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神宮通り、シダックスカルチャービレッジ1階にスタジオを構える『渋谷クロスFM』。渋谷新聞メンバーも何度も出演させていただいている渋谷のローカルラジオ局です。
そんな渋谷クロスFM、代表がとにかく“熱い方”らしいという噂を耳にしました。取材をオファーしたところご快諾いただき、渋谷新聞の3周年イベント『shibuya summit -渋谷の未来を語ろう-』にて公開取材をさせていただきました!(イベントの模様はこちら)
今回は株式会社渋谷クロスFM代表取締役社長の江﨑洋幸さんに設立の裏側や若者への思いなど、とにかく“熱い”お話を伺います。
「渋谷にはローカルラジオが必要だ」
皆さんこんにちは。渋谷クロスFMの江崎洋幸です。
まずはじゃあどうしよっかな。渋谷クロスFMって知ってる方、手をあげてもらってもいいですか。
ありがとうございます。結構知ってくださってますね。
「渋谷クロスFM」と検索すると出てくるWebサイトが、僕たちのメディアです。昼の12時から夜の23時まですべての番組を生放送していて、再生ボタンを押せば映像と音声が流れる仕組みになっています。今は全部で215番組を放送しているんですが、そのうち7割くらいがスポンサー枠の番組。そのスポンサー収入を元に10年間運営を続けてきました。
最初の半年間は、僕とアルバイト1人だけで運営していました。今では仲間が増えたんですが、それでも社員は3人、全体でも15人ほどという少人数で運営しています。
僕が渋谷に来たのは2011年のことです。当時はSHIBUYA-FMというラジオ局で制作や営業、パーソナリティといった業務を担当していました。2年ほどでSHIBUYA-FMが倒産してしまった時、「渋谷にはローカルラジオが必要だ」と強く感じ、2015年に渋谷クロスFMを立ち上げました。
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ラジオで守る防災と音楽
ローカルラジオとして、渋谷クロスFMには2つのテーマがあります。
1つ目は防災です。2011年の東日本大震災の時、渋谷は多くの帰宅困難者で溢れました。そんな中、多くの企業や学校が敷地を開放したり、お湯を配ったりといった支援活動をしてくれていたんです。でも、そういった情報は実際に現地に行かないとわからないというのが実情でした。
僕はそういう「一番痒いところに手が届く」ような情報を発信するのがラジオ局の大事な役割だと考えています。もし渋谷の街で本当に大災害が起きて、水も電気も止まってしまったら、ラジオが唯一の情報源になることもあります。また全国の情報を発信する大きな放送局では、「何時に宮下公園に救援物資が来る」というような身近な情報までは伝えきれません。渋谷のローカルラジオ局として、いざという時に正確で身近な情報を届けることを目指しています。
2つ目のテーマは、インディーズアーティストを応援することです。
僕たちは渋谷で暮らし、働いていますが、同時に渋谷は音楽カルチャーの発信地であり、多くのミュージシャンにとって憧れの地でもあります。地方から上京して「渋谷で夢を叶えたい」と頑張っているインディーズアーティストたちを、僕たちは全力で応援したいと考えています。
ただ、最近ではストリートミュージシャンの活動が規制されることも増え、なかなか自由に表現できる場が少なくなっています。渋谷クロスFMでは、番組を活用して彼らを紹介し、応援する取り組みをしています。渋谷という街の特性を最大限に生かし、音楽を通じて人々の夢をサポートすること。それが、渋谷クロスFMが大切にしているもう一つのテーマです。
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若い世代に伝えたいこと
僕は18歳の時、やりたいことが全くなかったんです。大学に進学するのは経済的に難しく、「とりあえず働かなきゃ」とメガネのレンズを作る会社に就職しました。そしてそこで12年間も働きました。
でも30歳の時、事業所が閉鎖されることになり、これからどうするかを考え直さなければいけない状況になりました。
その時、ふと浮かんだのが「ラジオのDJをやってみたい」という思いです。仕事の合間によく聞いていたラジオが好きで、ラジオの仕事には密かに憧れを抱いていました。1年間アナウンススクールに通い、オーディションを受けて事務所に所属することができました。
ただ、事務所に入ったらラジオの仕事ができるわけではなく、番組に出演するためにはさらにオーディションを通らなければなりません。収入はなかなか安定せず、バイトを掛け持ちしながら挑戦を続ける日々が続きました。
そんな中、地元のあるラジオ局でパーソナリティを任せてもらえることになりました。でも任されたのはパーソナリティだけではなく、番組の企画から制作、営業まですべての業務でした。その環境で10年間働き続けて、ようやく「ラジオを1人で作れるようになった」と感じました。
この会場には高校生や大学生の方が多いですよね。中には「やりたいことが見つからない」と悩んでいる人もいると思います。でも焦る必要は一切ない、そう僕は思います。やりたいことなんて生きているうちに見つかるし、見つかった時から始めればいいんです。新しいことを始めるのに、今日より早い日はないですからね。
ーー取材を終えて
志を持ち、その実現のためにまっすぐ行動する。
短い時間の取材でしたが、江崎さんのそんな芯の強さを肌身で感じることができました。
「やりたいことはいつ見つかるか分からない」。
渋谷新聞も、やりたいことを見つけたいという学生にとっての最初の一歩を踏み出せる場を目指していきたいです。
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◾️江﨑洋幸さん 略歴
株式会社渋谷クロスFM代表取締役社長。
サラリーマンを経て、アナウンススクール卒業後、ラジオパーソナリティーの道へ。数々の放送局で、ラジオ番組を担当し、2015年7月株式会社渋谷クロスFMを設立。現在も、ロンドンブーツ1号2号田村亮さん、時東ぁみさんと共にレギュラー番組を担当。
◾️渋谷クロスFM
〒150-0041 東京都渋谷区神南1-12-10 シダックスカルチャービレッジ1階
Webサイト:https://shibuyacrossfm.jp/