日本人最年少パリコレデザイナー田尻永太さんのサステナブランド「再倖築」。ポップアップを通してブランドに迫る(前編)

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▲渋谷区で開催されたファッションショーでの写真(右から2番目が代表 田尻永太さん)

古着を組み合わせた斬新なジャケット、繊細なアートが描かれた小物、POPな柄のデニム。斬新さに魅了させられるファッションブランド「再倖築」のPOP UPが渋谷で開催されました。日本人最年少デザイナーとして昨年パリコレに進出したブランドに深く迫るため、代表の田尻永太さんとプロデューサーの渋川創一郎さんにインタビューも行いました。

まずは前編としてPOP UPのレポートとここまでに至るブランドの歴史についてお伺いしました。

POP UPの様子をお届けします

まずは店内全体の様子をお届け!
開店すぐにこのPOP UPを楽しみに待っていたお客さんでにぎわう店内。

次に個性の光るアイテムたちを紹介します。

様々な布を組み合わせた一点物のジャケット達。

左はMrs. GREEN APPLEさんや藤井風さんに衣装提供をした物と同じモデルのジャケット。
右は背中を広げ背骨が見えるような大胆なデザイン。

▲POPな柄を得意とする阿部優夢さんが手掛けたデニム
▲マッキーを使って描かれた繊細な顔はアートデザインの西澤光太郎さんのデザイン

2人のアートデザイナーによって新しい息を吹き込まれたアイテム。
直接描かれたデザインによって、服に唯一無二の作品の価値を与える。

突然のパリコレの連絡に困惑…そんな新進気鋭ブランド、再倖築に迫る

ーーまずこのブランド『再倖築の”らしさ”を教えてください。

田尻さん
一番の特徴は古着を使ったリメイクで服を作っている事です。
「”既存のものを壊し、新しいものに作り替えること。” このブランドはファッションに既存概念が定着しつつあるこの世を壊しその思考を再構築しファッションは自由であることを伝え、提供するブランドです」と紹介しています。具体的には古着や古布を使い、一度使った服を再構築しています。結構特徴的な服が多いです。
5人で運営していて、メインデザイナーである僕とプロデューサーの渋川以外に、3人のデザイナーがいます。アートデザイナーの西澤光太郎、デザイナーの阿部優夢、デザイナーの石松ともみです。ともみは女の子も着やすい可愛いデザインが得意で、光太郎は作ったものに繊細な絵を、優夢もPOPな絵を書くことができるので個性の幅が広いです。みんな色んな個性を持って集まっています。

ーーブランド設立から僅か2年でモデルやアーティストへの衣装提供やパリコレ進出があったと思いますが、初期はどのようなブランドでしたか?

田尻さん
最初は1人で立ち上げたブランドでした。下北沢のAyne doppioという古着屋に協力を頂き、ちょっと服を置かせていただきながら活動していました。その中でTikTokerの方がニットを気に入ってくれて、それを着てダンスした動画がめちゃめちゃ流行って、トータル400着ぐらい売れて、400枚作りました。
100枚ぐらい注文が入った時に、うちの服は特別な価値があるのかもしれないと思って、高校の同級生の光太郎(現アートディレクター)を誘いました。高校当時から絵が凄く上手かったので、彼の価値観と合わせるともっと良いものができる!!と思いましたね。でも、ニットの注文が沢山入ったので、絵を書かせずにニットをひたすら作り、死ぬ死ぬ!って言いながら、倒れかけながら、半年ぐらい作り続けました。丁度その時にパリから連絡が来ました。

ーー世界最大規模のファッションの街、パリに進出の切符をゲットした時の心情やそれをきっかけに変わった事はありますか?

田尻さん
実は、最初はインスタのDMでオファーを貰った時は詐欺だと思って1ヵ月無視ちゃいました(笑)。でも、パリに詳しい学校の先生に聞いたら、「これは本物だから行きなさい」と言われて。5年後ぐらいにパリコレ出たいよねといっている時のいきなりの連絡だったので、どうなるか全然わからないけれど、「運命じゃん」という気持ちと「やってみたい!」という気持ちでパリに行きました。20、21歳の時期だったので、日本最年少パリコレデザイナーという肩書を手に入れ、「パリ行ったぞ!」「パリコレ出たぞ!」と言いまくっていたらメディアに取り上げてもらう機会が増えました。
テレビに出たり、アーティストや雑誌の衣装提供でMrs. GREEN APPLEさん・藤井風さん・ラウールさんなど色んな人に着てもらえて、デザインが印象的なこともあり知名度がぐんぐん上がっていきました。このチャンスを絶対生かしたいと思い、騒ぎ立てて良かったと思っています。

ーー突然のチャンスを離さずに握り、しっかりモノにしたんですね。そんな大きな転換があっても、変わらず、ずっとブランドで大切にしていることはなんですか?

