渋谷に巨大テントシアター『渋谷 ドリカム シアター』誕生!! 映画『Page30』を体感せよ!! K2 Pictures 紀伊宗之さん

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わずか3日間の稽古で本番を迎える謎の舞台演劇に参加した4人の女性たち。そんな4人が各々抱える悩みや芝居に対するプレッシャーに向き合い、花開く様を追う映画『Page30』が4月11日(金)より公開される。DREAMS COME TRUEの中村正人氏がエグゼクティブプロデューサーを務め、ドラマ『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』などで有名な堤幸彦氏が監督を務めた本作。なんと公開のためにわざわざ渋谷にテントシアター『渋谷 ドリカム シアター』を建立!! どうしてこのような斬新な公開に至ったのか!? テントシアターを企画したK2 Picturesの代表取締役CEO・紀伊宗之氏に話を聞いた。

完成した映画を観てテントシアターを決意

難解な舞台劇を上演するために集められた4人の女優が、わずか30ページの台本を3日で覚えて本番に臨むーー。胃がキリキリするような緊張感と、バトルのような殺気だった稽古風景。観ている方も思わず手に汗を握ってしまうのが『Page30』という映画の概要だ。ドリカムことDREAMS COME TRUEの中村正人氏がエグゼクティブプロデューサーを務め、純粋に自由に映画を作ってほしいという思いから映画『20世紀少年』などを手掛けた堤幸彦監督に依頼し完成したこの映画。今回、K2 Picturesの代表取締役CEO・紀伊宗之氏は、完成した映画を観てから、この作品の興行に関与することになったという。
「僕らK2 Picturesは新設の会社で、基本は自分たちが製作した映画を自分たちで配給するということでやっているので、今回は配給協力というかお手伝いという形での参加となります。作品を拝見した時に、タイトルも含めて僕らが若かった頃に観ていたヨーロッパ映画を連想したんです。そういう流れの中に『Page30』も置きたいというのが、まずはありました」
そして紀伊氏は本作のメイン上映館として渋谷にテントシアター『渋谷 ドリカム シアター』をオープンするという提案をする。なぜ渋谷だったのだろうか。

カルチャーの発信地・渋谷

「渋谷といえば、若者のカルチャーの発信地というイメージが強い。僕は学生の頃は関西にいましたが、当時は渋谷と言ったら雑誌でしか知らない憧れの街でした。80年代から20年間くらいは、渋谷はそんな文化発信の最先端にあって、渋谷系の音楽とか、渋カジとか、裏原とか、すべて若者が作ってそれがトレンドになっていった。つまり夢を叶えるパワーがある街なんです、渋谷は。映画も以前はシネマライズとか、アート系の映画を上映する映画館がたくさんあってミニシアター・ブームに火を付けた。そういう場所でフランスのジャン=リュック・ゴダール監督の映画だのフランソワ・トリュフォー監督の映画だの、観てもよくわからなかったりするけれど(笑)、それをデートとかで観るのがオシャレ……みたいな風潮があった。『Page30』にはその頃の映画のカルチャー的な匂いを感じたんです」
チラシのコピーに「あなたにはわからないでしょう?」と書いたのも、観客との距離の取り方を推し量った結果。
「実験的と呼ぶのは言い過ぎかもしれないけれど、間違いなく観る人を選ぶ映画ではあると思う。それをわざわざ劇場を建てて上映するということが最大の宣伝でもあるし、文化として伝わればいいなと思いますね」

フォーマット化された興行に一石を投じる

またこの映画は、今までの映画の興行にもの申すような一面もあるようだ。
「映画の配給とか宣伝は、基本的にはフォーマット化されています。どんなタイトルでも
ほぼほぼやっていることは同じ。ポスターはどうしますか、チラシも作りましょうか、映画館のブッキングは何館くらいにしますか!? といった具合に、ある種のベルトコンベアの中にコンテンツを乗せるわけです。実はそれは以前から何かバカバカしい気がしていました。じゃどこから変えたらいいかと言ったら、結局は見せ方を変えたら売り方も変わるということではないかと。それは本質的にずっと思っていたことだったんです。あと僕らが子供の時は、例えば体育館で映画を観たなんて経験もあったし、田舎でベンチシートで映画を観たなんてこともあった。でも意外とそういう見方をした方が記憶に残っていたり。やっぱり映画鑑賞を体験に寄せてあげたいというのは、いつも考えていることなんですよ。つまりライブ感ってことですよね。それが今回やろうとしているテントシアターという発想に繋がっていきました」

椅子のない自由な“チル”な映画館を!!

では具体的にはどんなテントシアターとなるのだろう!?
「まず映画館には椅子は設置しません。ヨギボーとかを置いたりして、好きな場所で好きな体勢で観てもらう。今の言葉でいうと“チル”(まったりと過ごす)な映画館を目指したい。映画館の周囲には屋台を出します。全体的には縁日的なイメージ。毎日祭りをやっていて、その向こうに映画館がドーンとある。とりあえず6月までは『Page30』の常設館となるわけですが、9月までは『渋谷 ドリカム シアター』は残るので、あとはクリエイターの何かしらの発表の場に使ってもらうとか、まだ具体的なことは言えませんがいろいろと検討しています。渋谷区が後援してくださっているので、いろいろ相談しつつやっていきたいですね。とにかく好奇心を持って自分たちの遊びたい場所は自分たちで作ってほしいと思います。自分たちで動いて、楽しいことを探していく。それは若者の特権だと思いますから。是非、今の文化を切り崩して新しいカルチャーを作っていってほしいし、『渋谷 ドリカム シアター』がその末端を担えたらいいですね」

『Page30』
4⽉11⽇(⾦)より渋⾕ ドリカム シアター他 全国映画館にて公開
監督・原案/堤幸彦
脚本/井上テテ、堤幸彦
出演/唐田えりか、林田麻里、広山詞葉、MAAKIIIほか
配給/DCT entertainment
(C)DCTentertainment

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