夢と希望をまとう人たち 第54回「ベストドレッサー賞」授賞式レポート

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一般社団法人日本メンズファッション協会(理事長・八木原 保)が主催する、年末恒例の「第54回ベストドレッサー賞」授賞式が、11月26日(水)セルリアンタワー東急ホテルにて華やかに開催されました。

政財界、文化、芸能、スポーツなど、さまざまな分野から選ばれた4名と1グループが登壇。本賞は、“ファッションセンスは当然のことながらユニークかつ個性的で、ライフスタイル全体にお洒落感漂う人物に贈られるもの。

当日の授賞式では、ファッションを軸にしながらも、仕事観や人生観に触れるコメントが多く飛び出し、受賞者たちの個性が一層光る授賞式となりました。

▲日本メンズファッション協会・八木原保理事長挨拶

主催である一般社団法人日本メンズファッション協会の八木原理事長は、冒頭の挨拶で、54年にわたり続いてきた本賞への感謝を述べるとともに、あしなが育英会へのチャリティ活動が30年近く続いていることを紹介しました。

また、世界情勢の不安定さや国内経済の変化にも触れ、「厳しい状況が続いていますが、こういう難しい時だからこそ、私たちがいつも掲げている “夢と勇気と元気と希望” を発揮し、日本を盛り上げていきたい。私たちもその思いを胸に、今後も活動を続けていきたいと考えています」と力強く語りました。

▲小森卓郎経済産業政務官挨拶

続いて登壇した小森卓郎経済産業政務官は、「日本のファッションの力によって、グローバル市場で活躍できる次の世代のブランドやデザイナーを支援することに、これからも力を入れていきたい。我が国のファッションシーンがさらに盛り上がり、経済の発展にも寄与することを願っています」と述べ、 ファッションの力が日本経済の活力になることへの期待を示しました。

個性が躍動するステージ―ファッションに込めた哲学と想い

▲河村 泰貴 さん(株式会社吉野家ホールディングス 取締役会長)受賞セレモニー

政治経済部門を受賞したのは、株式会社吉野家ホールディングス取締役会長の河村泰貴さん。
受賞時の装いについて河村さんは、長年愛用してきたスーツや靴にまつわる印象的なエピソードを紹介しました。

「今日着用していたスーツは、尊敬する方から紹介された仕立ての一着で、19歳の時にアルバイトを始めた吉野家の近くの工房で選んだものであり、今なお続くご縁を強く感じている」と述べています。
また「靴も同様に、革底を張り直しながら6足を20年以上にわたり大切にメンテナンスし、同じ靴を2日連続で履かないよう心がけている」と語り、日々の小さな積み重ねを大切にする姿勢を印象づけました。

▲鎌田 浩毅さん (京都大学名誉教授・京都大学経営管理大学院客員教授)受賞セレモニー

学術文化部門を受賞したのは、大学院で教鞭を執る地球科学者・鎌田 浩毅教授。
授賞式での装いについて尋ねられると、「結局、学生に受けるかどうかなんですよ」とコメント。
教授時代から“目立つ”ことの意味を意識しており、この日の衣装はアイザックセラム、ヨウジヤマモト、イッセイミヤケを組み合わせたひときわ目を引く華やかな装いでした。

4年前に定年を迎えた鎌田教授ですが、教授時代はすべてファッションにボーナスを注ぎ込んでいたといいます。これからは社会貢献に注力すると語り、「5年後から15年後に南海トラフは必ず来る。日本の人口の半分6,800万人は被災する。自分の身は自分で守らないといけない。この受賞をきっかけに自分に注目してくれ、6,800万人に伝わるのではないかと思っている」と述べ、防災の重要性を語りました。

鎌田さんはさらに、「ファッションに目覚めたら皆元気になるんですよ。学生も僕も元気になる。一生のアイテムであり、趣味なんです」と笑顔で話し、「グルメ、ファッション、サイエンスは世界共通言語で、共通して伝えたい」という鎌田さんらしい視点も垣間見えるスピーチとなりました