田尻さん
とにかくかっこいいものを作ること。それに、なんかこれ今まで無かったよねみたいな物を提案すること。自分の色を消さないことを大切にしてます。自分の色は再倖築のテーマなので、量産型ではなく個人の一つひとつのデザインを尊重して、色んな着方が出来たり、新しい発見ができるようにを意識しながら作っています。実は自分はそんなにおしゃれではなくて、着てくれる人がおしゃれになってほしいというデザイナー視点で凄く考えています。

渋川さん
プロデューサーとして、再倖築の認知度を上げるという使命を持ちながら、再倖築を通して何かに気付いてほしいという思いを大切にしています。このブランドのアイテムは、腕のパーツが沢山あったり、首の部分から腕を通したり、ボタンが沢山あるアイテムもある。本当に腕を通すところは2本だけではないし、止め方次第で色んな形に変わります。そうやって自分の着方に気付いてもらって、服の楽しみ方を伝えたいです。
また、再倖築というブランドの名前の通り、使えなくなったものを使えるようにしているので、服の大量廃棄問題に触れたサステナブルなファッションという側面を大切にしていることを発信していきたいです。

ーー今後、ブランドをもっと多くの人に知ってもらいつつ、ブランドとしてどんな事を伝えていきたいですか?

田尻さん
一点物の良さを皆さんには知って欲しい。被ることがないので、その人の味を担ってくれるんです。量産されたものをいつも買ってたけど、本当はオーダーが欲しいけど…って人に凄い価値があるものじゃないかなと思ってます。

渋川さん
一点物はその人の顔やイメージになってくれます。量産されたものだと人と同じイメージになったり、そういうことを気にしなければいけない。けど一点ものは本当に自分だけのイメージを視覚でわかりやすく表現出来るもので、リメイクや一点ものと言えば「再倖築」という風に思い浮かぶようにすることが今後の目標ですね。

後編では、再倖築を作るお二人、メインデザイナーの田尻さんとプロデューサーの渋川さんの価値観にフォーカスしていきます。

■田尻永太(Eita Tajiri)
2001年生まれ。再倖築 代表兼デザイナー。
総合学園ヒューマンアカデミー東京校を卒業。
在学中に再倖築を立ち上げ、卒業と同時に本格的にデザイナーとしての活動を開始。
その独創的なデザインがスタイリストや業界関係者の間で評判となり、多くの著名人の衣装を手がけるようになる。
2023年9月、パリでコレクションショーデビューを果たし、日本人最年少デザイナーとして注目を集める。
現在も、新たなファッションの可能性を追求しながら、独自のアップサイクルデザインを国内外に発信し続けている。

■渋川創一郎(Soichiro Shibukawa)
2000年生まれ。再倖築 プロデューサー。
ブランド戦略やビジネス展開に携わりながら、再倖築のプロデューサーとして活動。
国内外の展示会・コレクションのプロデュース、販売・マーケティングの管理、商談やイベントの企画・運営を統括し、ブランドの成長を支えている。

■再倖築プロフィール
 1. ブランド設立
・ 2022年3月:田尻永太がファッションブランド「再倖築」を立ち上げ。古着をリメイクし、サステナブルで唯一無二のファッションアイテムを生み出すことをコンセプトに掲げる。

 2. アーティストへの衣装提供
・ 2022年11月:「7ぴあ」11月号にて、Mrs. GREEN APPLEの大森元貴に衣装提供。
・ 2022年11月:TBSの日本レコード大賞で、King Gnuの常田大希に衣装提供。
・ 2023年5月:TBSのCDTVにて、再びMrs. GREEN APPLEの大森元貴に衣装提供。
・ 2023年10月:藤井風のニューシングル「花」にて衣装提供。

 3. 成長とメディア出演
・ 2023年4月:個人事業主化。
・ 2023年9月27日:日本人最年少デザイナーとして、パリコレクションに出場。
・ 2024年5月:TBSの特番「超こどもの日」に出演し、芸能人の愛用服をリメイクしたファッションショーを開催。
・ 2024年7月:「装苑」7月号で取り上げられる。

 4. その他の衣装提供
・ にしな、欅坂46、SnowMan、SixTONES、Da・iCE、ヤングスキニー、トンボコープなど、様々なアーティストに衣装を提供。

 5. 国際展開
・ Motor Bike Expo 2024 in Veronaにて衣装を製作、提供。
再倖築は、設立から短期間で日本国内外のファッションシーンで注目を集め、特に著名アーティストへの衣装提供やパリコレ進出など、急成長を遂げている。

ブランドプロデューサー:渋川 創一郎
Email:shibu@saikouchiku.com
TEL:070-3610-3150
Instagram:@saikouchiku.co.jp

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