
「一年で一番好きなのが祭りの日」。今回はそんな特別な祭りに対して、僕たちがどう関わってきたのか、そして地域に対してどう思っているのかを、ライターさんに取材していただきました。
渋谷では隠田神社例大祭、金王八幡宮例大祭、北谷稲荷神社秋季例大祭と、地域を代表する祭りが毎週のように続く特別な時期があります。渋谷のまちづくりに深く関わる鈴木大輔さんと、太平洋商事渉外担当の新戸亜依(あい)さん、お二人にお話を伺いました。
穏田神社祭りで感じた「外から入る」意味

—— まずは穏田神社のお祭りについて教えてください。
大輔さん「原宿表参道新聞のアドバイザーである大坪さん・早川さんのご縁で、9月1週目の穏田神社に参加しました。3つの町会の神輿が集まるんですが、僕が担がせてもらった地域は本当に担ぎ手が少ない地域。社員と2人で参加しただけなのに、すごく喜んでもらえたんです。神輿がキャットストリートから表参道へ出ていく景色は、とにかく壮観で印象的でした」
—— お祭りに参加してみていかがでしたか?
大輔さん「お祭りは1日のイベント。担いでまわる間は、4〜5時間ほど。その間、知らない人たちと話し続けるんですけど、その密度がすごいんです。あっという間に仲良くなれますし、“街の深さ”を別の角度から感じられます。あいと2人で担ぎ続けたら、『今日いちばん担いだのこの2人だよ』と言われたりもして(笑)。純粋に貢献できた実感は大きかったですね」
—— あいさん自身が主体的に地域に関わるということはいかがですか?
新戸さん「穏田神社は私が住んでいる表参道エリアのお祭りで、商店街ではなく町会が主体なんです。なので、住民である“ビルのオーナーさん”と話す機会がとにかく多いんです。表参道って表向きはキラキラしているように見えるけど、実は“三軒隣にすごい人が住んでる”みたいな、濃い地域感があります。その中で、若い人が入ってこない、定着しないという課題もすごく感じました。『あと何年住むの?』とよく聞かれるのは、その不安の裏返しなんだと思います。こういう“地域の内側”に触れられるのは、祭りならではですし、そこに参加できているということがとても嬉しかったです」
初めて“運営側”に回って見えたもの

—— 今回、穏田神社は実行委員会から入ったそうですね?
新戸さん「はい。祭り前日や当日の夜には子ども向けの縁日があるので、そこに会社から7人ほどみんなで参加しました。主催者の方は毎年ほぼ一人で運営されていたそうで、私たちが7人で参加したのをとても喜んでいただきました。想定の倍以上の人数が来た!とすごく驚かれました」
—— 子どもたちとの触れ合いはいかがでしたか?
新戸さん「縁日なので、子どもはもちろんですが、その親御さんもいらっしゃいます。私個人としては、実は大人との交流のほうが楽しかったです(笑)。目的がそれだったので。営業気質ですね。ただ、子どもたちが楽しんでいる姿を見ると、“この体験が10年後、20年後に地域への還元になるんだろうな”と感じましたね。そして、“こういう場をきちんと提供し続けられる大人でいたい”。そんな気持ちが生まれました」
大輔さんが12年以上続ける「金王八幡宮例大祭」

