在のビルに建て替え、新店舗になった銀亭には、数部屋の個室や、80人収容できる大広間があるお店で、夜な夜な三味線や太鼓の優雅な音曲が鳴り響いていたようです。
時代はバブルの真っ盛り、企業にお勤めの人や官僚の方、芸能人などたくさんの大人の人に愛されたお店だったといいます。
その後、21世紀になり、今から20年前の2001年に日本料理「銀亭」は56年の歴史に幕をおろすことになります。
人のつながりを大切にされる女将さん
そして、5年後の2006年に、料亭時代の厨房だった地下の空間を改装し、甘味処として再スタートすることになります。それが今の「銀亭Cafe&Bar」です。
今も切り盛りする女将の本田紀子さんは仙台のご出身で「初代・銀亭」からお店を支えてきました。
今もお店を続けているのは、創業者である義母の存在が大きいという。お母様から引き継いだお店をなんとか続けていきたいという思いがあるようです。
素材にこだわったお料理
提供するメニューはランチはお弁当の1種類のみ。
焼き魚(またはハンバーグ)、八穀米のおこわ、野菜の煮物と野菜のあえものが漆器の箱に入ったお弁当と具沢山の豚汁。
これに食後にあんみつと日本茶がついて、税込1,100円はお得です。
お客様のほとんどは常連さんだといいます。
あんみつの寒天と小豆は、もともとは銀座や新橋の名店から仕入れていたが、作り方を教わり、今では女将さんが手作りをしているこだわり。
お茶を長年やっておられたというだけあって、店内には立派なお茶の道具が目を引きます。
カフェタイムには、こだわりの8種類の日本茶と、あんみつやところてんなどの和のスイーツを召し上がっていただけます。
また銀亭では定期的に落語家・柳亭市弥さんによる落語会(落語とお食事を楽しむ会)を開催されています。
創業77年、建物やお店は変わっても、この場所に集まる人のつながりを大切にされている女将さんの想いは変わりません。
<店舗情報>
銀亭Cafe&Bar 東京都渋谷区宇田川町24-8銀亭ビルB1F HPはこちら