▲本田響矢さん (俳優)囲み取材

芸能スポーツ部門を受賞した本田響矢さん。
授賞式当日の装いは、光沢のあるサテン素材のスーツで、「こういった素敵な賞にはぴったりだと思って選びました」と受賞の喜びを噛みしめながら笑顔でコメント。

普段からファッションを楽しむ本田さんは、新品・古着を問わず「着心地のいいもの」を選ぶといい、特に靴へのこだわりは強く、「革靴はメンテナンスしていないと落ち着かない。常に足元は綺麗にしていたいので、月に1回か2か月に1回はクリームで磨いて手入れしています」と、その美意識の高さもうかがえます。

この一年を振り返り、「自分にとって挑戦となる出来事が本当に数々ありました。現在出演中の舞台は大きな壁を乗り越えた大切な経験でした」と語り、将来の目標については、「どこかで、見てくださった方の心の中に残る作品に携われる役者になりたい。今年はドラマと舞台が中心でしたが、来年は映画にも挑戦したい」と意欲を示していました。

▲檀れいさん (俳優)受賞セレモニー

芸能スポーツ部門を受賞した俳優の檀れいさん。
檀さん自身は、その日の装いについて「私自身が演じる役や歌などのパフォーマンスの際に、その場にふさわしく美しく見えるものを衣装さんと考えて選んでいます」と語りました。

衣装のコンセプトについては「ブラックのドレスは格式が高いものだと思っています。その中で光輝くラインストーンをあしらい、後ろのリボンにも少し飛ばして、より華やかに見えるように選びました」と説明。役やステージに立つ際は、作品や場の空気に合わせて衣装を選び、魅せ方を考えるという姿勢から、“装うこと”への誠実さとプロフェッショナリズムがうかがえました。

今年で芸能活動20年、宝塚の初舞台からは30年以上が経過という檀さん。
「30年の節目で歌の仕事も増え、自分のライブもさせていただくようになりました。映像だけでなく、歌や踊り、宝塚で学んだことをもっと広く皆さまにお届けできたらと思っています」と、来年に向けた意気込みも語りました。

▲ 新しい学校のリーダーズ(ダンスボーカルユニット) 受賞セレモニー

インターナショナル部門を受賞したのは、結成10周年を迎えたダンスボーカルユニット・新しい学校のリーダーズ。
メンバーは「セーラー服を着ての授賞というのは全く想像していませんでした」と明かし、
「いつもの自分たちですが、真っ青に染まったセーラー服は、私たちが青春日本代表であることを印象づけるものです。今年10周年を迎えるにあたり、より一歩踏み出す姿を表現しました」と語りました。

▲  結成当初から掲げる精神をそのまま込めた象徴的なソックス

ソックスには「はみだしていく・脱不寛容社会」という大きな文字がデザインされ、結成当初からの理念である「自由にはみ出していく精神」を表現。

「結成当時は学生だったので等身大の姿でセーラー服を着ていましたが、20歳を超え、海外進出を目指す中で、その意味合いが変化しました。日本のカルチャーとしてだけでなく、世界中の人と共有できる象徴として、より進化させたいと思ったことが、インターナショナル部門で評価いただけた理由だと感じています」と、授賞の喜びを語っています。

▲ベストドレッサー賞受賞セレモニー

授賞式は、単なるファッションイベントにとどまらず、夢や希望、社会貢献、自己表現の意義を感じられる場となり、受賞者たちは各分野で個性とスタイルを輝かせ、若い世代にも刺激とインスピレーションを届けています。

本年度も、多様な分野で活躍する受賞者が一堂に会し、「ファッションが持つ力」を改めて実感させる授賞式となりました。

イベント概要

主催: 一般社団法人日本メンズファッション協会 / ベストドレッサー委員会
協賛: サントリー株式会社、関彰商事株式会社、大同生命保険株式会社、タキイ種苗株式会社、
帝人フロンティア株式会社、東急グループ、株式会社ハースト婦人画報社、
はるやま商事株式会社、株式会社プレジオ

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