—— 大輔さんが一番好きなお祭りはなんですか?
大輔さん「金王八幡宮例大祭です。毎年、金曜の準備から日曜の片づけまで4日間、ずっと関わっています。関わり始めて12年以上ですね。ここ3年ぐらいで、会社のメンバー、学生、取引先、そしてテナントさんまで巻き込んで、参加者が“私だけの1人 → 30人規模”に増えました!」
—— テナントさんを巻き込むようになったきっかけはなんですか?
大輔さん「『まちパス』の営業の話をするときに、神輿の話も一緒にしていたんです。そして、そこで興味を持った人をそのまま祭りに誘う。服装や道具のアドバイスもすることで、参加のハードルをとにかく下げていきます。“出たいけど、どうしていいかわからないという人”たちの、窓口兼ナビゲーターみたいな役割ですね」
新戸さん「私にとってお祭りは “街の重鎮” と出会える大切な機会。渉外担当なので、とにかく街のキーマンに出会うことが大事なんです。顔を出す回数が増えるほど、知り合いが10倍くらいに増えますし、14町会が集まるので、街の重鎮やステークホルダーと深くつながれます。“大輔さんの紹介のあと、自分でどう関係を深めるか”が私の渉外としての役割だと思うので、そこを意識しています」
祭りは参加側ではなく、運営側にこそ意義がある
—— 運営側はどんなところが魅力ですか?
大輔さん「自分が集めた人たちが楽しんでいる姿を見るのが好きなんです。自分が楽しむより、人が楽しんでいるのを見るほうが好きですね。そこに価値を感じます。“どうしたらもっと楽しませられるか?”、”誰を巻き込んだらもっとよくなるか?”このプロセスが、とにかく楽しいんです。お祭りだから、うちの社員には仕事として参加してもらうので、持ち出しはありますが、そこはお金じゃない。繋がれる、大切な渋谷のために運営側として参加するのはとても誇らしいことです」
祭りは“最強のネットワーキング”であり、“地域資産”
—— お祭りに会社総出で関わっていらっしゃるんですね。
大輔さん「会社が一番大事にしているのが“地域とのつながり”です。だから、関わらない理由は1mmもない。祭りの最中に、西武信金の支店長と商談してアポを取ったりもしますし、普段はなかなか会えない人とも、このお祭りには1日中いられます。取引先も多く参加しているので、今後は地域の催し全般にもっと関わっていきたいなと思います。エリアを広げるのではなく、深く、丁寧に」
—— 渋谷という地域を大切に思っているんですね。
大輔さん「そうですね。渋谷は自分が住んで、仕事をさせてもらっている大切な場所。そして、家族も仲間もいます。そこで、地元のステークホルダーと繋がりながら、自分自身も、頼れられる人となりたいと思っています。だからこそ時間も人件費もかけて、関係値をつくっていきたい。その結果“渋谷で困ったらまず大輔さんに相談しよう”と言われるようにもなってきています」
——では、お二人にとってお祭りを一言で表すとどんなものですか?
大輔さん「一年で一番好きな日です」
新戸さん「みんなと仲良くなれる日ですね」
渋谷の未来は、“関わる人の数”と“関係資産の深さ”で決まる

9月の渋谷を駆け抜ける三つのお祭りに関わること。
大輔さん、そして社員のみんなで担ぎ、走り、交渉し、つなぐ。
その一つひとつの場面で大切にしているのは、「人が街をつくり、街がビジネスをつくる」ということ。
かつて大輔さん1人で参加していたお祭りが、今は30人を超える仲間と、テナントと、取引先と、地域の人たちと共に歩く祭りに変わったそう。
「関わった“人の数”だけ、街の厚みが出て、関係資産が積みあがり、地域の基盤が強くなるんです。」と語る大輔さん。
「楽しませたい」「つなぎたい」という純粋な想いである一方、その積み重ねが確実にビジネスの価値を生んでいる。「祭りの場で生まれる本音の信頼関係」こそ、会議の場では絶対に生まれない関係性があるのだそう。
「地域に深く入り込むことで、街の課題や空気感が“肌で”理解できる。その結果、事業の意思決定もスピードが上がり、街との接点を持つ企業・テナントとの共創も広がっていきます。つまり、祭りへの参加は単なる奉仕活動ではなく、“渋谷で事業をする者としての戦略的行動”でもあるんですよね」
と大輔さんの考えも教えていただきました。
街の担い手は減りつつあり、若い人も定着しにくい。
だからこそ、関わる人を増やし、
地域の“関係資産”を意図的に積み上げる必要がある。
一年で一番好きな日。
みんなと仲良くなれる日。
その裏側には、確かな事業基盤が育っていると言います。
大輔さんたちの新しい取り組みと挑戦、ここからさらに加速していきそうな気配が漂うワクワクする取材となりました。











